都合のいい男

美浪

文字の大きさ
上 下
155 / 180
決戦

間もなく

しおりを挟む
「ベイク大丈夫か?」
脳内チップはヴェガと俺とで抜いた。

「あー。うん。頭痛薬欲しい。」
ベイクは顰めっ面でリョウの顔を見た。

自分の頭を触り頬を触り。首を傾げた。両手を見たり。

「ヴァルの従者でも無くなってる!」

「そかそか。そりゃ良かったやん。しかし、惚けてるなあ?」
リョウが笑顔を向けるがまだ全然理解出来て居ない感じのベイク。少し天然っぽい雰囲気。

「参りましたね。ヴァルヴァラの従者でも無くなり侵入者有りの連絡も大元帥には伝わっている。もう間もなく帰って来ますよ。」
榎津さんは溜息を付いた。

「ユウヤ。貴方は自分の能力だけで何人、元の世界に戻せますか?」
ボスがそう聞くと

「うーん?召喚システムの話を詳しくしようか。」
榎津さんが言うには基本的にアインシュタインとの共同作業で行なうそうだ。
「召喚人物を無作為に選んで転移させる事は俺だけで簡単に出来る。しかし、求められているタイプ?性別や年齢となるとアインシュタインが必要。」
榎津さんが言うには10代~20代を召喚する様に命令されていたと言う。

「元の世界に戻る人数制限は?無いと言えば無い。でも、位置特定がね。」
と苦笑した。

「アインシュタイン無しだと何処の地域に戻れるか。日本に帰りたいがアメリカかもしれないし?下手したら海の上かもしれない。」
なるほど。それはやはりアインシュタインを破壊するのは厳しいのか。

「なあ?元の世界に戻ると異能って無くなるん?」
リョウが尋ねると榎津さんは
「無くなるね。ただし鍛えた筋肉とかはそのまま。後は記憶も消えない。実際にアインシュタインを使って元の世界にエメリヒは戻って。こちらにまた帰って来たらしいよ?」

アインシュタインと榎津さんが合わさると完璧な召喚士になる。
多人数の召喚が出来る榎津さん、1人しか召喚出来ないが位置特定や人物特定が出来るアインシュタイン。


ボスは考えるようにその話に頷いた。

「アインシュタインの中の総帥はコアとして生きています。」
そう言うと榎津さんは知ってるよ?と苦笑した。

「エメリヒを倒したら総帥は暴走すると思いますか?またはトールを倒したら人間の姿に戻るとか?」
これが1番重要だろう。

榎津さんは黙ってしまった。
考え込むと言った感じで。
「時間が無いのは解っているが少し考えさせてくれ。」
正直、解らないと言うのが正しいなと言いつつもこれ迄、エメリヒ、トール、アインシュタインに深く関わって来た人物だ。
何か名案があるのかもしれない。

「レイは何で政府におったんや?」
リョウはその間にレイを質問攻め中。
マジシャンもリョウには嘘は付けない。
話を聞く限りでは彼は世渡り上手だ。
芸能界に居ただけの事はある。

「死にたく無いし!」
それが1番正直な寝返りの結論か。
今の所、あんまり信用出来る人物では無さそうだけど。

「ユウヤ。俺達は同時進行で倒せないかと考えています。」
ボスは考え込んで黙ったままの榎津さんに俺達の計画を話した。

「それは正解かもね。」
榎津さんは頷いた。

「これでミスリードされてないですよね?」
ハーミット様が洗脳された話をした。

「総帥にそんな力があるとは思えないんだけど。あるとしたら?機械を作ったトール元帥かな。」
榎津さんの意見でまた頭混乱。

ボスが空港に着いたって連絡が来たよ。と言った。
バニラさんとエルーカさんからのメールだ。

「榎津さんは安全な場所に隠れて貰えませんか?」
元々は拉致目的だったけれど。

「この世界に安全な場所なんて無いんだけど。でも、俺が再び洗脳されたら厄介だろうしね。」
榎津さんと海誠先生は海誠先生の家に避難してもらう。

「レイとベイクはどうする?」
ボスが尋ねた。
「俺達は他のSランク異能者の相手をするよ。」
レイはニヤっと笑った。

元締めがバニラさんとエルーカさんをこの場に転移させてメンツは揃った。

SランクやAランク異能者のバトル対応はベイクとレイとエルーカさん、バニラさんが行なう。

後はどう分かれるか。

――ミナキ。みんなに異能を貸そうか。それが全てを護る事になるよ――

久しぶりに朱雀が話し掛けてきた。
やっと他の四神と神人が目覚める。

――全部を貸すんじゃないよ。――
神達はクスクスと笑いながら俺の前に降りてきた。

「変わっていると思っていたが本当にミナキ君は凄いな。」
海誠先生と転移しようとしていた榎津さんが俺を興味深げに見詰めた。

「護りたいんです。皆を。」
「君、苗字は?」
そう聞かれて香焼こうやぎです。と素直に答えた。

「そうか。なるほどね。」
榎津さんは何故か嬉しそうで何故か納得した様な顔で転移して行った。

何で??

後で聞こう。今は異能のレンタルだ。

――唱えてみてよ――
朱雀が急かす。

――加護プロテクション――

「何か来たぞ。」
オーガへ白虎が。
「お?俺にも!」
リュートへ青龍が。

「アインシュタインに入れって事か。」
ゼットに文王が。

迎え撃つ準備は整った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

男色医師

虎 正規
BL
ゲイの医者、黒河の毒牙から逃れられるか?

淫乱エリートは今日も男たちに愛される

おさかな
BL
【全編エロあり】通勤電車でも社内でも取引先でも、いつでもアナル受け入れ準備万端!爽やか系イケメンエリートは男達へのご奉仕も優秀です! +++ 完結済み DLsiteにておまけつき電子版販売中

【完結・BL】DT騎士団員は、騎士団長様に告白したい!【騎士団員×騎士団長】

彩華
BL
とある平和な国。「ある日」を境に、この国を守る騎士団へ入団することを夢見ていたトーマは、無事にその夢を叶えた。それもこれも、あの日の初恋。騎士団長・アランに一目惚れしたため。年若いトーマの恋心は、日々募っていくばかり。自身の気持ちを、アランに伝えるべきか? そんな悶々とする騎士団員の話。 「好きだって言えるなら、言いたい。いや、でもやっぱ、言わなくても良いな……。ああ゛―!でも、アラン様が好きだって言いてぇよー!!」

勇者の股間触ったらエライことになった

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。 町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。 オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。

帝国皇子のお婿さんになりました

クリム
BL
 帝国の皇太子エリファス・ロータスとの婚姻を神殿で誓った瞬間、ハルシオン・アスターは自分の前世を思い出す。普通の日本人主婦だったことを。  そして『白い結婚』だったはずの婚姻後、皇太子の寝室に呼ばれることになり、ハルシオンはひた隠しにして来た事実に直面する。王族の姫が19歳まで独身を貫いたこと、その真実が暴かれると、出自の小王国は滅ぼされかねない。 「それなら皇太子殿下に一服盛りますかね、主様」 「そうだね、クーちゃん。ついでに血袋で寝台を汚してなんちゃって既成事実を」 「では、盛って服を乱して、血を……主様、これ……いや、まさかやる気ですか?」 「うん、クーちゃん」 「クーちゃんではありません、クー・チャンです。あ、主様、やめてください!」  これは隣国の帝国皇太子に嫁いだ小王国の『姫君』のお話。

童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった

なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。 ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…

女装家政夫の愉快なお仕事(三食昼寝おやつセックスつき)

丸井まー(旧:まー)
BL
【求人】 家事並びに子守りをしてくれる方 (条件) ・完全住み込み。通い不可。 ・雇い主の夜の相手も職務内容に含む。 ・三食昼寝おやつ付き。 ・年齢16歳~20歳まで。 ・女装で勤務。 ・給与〈月400万〉 父親のせいで馬鹿みたいな額の借金ができたアイディーは、職業斡旋所で馬鹿みたいな求人表を見て、即決で女装家政夫をすることにした。魔術に関すること以外はまるでダメな子持ちのオッサン・ロバートと苦労性老け顔顔面犯罪者な10代女装少年のドタバタほのぼの?コメディ。 (エロあります。エロは予告なしです。) ※ムーンライトノベルズさんにも、投稿させていただいております。

ハイスペックストーカーに追われています

たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!! と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。 完結しました。

処理中です...