都合のいい男

美浪

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決戦へ向けて

リョウのバトルと・・飛んで火に入る夏の虫

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漁港を出て直ぐに偵察異能で敵は見つかった。
イデクトって奴やな。

問題は限界突破ってやつや。もうなあ、散々特訓してきてんねん。

強いて言うなら『嘘』に関する以外の攻撃系の異能は欲しいなあ。

そんなん考えていたらイデクトを追い詰めた。
「クソ!何者だ!!」

「うーん?雇われたねん。お前はイデクトやなあ?」
奴は無言で睨みつけて仕掛けて来た。

蹴り、拳、蹴り、飛び蹴り・・。全部見えてるっちゅーねん。

そやね!情報提供でもして貰お!

――嘘つかんと答えなあかんで嘘ついたら針千本飲ます――

「さあ、喋ってもらうで。嘘はつけへんよ?」

「何しにこの島に来たん?」
答える気無さそうな顔してた奴は驚いた表情でポロっと吐いた。

「この島に新しいダークネスのアジトを作るため。」
あー。やっぱりなあ。そやないとこんな島選ばんわ。
この島に4人とこの前処刑された奴2人やな?

「残党は全部で何人?」
イデクトは耐えている様子だったがやはり抗えず。
「10人。」
と答えた。
「ダークネスのボスは死んだな?今、1番強いのは?」
と尋ねると「イルーズ」と答えた。
なるほど。親切に政府に捕まって処刑された事を話すとショックを露にした。

後、4人居るのは面倒やけど。イルーズが1番強いんやったら大丈夫か。

って、考えていると猛ダッシュで逃げ出したし。
もう、鬼ごっことか勘弁してやぁ。

追い掛けると海岸に出た。
そして、奴は見事に結界にぶち当たって倒れた。

「何だ!!壁?!シールド?」
結界をバシバシと殴り付けるイデクト。

「ほらほら。逃げられへんちゅーねん!」
結界攻撃したらミナキがキツがってんやろなあ。

まあ、俺の嘘付けない空間って結界みたいな束縛能力ないからなあ。

じゃ!殺るか!
結界への攻撃をするイデクトへ蹴りを入れて吹っ飛ばした。
「注意力散漫や。」

嘘が付けないだけか・・。後は体術やねんなあ。
自信はあるけど。
同じSランクとのバトルは正直・・しんどい。

「ちくしょう!!」
イデクトは距離を取り構えた。
異能攻撃か。

海岸の砂が舞い上がった。

風か!ありガチやな!
足が速いのは納得やで。

砂と共に風圧と鎌鼬。
剣を抜き受け止める。

「剣で受け止めた?!」
そんなビビった顔されても困るで。

「残念やなあ?」
レベルが違うんよ。俺、Sランクやで?
背後に回っても良かったんやけど敢えての正面。

相手の懐に入り込み・・・。
刺した。
「ガハッ!!!」
イデクトの口から鮮血が溢れる。

「おおっと!返り血嫌いや。」
後ろに飛び退いた。
そやね。やっぱ殺るなら背後やね。

そのままイデクトは前のめりに倒れ動かなくなった。

「あかん。何も進歩してへんわ。」
もうちょい強い相手でないとなあ。

って!?この気配!!

急いで偵察異能を発する。

「ミナキ!あーちゃー!彼奴ら何で来たん?」

漁港へ急がな!!


           ・・・・・・・・・・・・


結界への攻撃が収まったが漁港に1隻の船が到着した。

「げっ!ヤバいじゃん。」
もう知っているから気配で解る。

船から降りて来たのはオーガとリュート。

「カプリス?お前達か?この島を占領しようって言うマフィアって?」
オーガが結界を挟んで俺の前に立った。

「2日前に通報があったんだよね。知らない住民が廃墟に住み着いて居るって。」
リュートはオーガの横に立ちそう言った。

「俺達は金で雇われてダークネスの残党を殺しに来たんだよ。」
結界は抜かりなく。
まだ、鉄壁を張る力もある。

「ダークネス?あー。プエル・トリコのか。」
「どうする?カプリスも捕まえて帰ろうか?」
目の前で話し合い出す2人。
舐められてると言えばそうだ。

いや、これはチャンス?
逆に捕らえる事が出来たら拉致の手間が省けるのでは?!

考えろー!呼ぶ?エルーカさんとバニラさん!
そうするか!

「カプリスのフール君。仲間は?」
そう聞きながらリュートが結界に蹴りを入れた。
結界はバチッ!!と音を立て防ぐが広範囲過ぎて直ぐに破壊されそう。

相変わらず馬鹿力だ。


「居るよ。呼ぼうか?」
電話を取り出しニヤっと微笑む。

「呼ばなきゃ弱いもんなぁ?」
オーガが小馬鹿にした様に笑った。
ムカつく・・。笑ってろよ!

「もしもし!今すぐアト・ランティスへ。オーガとリュートが居るんだ!」
エルーカさんは驚いて居たが。

多分、直ぐに転移してくるだろう。

偵察・・・。リョウが間もなく到着。
他の皆も戦闘終了。

「おい!フール!」

――異能破棄デストロイ――

オーガの異能発動により四神結界が破壊され始める。
やっぱりこの異能は必要だよね。

四神戻れ!

結界は破壊されなければ俺に身体的ダメージは少ない。

「殺る気か?」
オーガがクスッと笑った。

「知ってる?飛んで火に入る夏の虫って言葉。」
2人相手に殺れるとは思って居ない。

でも、殺るんじゃない。捕らえるんだよね。

原理はこの前、獣人の女性の時と同じ。

「は?何、言ってんだ?」
オーガが剣を抜いた瞬間、左右からリョウとウェンが駆け付けた。

――九芒星鉄壁ノナグラム――

オーガ、リュート捕獲。

「無事?!」
ウェンは俺の前に出て庇う様に構えた。

「うん。捕まえた。」
俺にもやっぱり出来る事ある。

それが嬉しい。

「お待たせ。」
「連絡ありがとう。」
背後からエルーカさんとバニラさんの声。

そして、シアンとラズも到着。

鉄壁を何とかして破壊しようとしていた2人の動きが止まった。
「まじかよ・・・。」
「あの2人って!?この前オーガが!!」

トラウマになっているのか嬉しいのかオーガとリュートの顔は明らかに赤面していた。
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