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決戦
マジシャン伊良林レイ
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何年前になるかな。イマイチ覚えて居ないが俺は日本でマジシャンをしていた。
カードマジックやコインマジックも得意だったのに。
世間が俺に求めた物は脱出マジックだった。
大掛かりな仕掛けで直前まで撮影されて脱出する。
定期的にテレビでスペシャルゲストとして呼ばれて稼がせて貰っていたがそろそろネタ切れ。
飽きられてきた頃。もう俺は精神的に病みつつあった。
「レイさん。この脱出マジックで視聴率取れなかったら打ち切りです。」
プロデューサーにそう言われた最後かもしれない脱出マジックの日。
俺はこの世界に召喚された。
箱の中で鎖を解いて後は地下を通って脱出だと思った時に脳内に流れた召喚メッセージ。
そして記憶の無い中で榎津裕也に出会った。
もう元の世界に戻れないと言われたが記憶が無いのに何故か嬉しくホッとしたのを覚えている。
実は・・・。俺は脳内チップが入っていない。
それは誰も知らない。
召喚された異世界人は1週間は赤子の様に眠ると言う。
しかし、俺は当時、重度の不眠症だった。
睡眠薬が無いと眠れない生活。
そのお陰で。脳内チップを入れられる前のベッドで目が覚めた。
その部屋にはアインシュタインと言う機械と日本人が居た。後から知ったのは元帥だと言うこと。
記憶は無いがこれは不味い事態だと身体が危機感を感じた俺は異能を発動した。
うん。何故か?異能が発動したとも言える。怖かったし死ぬかもと言う思いからかな。
幻影と幻想。
それは俺に脳内チップが入ったと思わせる幻影を見せた。
成功。騙せた。
1週間後に記憶が戻った俺は普通に警察官になった。その後は異能がレアなので政府異能者になりSランクとなって今に至る。
マジシャンはポーカーフェイスでいるのが日常なのでバレずにここまで生きて来たんだと思う。
後は殆ど喋らない!!人と関わらない!これに限る!
簡単だ。
後は政府の言い付けを守るだけ。異能者を殺すだけ。
勿論、最初は抵抗があった。
でも、元の世界に戻っても俺の居場所なんて無い。
生放送で消えたんだぞ?
世間は大騒ぎになって帰ったら記者会見?バッシング?ヤラセ疑惑?
そもそも帰れないと言われたし。
マジシャン以外の職業なんて考えられないし。
と言う訳で腹を括ってこの世界で政府異能者として生きる事にした。
脳内チップは入って居ないが稀に洗脳はされている。会議中とか。
エメリヒ大元帥だ。不自然に目を合わせないとバレるから普通に目を見る。
そうするとちょっと脳内チップの入った異能者の様に一時的になってしまう。
これは非常に不味い。
俺はジ・パングから西アン・デスに移動希望を出してなるべく大元帥や元帥達とは関わらない様に仕事をして来た。
だが・・。このカプリスの連中によって西アン・デスの平穏な日々が壊された。
金印が盗まれた後は月の半分は他国やジ・パングに居る。
そして、今日またしても此奴らだよ。
あーあ。
此奴ら強いんだよね。
しかも、死んだと言われているリュートが居る。榎津さんの部屋にはオーガもだ。そして同じSランク異能者だったリョウも。
リュートとオーガにリョウ。3人は日本人で脳内チップが入っていた筈なのに。
何があった?!
脳内チップは抜けるのか?
困惑しながらも幻想と幻影の異能を発動し身を隠した。
カプリス全員強くなってる。
特にこの氷の異能者。
西アン・デスで会ったもう1人の日本人は榎津さんの部屋か?
あいつは何故か政府が召喚した異世界人じゃ無かった。
そして俺を知っていた。
不味いと思って誤魔化したんだったな。
少し羨ましく思えた。
でも、政府にいる限り俺は安泰だ。
そう安泰なんだ。
――リュート流・一本背負い――
考え事をしていたら見事に発見されてしまった。
「クソ!!」
めちゃくちゃ痛い!!
――幻影――
街背景を元に戻す。
危ない。あの氷の異能者危険だな。
居場所がバレる。
また凍気かよ。
リュートがまた!!?!
「負けない!」
体術を受け止めた。
身体強化タイプは苦手だ。強いし。
俺の攻撃は不意打ちと幻想を見せたりする事だから真っ向勝負に向いて無い。
リュートの猛攻撃からの氷の攻撃。
――幻影――
「逃がしませんよ?」
メガネの男の強烈な蹴り。
「グハッッ!!!」
必死で姿を消す。
でも、バレる。
氷の異能者の攻撃も強烈で俺は吹っ飛んだ。
今は見てるだけの転移異能者も変な召喚をする筈だ。悪魔召喚?
それ発動されたら死ぬな・・・。
俺は此処で死ぬのか?
賭けだ。
このまま政府に残るか。
カプリスに命乞いするか。
人生はマジック。
氷の異能者が放った異能で足が凍った。
「降参する!」
俺は両手を上げた。
「は?どう言う事だ?」
4人に見詰められた。
「降参する。俺には脳内チップは入って居ない。リョウと話をさせてくれ。そしたら嘘では無いと解る筈だ。」
不信そうな顔をされる。
それはそうだろう。
生きる為。
俺はカプリスを選ぶ。
最大級の賭け。
何故だか大元帥にも勝てる気がする。
俺の異能も役に立つかもしれないし。
「名前は伊良林レイ。日本人。職業はマジシャンだった。幻影と幻想の異能を使って脳内チップが入れられたフリをして来た。」
信じてくれ・・・。
「あっ!!脱出マジックの人!」
リュートが俺の顔をまじまじと見詰めてきた。
「そうそう。それ。」
良かった。リュートが居てくれて。
まだ疑われているが何とか榎津さんの部屋に連れて行って貰える事になった。
「此奴も脳内チップ抜くのか?」
部屋に入るなりオッドアイの男がそう言った。
やっぱり抜けるのか!
「俺は元々入ってません。」
そう言うと榎津さんの視線が痛い。
「レイ?もしかしてイリュージョンで騙してきたのかい?」
榎津さんの問に頷いた。
あっ。洗脳が解けてるんだ!
柔らかい表情でクスクスと笑われた。
「ホンマや!え?何でなん?」
リョウが興味津々で。此奴は嘘つきが嫌いなんだよね。
でも、今までして来た事を話そう。
カプリスの皆にも。
蔑まれても俺は生き残りたいんだ。
「俺も仲間に入れてくれ。」
そう言うとカプリスのボスは苦笑しながら手を差し出した。
「協力してくれるかい?」
「大元帥と元帥の恐怖政治が終わるなら何でもする。」
元の世界に未練は無い。
でも、俺は平和な世界には未練タラタラなんだ。
カードマジックやコインマジックも得意だったのに。
世間が俺に求めた物は脱出マジックだった。
大掛かりな仕掛けで直前まで撮影されて脱出する。
定期的にテレビでスペシャルゲストとして呼ばれて稼がせて貰っていたがそろそろネタ切れ。
飽きられてきた頃。もう俺は精神的に病みつつあった。
「レイさん。この脱出マジックで視聴率取れなかったら打ち切りです。」
プロデューサーにそう言われた最後かもしれない脱出マジックの日。
俺はこの世界に召喚された。
箱の中で鎖を解いて後は地下を通って脱出だと思った時に脳内に流れた召喚メッセージ。
そして記憶の無い中で榎津裕也に出会った。
もう元の世界に戻れないと言われたが記憶が無いのに何故か嬉しくホッとしたのを覚えている。
実は・・・。俺は脳内チップが入っていない。
それは誰も知らない。
召喚された異世界人は1週間は赤子の様に眠ると言う。
しかし、俺は当時、重度の不眠症だった。
睡眠薬が無いと眠れない生活。
そのお陰で。脳内チップを入れられる前のベッドで目が覚めた。
その部屋にはアインシュタインと言う機械と日本人が居た。後から知ったのは元帥だと言うこと。
記憶は無いがこれは不味い事態だと身体が危機感を感じた俺は異能を発動した。
うん。何故か?異能が発動したとも言える。怖かったし死ぬかもと言う思いからかな。
幻影と幻想。
それは俺に脳内チップが入ったと思わせる幻影を見せた。
成功。騙せた。
1週間後に記憶が戻った俺は普通に警察官になった。その後は異能がレアなので政府異能者になりSランクとなって今に至る。
マジシャンはポーカーフェイスでいるのが日常なのでバレずにここまで生きて来たんだと思う。
後は殆ど喋らない!!人と関わらない!これに限る!
簡単だ。
後は政府の言い付けを守るだけ。異能者を殺すだけ。
勿論、最初は抵抗があった。
でも、元の世界に戻っても俺の居場所なんて無い。
生放送で消えたんだぞ?
世間は大騒ぎになって帰ったら記者会見?バッシング?ヤラセ疑惑?
そもそも帰れないと言われたし。
マジシャン以外の職業なんて考えられないし。
と言う訳で腹を括ってこの世界で政府異能者として生きる事にした。
脳内チップは入って居ないが稀に洗脳はされている。会議中とか。
エメリヒ大元帥だ。不自然に目を合わせないとバレるから普通に目を見る。
そうするとちょっと脳内チップの入った異能者の様に一時的になってしまう。
これは非常に不味い。
俺はジ・パングから西アン・デスに移動希望を出してなるべく大元帥や元帥達とは関わらない様に仕事をして来た。
だが・・。このカプリスの連中によって西アン・デスの平穏な日々が壊された。
金印が盗まれた後は月の半分は他国やジ・パングに居る。
そして、今日またしても此奴らだよ。
あーあ。
此奴ら強いんだよね。
しかも、死んだと言われているリュートが居る。榎津さんの部屋にはオーガもだ。そして同じSランク異能者だったリョウも。
リュートとオーガにリョウ。3人は日本人で脳内チップが入っていた筈なのに。
何があった?!
脳内チップは抜けるのか?
困惑しながらも幻想と幻影の異能を発動し身を隠した。
カプリス全員強くなってる。
特にこの氷の異能者。
西アン・デスで会ったもう1人の日本人は榎津さんの部屋か?
あいつは何故か政府が召喚した異世界人じゃ無かった。
そして俺を知っていた。
不味いと思って誤魔化したんだったな。
少し羨ましく思えた。
でも、政府にいる限り俺は安泰だ。
そう安泰なんだ。
――リュート流・一本背負い――
考え事をしていたら見事に発見されてしまった。
「クソ!!」
めちゃくちゃ痛い!!
――幻影――
街背景を元に戻す。
危ない。あの氷の異能者危険だな。
居場所がバレる。
また凍気かよ。
リュートがまた!!?!
「負けない!」
体術を受け止めた。
身体強化タイプは苦手だ。強いし。
俺の攻撃は不意打ちと幻想を見せたりする事だから真っ向勝負に向いて無い。
リュートの猛攻撃からの氷の攻撃。
――幻影――
「逃がしませんよ?」
メガネの男の強烈な蹴り。
「グハッッ!!!」
必死で姿を消す。
でも、バレる。
氷の異能者の攻撃も強烈で俺は吹っ飛んだ。
今は見てるだけの転移異能者も変な召喚をする筈だ。悪魔召喚?
それ発動されたら死ぬな・・・。
俺は此処で死ぬのか?
賭けだ。
このまま政府に残るか。
カプリスに命乞いするか。
人生はマジック。
氷の異能者が放った異能で足が凍った。
「降参する!」
俺は両手を上げた。
「は?どう言う事だ?」
4人に見詰められた。
「降参する。俺には脳内チップは入って居ない。リョウと話をさせてくれ。そしたら嘘では無いと解る筈だ。」
不信そうな顔をされる。
それはそうだろう。
生きる為。
俺はカプリスを選ぶ。
最大級の賭け。
何故だか大元帥にも勝てる気がする。
俺の異能も役に立つかもしれないし。
「名前は伊良林レイ。日本人。職業はマジシャンだった。幻影と幻想の異能を使って脳内チップが入れられたフリをして来た。」
信じてくれ・・・。
「あっ!!脱出マジックの人!」
リュートが俺の顔をまじまじと見詰めてきた。
「そうそう。それ。」
良かった。リュートが居てくれて。
まだ疑われているが何とか榎津さんの部屋に連れて行って貰える事になった。
「此奴も脳内チップ抜くのか?」
部屋に入るなりオッドアイの男がそう言った。
やっぱり抜けるのか!
「俺は元々入ってません。」
そう言うと榎津さんの視線が痛い。
「レイ?もしかしてイリュージョンで騙してきたのかい?」
榎津さんの問に頷いた。
あっ。洗脳が解けてるんだ!
柔らかい表情でクスクスと笑われた。
「ホンマや!え?何でなん?」
リョウが興味津々で。此奴は嘘つきが嫌いなんだよね。
でも、今までして来た事を話そう。
カプリスの皆にも。
蔑まれても俺は生き残りたいんだ。
「俺も仲間に入れてくれ。」
そう言うとカプリスのボスは苦笑しながら手を差し出した。
「協力してくれるかい?」
「大元帥と元帥の恐怖政治が終わるなら何でもする。」
元の世界に未練は無い。
でも、俺は平和な世界には未練タラタラなんだ。
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