都合のいい男

美浪

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決戦まで後〇〇日・・・

ゼットが変!?

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「お疲れ様。今日はどうだった?俺は疲れまくりだよ。」
珈琲でも入れるかとキッチンに立ちお湯を沸かす。
インスタントコーヒーでも良いかな。
マグカップで多めに作ろう。
改めてハッキングもしたいし。インスタントでも充分に良い香り。

ん?ゼット?

「アルージャ・・。」
え?!気配消えたと思ったら!

ゼットが!!突然のバックハグ!??

背後から俺を抱き締める腕。

ギュッとキツく俺を抱き締めてくる。
あっ。ゼットの匂いがする。

って、何?
「ゼット?どうした?」

めちゃくちゃドキドキしてる。
絶対、顔も赤い。

何が起きているんだ?
俺の脳内は現在パニック中です。

「アルージャ。ごめん。ちょっと我慢して?」
「え?」
首筋にチュッとキスされた。

「あっっ・・・。」
ゾクゾクするぅ・・。

チュッ。

あっ。また・・。抱き締められていなければ立って居られなくなりそうだ。

突然?発情したの?

え?俺で良いの?

「アルージャ。ごめん。」
そのごめんって何だよ?

「あっ。また・・・。」
ゼットはまた俺の首筋へキスをした。

そして・・・・・・。

ガブッッッ!!!

え?

「いっっってぇーーー!!!!」

痛い!痛い!痛い痛い痛い!!!
思いっきりゼットを振り払った。

「噛み付くな!!どうした!ゼット!」
首の後ろを思いっきり噛まれた。

「だから。ごめんって先に謝ったよ。」
「噛むとは聞いてない。いや、別にお前になら噛まれても良いんだけど。」
えーと・・・。

仕舞った!せっかくの良い雰囲気をぶち壊してしまった・・。

見詰めたあったまま沈黙が流れた。

「うん!良かった!戻ったね!」
ゼットの言っている意味が全く解らない。

「アルージャ。軽く洗脳されてたよ?ハッキングのせいかな?」
「え?!」
全く思い当たる感覚が無い。

「多分、誰も気づかないと思うよ。僅かな匂いの変化と瞳孔の大きさかな?」
ゼットにそう言われて思わず自分の匂いを嗅いでみた。
瞳孔?瞼を押さえてみたり。

「いや、もう洗脳解けてるから。」
ゼットがクスクスと笑った。

「解くために噛んだの?」
首の後ろを擦る。まだ歯型残ってるよ。

「そう。急な痛みや刺激で軽い洗脳は解けるって昔、教わった事があって。」
「・・・。そうか。」
あー!もー!めちゃくちゃ期待したのに。

「ごめん。ちょっと躊躇しちゃって直ぐに噛めなくて。うん。」
ゼットの顔は何だか照れていて。こっちまで恥ずかしくなる。
「うん。いや、別に良いんだけど。」
良くないけど。良い。

「待て、俺が洗脳されているということはウェンも!?下手したらミナキも?」
「あっ。一緒に行ったのか。普段の匂いが良く解らないから区別が付かなかったけど。」
おいおい。機械になっても洗脳の能力が残っていたのか?

「ウェンにいやミナキに電話してみるよ。」

電話出ない。お楽しみ中か?でも、心配だ。

「ゼット!ウェンの部屋に行く!着いて来い!」
エッチの最中だったら深く謝ろう。

ウェンの部屋のインターホンを鳴らす。
出ない。
チッ!ピッキングするしかないな。

「アルージャ、相変わらず凄いね。」
「普通。ゼットもピッキング覚えたら楽だよ。」

さて、目の毒では有りませんように。

そっと扉を開けた。

「ウェン!ミナキ!入るぞ!!」

部屋は静かだった。
エッチ中なら喘ぎ声くらい聞こえそうだが。

「ハーミット様!!助けて!!」
ミナキの叫び声が聞こえて急いで中へ駆け込んだ。

リビングでミナキに剣を向けるウェンの姿があった。
まじか・・・。

「おい!ウェン!」

「何?邪魔しないで。」
冷酷な目。おいおい。それは俺達やミナキに向ける目じゃないぞ。

「急にウェンがおかしくなったんだ!」
ミナキは正常なのかな。

もう何から何まで疑わしくなる。
「恐いだろ?ウェンの匂いおかしい。さっきは解らなかった。」
ゼットが悲しそうな声でそう言った。

急な痛みや刺激か。相手はウェンだしな。
剣持ってるし。

「ミナキを殺して俺も死ぬ。ミナキを元の世界には帰さない。」

「だから!!帰らないって言ってるだろ!ウェン!!!もう!」
傍から見たらヤンデレの痴話喧嘩みたいだけど。

違うのが問題だ。

「ゼット。」
目で合図。

幸い直ぐに刺しそうな感じじゃなくて多分、ウェン自身が抵抗してる気がする。

ウェンの背後から腕を羽交い締めで捕まえた。
「アルージャ!離せ!!」
「離すか!バカ!」

ゼットが捕まえたウェンの肩に思いっきり噛み付いた。
「いったぁぁ!!何!?ゼット?!」

フッとウェンの表情が変わった。
目の感じとか。あぁ。本当だ。違う。

「わー。血が出てる。ん?え?」
本当に洗脳されてたな。

「ごめんね。洗脳されてたんだ。」
ゼットがすまなさそうな顔でウェンに謝った。

「あぁ。やっぱり!」
ミナキは察していたのかホッとした顔をした。
「潜入から帰ってきてからウェンがずっと変だったから。」
ミナキはウェンの傍に寄って傷にそっと触れた。

「治すね。」
ウェンの肩の傷が癒えていく。

傷が癒えたウェンはヘナヘナとその場に座りこんだ。
「俺、ミナキを・・・。」
ウェンの目には涙が潤んでいて。俺、こんなウェンは初めて見たかも。

「ごめん。ミナキ。本当にごめん。」
「大丈夫。不安に付け込まれたんだよね。洗脳って恐いね。」
そっとミナキはウェンを抱き締めて頭を優しく撫でた。

「総帥の洗脳か。いや・・。映像だけど俺達はエメリヒを見た。」
まさか?いやそのまさか?

何だよ。その異能力の強さ。

「ミナキは大丈夫?」
ゼットに確認。ゼットはクンクンとミナキの匂いを嗅いで大丈夫だと言った。

やっぱり人間より遥かに嗅覚が優れているから解るそうだ。
匂いは俺には解らなかった。

目は少し解った。

「軽い洗脳はこれで大丈夫。本格的なのは時間がかかる。」
ゼットが居てくれて良かった。

「多分、今日話した何かが間違いだと思う。ごめんね。上手く言えない。」
ゼットは難しい顔でうん!と勝手に納得して頷いている。

「ありがと。一先ず良かった。多分、俺はミスリードした。少し考えないと。」
何が正解で間違いなのか。

「ウェンの洗脳は不安に付け込まれたのか。それとも総帥が召喚したミナキがエメリヒにとって邪魔なのか。」
またしても悩める事態だ。

「ゼット、ありがとう。」
「俺も同じく助かった。」
ウェンと2人でひたすらゼットに感謝。

明日、もう一度、ボスと話し合う事を決めて今日の所は部屋に戻る事にした。
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