都合のいい男

美浪

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シアンを取り戻す

ヴェガさんの話を考えよう。

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「ミナキはいつ知った?」
ウェンが不服そうな顔で聞く。
「3人で警護ミッションに行った時。」
と素直に答えた。

「秘密にしてと言われたし。ごめん。」
口止めは2人からしっかりされてたしなあ。
「言われたの?気づいたの?」
バニラさんも聞いてくる。皆、こう言う話好きなんだなあ。

「博物館ミッションで自分がリュートとバトルして死にそうな時にめちゃくちゃボスの行動見てた話をしたから。率直に聞いたの。」
そこは本当だし。正直に答えた。

「全く。殺人鬼シアン屈折し過ぎだ。楽しそうだからマフィアを裏切るのとボスに一目惚れでマフィアを裏切ったのとは全然話が違ってくるじゃん!」

ラズが言うのは正論だ。

まあ、ボスが先に惚れたのだと思うのだが。そこは伏せておこう。

「ボス目当ての裏切りか。可愛いな。」
バックスレーさんが笑いながらそう言うとハーミット様もケラケラ笑いだした。

「最近、上手く行きつつあったんだろうなあ。シアンが変わったと思っていたんだ。うんうん。政府をハッキングして調べようかね。」

ヴェガさんの寝室のドアが再び開き落ち着いた顔のボスが出て来た。

「えーと。私情で皆を巻き込もうとしていて申し訳ない。」
ボスは頭を下げた。

「良いんじゃない?俺達、出会って10年。初めてのボスの浮いた話だ。レア過ぎて面白いし。」
プッとハーミット様は笑う。ボスは照れた様に微笑んだ。


「おーい。纏まった様だから俺の話も聞いてくれ!」
ヴェガさんが口を開いた。
「エンバスター家の子飼いのマフィアの1つイーヴェンデルタを潰したいんだ!」

あっ。そのマフィア何か聞き覚えある。

「イーヴェンデルタはマーシェルファミリーと対立関係にあるんだが如何せんエンバスター家が邪魔。」
ヴェガさんの説明が今の所、シアンと結び付かない・・・。

「ヴェガ、説明下手だから俺が話すよ。」
ジハードがそう言うとヴェガさんは大人しく引き下がった。

「エンバスター家がマフィアを使って政府管轄国のプエル・トリコを制圧して乗っ取ろうと計画を立てているんだ。」
やっぱりマフィア編の話だ。政府対マフィア。

「その政府管轄国制圧計画にイーヴェンデルタってマフィアがいる。あと2つくらいの組織で戦争を仕掛けるらしい。」

ヴェガさん達は今迄、イーヴェンデルタとずっと争っているらしいがエンバスター家の後押しがあるため彼等の資金源は尽きる事無くなかなか決着が付かないらしい。

「政府管轄国制圧戦争にはSクラス異世界人異能者が必ず来る。ヴァルヴァラもね。」
シアンと繋がった・・・。

「それはカプリスとマーシェルファミリーは政府側に付くという事?」
エルーカさんが首を傾げた。

「正確には違うな。政府とエンバスターの対立の間にお互いの目的を達成させる。言ってる事難しいよねー。俺もヴェガの言う事を理解するのに時間かかったもん。」
ジハードは苦笑した。

「出し抜くって事か。勢力が弱った瞬間にイーヴェンデルタを潰しシアンを奪還する。」
ハーミット様がそう上手く行くかね?と言った。
俺も含めて皆、考え込み黙った。


マフィア編かぁー。読み返して無いから記憶薄い。
そもそもプエル・トリコだっけ?

政府は勝つんだよね。
でも、圧勝では無く被害は出た。
ジェイムズ・エンバスターさんはここで死ぬ?
後は?肝心のヴァルヴァラは居たか?記憶無し!
シアンは?

いや?シアンは居なかったぞ?

海誠先生が現場に居なくて聞いた話を書いたと過程するなら話は変わる。
遺跡での出来事も聞いた話だからSクラス異能者が居るのを知らなかったのか。

それとも・・・。
俺が未来を変えている?

ヴェガとカプリスが組む事も無かったし。
だからジハードとヴェガが双子って事も知らなかった。

良い方向に進んでいるの?いないの?

「全然、解らない。」
あっ。思わず心の声が漏れた。

「難しいね。俺も解らない。」
ウェンが隣で首を傾げている。

待て。政府対マフィア編にヴェガさんもマーシェルファミリーも出ていない!
これは確かだよ。

じゃあこれは似て非なる別の話になる。

・・・もう、漫画の内容は使えないのかもなあ。

「ヴェガ。ヴァルヴァラは本当に出てくるのか?確実?」
ディードが尋ねると
「プエル・トリコは元々はヴァルヴァラの管轄だ。だから絶対に現れる。」
ヴェガさんは自信満々に答えた。

「俺は自分のハッキングを1番信用してるからね?調べるから待ってよ。」
ハーミット様の意見に皆も頷いた。

「まー。仕方ねーな。今日直ぐにOKが出るとは思ってないから。俺は仕事してくるから考えといてくれ。」
幹部は出勤しねーとうちのボスはうるせーんだよと言ってヴェガさんは着替え始めた。

「今夜は何処に泊まるんだ?ジハードはうちだろ?空いてる部屋にベッド置くか?」
ネクタイを締めながらヴェガさんが俺達を見た。

3LDKマンション。あと二部屋にベッド置く?
「ジハードがやりたいなら俺達は出て行くよ。」
ボスがそう言うとジハードがブッと吹いた。
「ゲホゲホ!ボス!!」
やらないし!とジハードは真っ向否定した。
ヴェガさんはちょっと寂しそう。

「ハッキングするから。今後のカプリスの事を決めるのも住む場所を決めるのもそれから。今夜は此処に泊まる。」
今はハーミット様に逆らえそうに無い。

ヴェガさんは出勤し俺達はハッキング終了まで寛ぐ事にした。
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