都合のいい男

美浪

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決戦まで後〇〇日・・・

オーガとリュートの目覚め

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ボスとシアン、ウェン、ハーミット様とゼットにリョウは会議。
洗脳についての話から。
リョウは海誠先生の時は感じた違和感が解らなかった様で少し悔しがっていた。

洗脳ってかけられた直後は威力が強くて解らないのかもしれない。

俺も会議に参加したかったんだけど。

どうしてもオーガの異能がパワーアップしないそうで試しに俺とリュートとラズと荒野に来ている。

「おーし!!今日もやるぞー!」
最近はリオでバックスレーさん達と特訓しているリュートは明らかに強くなっているのが解る。

「何で俺の異能は俺にしか発動しないのかなあ。」
オーガはらしくないくらい落ち込み気味。
彼はボスとシアンに鍛えられている。
体術だけは強くなってきたそうだ。

「異能を目覚めさせるって難しいよなあ。俺もこの前漸く新しい技が出来たし。」
ラズが慰める様にオーガの肩をポンと叩いた。

「俺も残りの四神と神人が目覚めて無い。」
何とかしないと・・。

「まっ。取り敢えずやろうか。俺が氷使うからオーガがリュートとミナキを護るんだ。」
ラズが言う通りに先ずはやってみる事にした。

「さて。ミナキは結界は我慢するんだぞー!」
ラズが凍気を纏った。
荒野の俺達の周りに冷気が立ち込める。

「何の技が無難かなあー。」
ラズはブツブツと言いながら凍気を纏った拳で攻撃してきた。

――異能破棄デストロイ――

オーガの異能はやはり自分だけ。
俺とリュートは氷の打撃を受けた腕が軽く凍った。
「まじで凍る!」
「オーガがんばれ!!」
反撃という反撃はしない。オーガを頼るという訓練。

「ほらほら仲間が凍るぜ?」

――凍気の矢フロストアロー――

氷柱?!!!
氷柱の様な矢の様な氷が勢いよく此方に飛んできた。

避け無きゃ刺さる!

俺はガードしながら必死で避け、リュートは氷の矢を受けて破壊。

オーガの異能の効果で自分の目の前で矢は溶ける。

「うーん?広範囲のイメージだろ?」
ラズがムスッとした顔でオーガを見詰める。
「解っているけど・・。」
このままじゃダメだとまたオーガは落ち込むし。

「良し!1回俺が護るよ。ジャンルは違うけどさ。」
結界張ってみよう。
そう言えば2人をきちんと護った事が無い。

「ラズ。何でも良いよ?」
ニヤっと笑うとラズもニヤっと笑い返す。

「言ったな?」

――氷の墓石アイスグレイブ――

――四神結界――

四神の柱が俺達の周りに立ち結界を張る。
ラズのアイスグレイブを受けるのは初めてだ。

これはキツい!!

結界を凍らせる様な凍気がピシッ!ピシッ!と伝わる。

「凍らせるかよ!!」

更に強化!修復!

「すげー!これが結界の中なんだ!」
「安心感が凄いな!」
2人は感動している。

「ジャンルは違うけど目指すはこの全体的な感じね?」
必死でラズの凍気から護り抜いた。

「くそ!ミナキの結界もかなりパワーアップしてるなあ?破れねーとはなあ。」
ラズは悔しそう。

「そりゃ、皆を護るのが俺の役目だから。必ず護るよ。」
それが俺のこの世界に来た意味だとも思っている。

「役目か・・。俺の異能ってやっぱり虐めが原因なのかなあ。自分だけ護られれば良いって根本は考えているのかも。」
オーガが悩む様な顔で地面に座った。

「一旦、考えようか。」
俺達も地面に座る。

「虐めにあってたの?」
そう聞くとオーガは小学校の話をしてくれた。そして中学デビュー。
友達は沢山出来たけど根強いのはやはり小学生の頃の自分かもしれないと言う。

オーガの性格って虚勢だったのかもなあ。

俺は皆が居ないと発動しない結界だった。
オーガは皆には発動しない異能だけど。

ボスが出来ると言っていると言う事はそう言った縛りがある異能じゃないのか。

「異能はイメージ。」
「うん。異能はイメージだ。」
俺とラズは頷きあう。

「イメージ・・。」
オーガが溜息を付いた時だった。

「俺!何か出来るかも!」
リュートが急に立ち上がった。
バタバタと足踏みしてワクワク顔。

「ほら!やっぱりさあ!ゲームとかの必殺技って今なら使えそうじゃない?」
リュートは波〇拳とか打てそうと言い出した。

「そうだな。俺達って沢山参考になる物見て育ったよなあ。」
「うん。俺も何かやれそうな気がする。」
オーガと俺も頷く。

「えーと。何にしよう!」
リュートは思い出す様に技を考えだした。

「じゃあ俺も異能破棄を拡大ねー。」
諦め気味だったオーガの目が輝き出してる。

「上手く行くかもな。」
「うん。」
俺とラズは暫く見守る事にした。

俺も何か思い付かないかなあ。
頭上の四神達を見上げる。

――ねえ?青龍、白虎、匂陳は何の異能を持ってるの?――

うー。必要な時が来ないと答えてくれない。
何時もここぞと言う時に目覚めるのは解っているのだけど。今じゃ無いのか。

「ミナキも苦労してるなあ?」
「そうなんだよ。」
ラズに労われながら待つこと数十分。
2人はちょっと離れた所でオーガは主に考えている感じ。リュートはイメトレの様に身体を動かしている。

「ねえ!?出ない!!」
リュートがどんなに溜めようとしてもウェンの光弾の様な技が出せない!と言い出した。

「そりゃあ。向き不向きだ。お前はバックスレーと同じ身体強化タイプだから気を変化させたり飛ばしたりは一朝一夕のイメージだけでは上手くいかない。」
ラズは真面目にそう答えた。今更だけど向き不向きね。
異能者は何でも有りじゃないのか。
ゲーム技ってラズはイメージ的に知らなかった様で俺がその事知ってたらリュートに早く教えてあげられたのに・・。何か申し訳無い。

「だいたいカプリスはレアタイプな異能者ばかり集めているんだよなあ。ボスの趣味?」
「俺もレア?」
ラズはうんうん。と頷く。

「そうか!!自分に向いてるジャンルね!」
リュートが嬉しそうに近付いて来た。

「ラズさん!勝負!」
リュートはニヤっと笑った。
「おぉ。良いぜ。」

オーガはまだ考えながら異能破棄を出したり解除したりしている。


ラズとリュートの体術バトル開始。

普通の拳と蹴りのバトルからリュートがラズの懐に飛び込んだ。

――リュート流・山嵐――

柔道技だ!!その強化版の様な感じでラズを掴んだ瞬間豪快に投げ飛ばした。

「うぉっ!!」
ラズも上手く受身を取った。

「やるね。」
「本職ですから!」
その後も数々の柔道技の強化版にラズは翻弄されていた。

ラズがもう疲れた!とリュートにストップをかける。
「あれだな。びっくりするぐらいお前が疲れて無いのが凄い。」
「そう言えば・・。何時もより疲れて無いです。」

息が上がっているのはラズだけでリュートはまだやれそう。

「それに技をかける度にスピードが上がってたしパワーも上がってた。何がそうさせてるのか解らないけど。」
ラズがそう言うとリュートは嬉しそうに頷いた。
リュートは柔道技をかけだすと無双するのかもしれない・・。ある意味、異能なのかな。

「多分!出来る!!うん。やれる!」
遠くに居たオーガが叫んだ。

「じゃあ、やってみよう!」
おいで!と此方に呼んだ。

「全体攻撃いや全体回復。うん。パーティーを全体回復するイメージ。俺は魔道士・・・。」
オーガはブツブツ言いながら俺達の側に来た。
そのイメージはあながち間違いじゃない。

「行くぞ!」
ラズが凍気を纏う。

オーガを中心に3人並んで迎え撃つ形。
でも、俺とリュートは防御だけ。

――凍気の矢フロストアロー――

来る!!!防御体制で構えた。

――全員異能破棄マクロデストロイ――

初めて解った。

結界とは違う。

暖かいベールに包まれる様な感触。

凍気の矢は俺の目の前で砕け散る。

「うおー!!!!」
「すげー!!」
「やったじゃん!オーガ!」
出来た本人が1番びっくりしていた。

満面の笑みで本当に嬉しそうだった。
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