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遺跡
俺のミス
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カプリスのアジトに戻れた。
部屋に着いた瞬間、全員、床にヘタり込んむ。
何が起こった?
ヴァルヴァラの光弾がボスが転移魔法陣に乗るより早かった。
あと数歩・・・。その瞬間にシアンが転移魔法陣から出てボスを魔法陣に向かって突き飛ばした。
光弾が当たった瞬間に結界は吹き飛んでシアンは光弾を食らった・・。
俺にはそう見えた。
漫画とは違う。シアンは裏切ったんじゃなかった。
ボスを庇って政府組織に取り込まれたんだ。
それが政府の言い分と事実の違いか?
海誠先生には伏せられていた事実?
いや。
そんな冷静な分析なんてしている俺は最低だ。
護れなかった・・・。護るって誓ってこの世界に来たのに!!
俺は・・。俺は・・・。
「ごめんなさい。俺のせいでシアンが・・・シアンが!」
そう口にした途端、涙が溢れて来て止まらなくなった。
「違う!!俺が悪い!」
ボスが恐ろしい程の殺気を放ち唇を噛み締める。
「ミナキもボスも落ち着け。俺も相手の異能を見る力が少しある。」
ハーミット様が口を開いた。
「あの赤毛はヴァルヴァラの従者だった。意思のある従者とでも言うかな?もしかして。シアンもそうなるのか?ぬいぐるみからシアンに戻って政府組織の人間になるのか?」
ハーミット様がボスに尋ねた。
「そう・・・だ。」
ボスは苦しそうな声を出してまたギリッと唇を噛み締める。
「だから落ち着け。もし、ボスが光弾に当たっていたら?ミナキだったら?この世界生まれの異能者は全滅する事になったかもよ?」
ハーミット様がそう言うとボスは睨みつけた。
「俺って何時も損な役回り。でも、これは全員そう思っていると思う。頼むから少し落ち着いてくれよ。」
ハーミット様は立ち上がり俺とボスの頭を優しく撫でた。
「ボス。俺からも頼む。冷静になれ。兎に角、此処を早く引き払った方が良い。」
元締めがシアンが政府の手に渡ったらこのアジトがバレるのも時間の問題だと言った。
「はぁ。解ったよ。全員、今すぐ引っ越す!荷物纏めろ。ディードはすまないが荷物を縮小してくれ。」
ボスが大きく溜息をつきそう言った。
部屋へ戻れ!急げと言われ皆、慌てて立ち上がった。
俺も泣きながらだけどウェンに肩を貸してもらい立ち上がった。
最後の最後に結界が破壊された現実が重くのしかかる・・。
「ミナキ。」
ウェンが悲しそうな顔で俺を見る。
ウェン。ごめんね。俺、多分、今オーラ赤くないね。シアンが好きとかじゃなくてボスとシアンの事を俺だけが知っているからこそシアンがボスを庇った意味が解って辛い。
「ごめん。荷造りしよ。」
荷物を纏めると言っても服をスーツケースに入れたり縮小してもらう物を固めて置くだけだ。
虚しいな。まさかこんな事になるとは思わなかった。浅はかな夢を見た気分と無力な自分にどんどん落ち込む。
「縮小しに来たよ。」
ディードが部屋に入ってきた。
片手にはパンを持って食べながら。ディードも異能の使い過ぎでかなり顔が疲労している。
「ありがとう。ディード。」
ウェンの顔も疲労の色が見える。
「俺さ。シアンを勘違いしてた。マフィアを簡単に裏切ってカプリスに入ったし。何時も勝手だし。殺しにしか興味無いし。」
ディードがソファを縮小しながらそう言った。
「でも・・。あいつもカプリスを好きだったんだな。」
沈黙が流れた。テレビ、ベッド改めて急に引越しとなると物が沢山あるんだと感じた。本当にこのアジトを・・・俺達は出るんだな。
「シアンを助けたいね。」
ウェンがボソッと呟いた。ウェンの口からシアンを助けたいって・・聞けると思わなかった。
「ミナキもボスもこのままじゃ一生引き摺りそうだし。」
やれやれと言って溜息をついた。
「そうだね。まあ、先ずは引越しして体制を整えよう。考えるのはそれから。」
ディードも優しく微笑んでハーミット様の部屋に行くねと言って出ていった。
「出ようか。」
ウェンに言われて小さくなった家具や家電をバッグに入れて部屋を出た。
アジトに1人、また1人と集合した。
「行先は何処にする?なるべくアマル・フィから離れた方が良いよな?そして安全で信頼出来る仮住まい。」
元締めがそう言ってチラリとジハードを見た。
「了解。ユウエンの言いたい事は解った。リオのヴェガの家に飛ばしてくれ。」
ジハードはヴェガさんにメールを打ち始めた。
「決して安全な国では無いから出来れば早めに引越ししたいわね。」
エルーカさんがそう言った。
やはりジ・パングから遠い国は強い政府異能者が多い。
荷造りが終わってボスが入って来たけど憔悴しきっていて・・・。早く休ませないとヤバいくらいに見えた。
「先ずはヴェガの家に行く。飯食って寝て!翌日、考えよう!」
ジハードがそう叫んだ。
「じゃあ、転移させる。俺は駆除屋に帰るから。何か決まったら連絡してくれ。」
元締めは錫杖を出し転移魔法陣を描き始めた。
シャン・・・シャンシャン・・・。
「またな。」
元締めがフッ寂しそうな笑顔を見せる。
そして俺達は楽園の様なアジトを去った。
部屋に着いた瞬間、全員、床にヘタり込んむ。
何が起こった?
ヴァルヴァラの光弾がボスが転移魔法陣に乗るより早かった。
あと数歩・・・。その瞬間にシアンが転移魔法陣から出てボスを魔法陣に向かって突き飛ばした。
光弾が当たった瞬間に結界は吹き飛んでシアンは光弾を食らった・・。
俺にはそう見えた。
漫画とは違う。シアンは裏切ったんじゃなかった。
ボスを庇って政府組織に取り込まれたんだ。
それが政府の言い分と事実の違いか?
海誠先生には伏せられていた事実?
いや。
そんな冷静な分析なんてしている俺は最低だ。
護れなかった・・・。護るって誓ってこの世界に来たのに!!
俺は・・。俺は・・・。
「ごめんなさい。俺のせいでシアンが・・・シアンが!」
そう口にした途端、涙が溢れて来て止まらなくなった。
「違う!!俺が悪い!」
ボスが恐ろしい程の殺気を放ち唇を噛み締める。
「ミナキもボスも落ち着け。俺も相手の異能を見る力が少しある。」
ハーミット様が口を開いた。
「あの赤毛はヴァルヴァラの従者だった。意思のある従者とでも言うかな?もしかして。シアンもそうなるのか?ぬいぐるみからシアンに戻って政府組織の人間になるのか?」
ハーミット様がボスに尋ねた。
「そう・・・だ。」
ボスは苦しそうな声を出してまたギリッと唇を噛み締める。
「だから落ち着け。もし、ボスが光弾に当たっていたら?ミナキだったら?この世界生まれの異能者は全滅する事になったかもよ?」
ハーミット様がそう言うとボスは睨みつけた。
「俺って何時も損な役回り。でも、これは全員そう思っていると思う。頼むから少し落ち着いてくれよ。」
ハーミット様は立ち上がり俺とボスの頭を優しく撫でた。
「ボス。俺からも頼む。冷静になれ。兎に角、此処を早く引き払った方が良い。」
元締めがシアンが政府の手に渡ったらこのアジトがバレるのも時間の問題だと言った。
「はぁ。解ったよ。全員、今すぐ引っ越す!荷物纏めろ。ディードはすまないが荷物を縮小してくれ。」
ボスが大きく溜息をつきそう言った。
部屋へ戻れ!急げと言われ皆、慌てて立ち上がった。
俺も泣きながらだけどウェンに肩を貸してもらい立ち上がった。
最後の最後に結界が破壊された現実が重くのしかかる・・。
「ミナキ。」
ウェンが悲しそうな顔で俺を見る。
ウェン。ごめんね。俺、多分、今オーラ赤くないね。シアンが好きとかじゃなくてボスとシアンの事を俺だけが知っているからこそシアンがボスを庇った意味が解って辛い。
「ごめん。荷造りしよ。」
荷物を纏めると言っても服をスーツケースに入れたり縮小してもらう物を固めて置くだけだ。
虚しいな。まさかこんな事になるとは思わなかった。浅はかな夢を見た気分と無力な自分にどんどん落ち込む。
「縮小しに来たよ。」
ディードが部屋に入ってきた。
片手にはパンを持って食べながら。ディードも異能の使い過ぎでかなり顔が疲労している。
「ありがとう。ディード。」
ウェンの顔も疲労の色が見える。
「俺さ。シアンを勘違いしてた。マフィアを簡単に裏切ってカプリスに入ったし。何時も勝手だし。殺しにしか興味無いし。」
ディードがソファを縮小しながらそう言った。
「でも・・。あいつもカプリスを好きだったんだな。」
沈黙が流れた。テレビ、ベッド改めて急に引越しとなると物が沢山あるんだと感じた。本当にこのアジトを・・・俺達は出るんだな。
「シアンを助けたいね。」
ウェンがボソッと呟いた。ウェンの口からシアンを助けたいって・・聞けると思わなかった。
「ミナキもボスもこのままじゃ一生引き摺りそうだし。」
やれやれと言って溜息をついた。
「そうだね。まあ、先ずは引越しして体制を整えよう。考えるのはそれから。」
ディードも優しく微笑んでハーミット様の部屋に行くねと言って出ていった。
「出ようか。」
ウェンに言われて小さくなった家具や家電をバッグに入れて部屋を出た。
アジトに1人、また1人と集合した。
「行先は何処にする?なるべくアマル・フィから離れた方が良いよな?そして安全で信頼出来る仮住まい。」
元締めがそう言ってチラリとジハードを見た。
「了解。ユウエンの言いたい事は解った。リオのヴェガの家に飛ばしてくれ。」
ジハードはヴェガさんにメールを打ち始めた。
「決して安全な国では無いから出来れば早めに引越ししたいわね。」
エルーカさんがそう言った。
やはりジ・パングから遠い国は強い政府異能者が多い。
荷造りが終わってボスが入って来たけど憔悴しきっていて・・・。早く休ませないとヤバいくらいに見えた。
「先ずはヴェガの家に行く。飯食って寝て!翌日、考えよう!」
ジハードがそう叫んだ。
「じゃあ、転移させる。俺は駆除屋に帰るから。何か決まったら連絡してくれ。」
元締めは錫杖を出し転移魔法陣を描き始めた。
シャン・・・シャンシャン・・・。
「またな。」
元締めがフッ寂しそうな笑顔を見せる。
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