都合のいい男

美浪

文字の大きさ
上 下
161 / 180
決戦

龍斗と青龍

しおりを挟む
――リュート君?ミナキより我を託された者よ。そろそろ敵を片付けましょうか。――

トール元帥の激しい殺気で壁に打ち付けられた時に声が聞こえた。
借りたのは良いが無反応で使い方も解らなかった青龍が・・・喋った!!

目覚めたんだ!で?何が出来るの?

――青龍は水と雷を使える。ラズ君と協力してみようか――

了解です。

何かこう言うの初めてだし!異能の発動系って初過ぎてワクワクする。
トール元帥の殺気は凄まじいのに何故かワクワクするぅ!!

「龍が目覚めたよ!」
1歩前に出て頭上を指さした。

ん?と言う皆のパチクリした目が面白い。
「ラズ。援護お願いします!」

「へ?ああ解った。」
ラズは何の事やら?と言った顔だが凍気を更に高めて構えた。

「雑魚共がぁ!!!」
トール元帥は怒りが頂点に達した様な形相で剣を真上に振り上げた。

これは振り下ろしたら全員斬られるやつ!!

――青龍雷雨サンダーレイン――

小さな真っ黒な雲が室内に広がる。

ドドーン!!!

雷はトール元帥の剣に落ち部屋の中で雨が降り出した。

「ぐあぁぁぁぁぁ!!!!」
雷に撃たれたトール元帥の苦しむ声に合わせてラズの凍気が増した。

――氷雨の剣舞フリージングレインソードダンス――

雨が氷の刃に変わる。

「すっげー・・・。」
思わずそんな声が漏れた。

ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!

氷のやいばは容赦なくトール元帥に刺さる。

「ぐっ・・・。クソったれが!!」

雷に撃たれ氷の刃を食らったのにまだ生きてる・・。
フラフラと立ち上がりまだ戦う気かよ?!

しかし、満身創痍・・・。

「やるで!!畳み掛けるんや!」
リョウの合図で一斉攻撃。

――最大重力圧死マキシマムグラビティデス――

――臓器摘出サージカルオペレーション――

――氷の墓石アイスグレイブ――

異能一斉攻撃。

トール元帥は重力に押し潰され地に膝をつきヴェガによって肩を貫かれた。

「うあぁぁぁぁぁ!!!!」
断末魔が機械室のエラー音をかき消すかの様に響いた。

それを弔うかの様にトール元帥は凍っていく・・・。

ピシッピシッと足元から。

俺とリョウ、元締めさん、アルージャで狙いを定めた。

凍った・・・・・。

「ジ・エンド!!!」

凍りついたトール元帥を分断する様に斬りつけた。

音を立て氷の墓石は粉々に砕け散って・・・。

エラー音が鳴り響いていた機械室からの音が止み室内は静寂に包まれた。

「本真に・・。」
リョウがニヤっと笑った。

「勝ったぁぁ!!」
全員、ちょっとフラフラだけど勝った。
本当に勝てた。

頭上を見上げるとミナキの元へ青龍は戻って行った。
凄いな彼の異能。本当に俺達を護るスペシャリストだ。

「リュート!!良くやった!!」
ラズに抱きつかれジハードとヴェガに頭をモジャモジャ撫でられて。
全員とハイタッチ!

良かった。
後はエメリヒ大元帥だ。


            ・・・・・・・・・・・

アルージャに促されて急いで上の階へ上がった。

「うわっ!!」
27階へ入った途端の殺気と言うか異様な空気に鳥肌が立つ。

「これが・・。獣人達を苦しめ殺した奴の殺気か。」

父よ。母よ。

仲間達よ。

漸く敵討ちをする日がやってきました。

元凶はトール元帥だった。

だが?

許す訳にはいかない。

殺気の方へ走り辿り着いた。
そっと壁越しからチラ見。

何か話してるけど聞こえない。ビクターの異能が効いているんだな。
エメリヒは自分の両手を見詰め確認するかの様に首を傾げていた。

俺も異能破棄かけて貰わないとヤバいよね。
「オーガ!」
小声で呼んだ。

振り返ったのはウェン。

誰でも良い。気づいてくれたら何とかなる。
「ゼットが来た。」
ウェンがそう言うとオーガが俺に向かって異能破棄をかけてくれた。

「みんな!アインシュタインの核は壊した!」
急いで駆け寄ると全員が傷だらけでかなり疲労しているのが解った。
「大丈夫か?下の階ももう少しだ。」
そしてトールが元凶だった話を聞かせた。

「今、エメリヒは混乱しているよ。」

「アインシュタインの洗脳が解けたって事ね。」
ボスと社長が簡単にこれ迄のエメリヒの話をしてくれた。

狂ったエメリヒを洗脳し更に狂わせたんだろうな。

今が本当のエメリヒか。

「唇を読め。」
バックスレーにそう言われてエメリヒの言葉を確認する。

「この私が洗脳されていたとはトールめ。飼い犬に手を噛まれるとは正にこれか。まあ、それでも皆殺しには変わりないがな。」
なるほど。

「確実にトール元帥を殺してから殺らないとね。」
ボスが全員の顔を見て頷いた。

「そうは言っても強いのよね。」
社長は全力でやっても今、勝てる見込みが無いと苦笑した。

「それでも。殺るでしょ?」
シアンがニヤっと笑った。

「当たり前。」
全員で構える。そしてニヤリと微笑み頷きあった。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する

あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。 領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。 *** 王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。 ・ハピエン ・CP左右固定(リバありません) ・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません) です。 べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。 *** 2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。

今世はメシウマ召喚獣

片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。 最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。 ※女の子もゴリゴリ出てきます。 ※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。 ※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。 ※なるべくさくさく更新したい。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】

紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。 相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。 超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。 失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。 彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。 ※番外編を公開しました(10/21) 生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。 ※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。 ※4月18日、完結しました。ありがとうございました。

消えない思い

樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。 高校3年生 矢野浩二 α 高校3年生 佐々木裕也 α 高校1年生 赤城要 Ω 赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。 自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。 そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。 でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。 彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。 そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる

風見鶏ーKazamidoriー
BL
 秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。  ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。 ※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

処理中です...