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遺跡
逃げ切れるか?
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参った。このガキ強すぎる。
カプリス結成10年。1番のピンチ。
人生でこれ程の強敵と手合わせしたのは初かもしれない。
しかも1体1じゃない。4対1の俺達と対等以上のバトルをしやがる。
Aランクの政府異能者?いやSランクかもな。
全然、思考が追いつかない。逃げるアイデアや勝つ方法すら考える暇が無い。
俺の異能の地獄の大鎌の発動の一瞬がバレている。行動が読まれている。異能発動時の僅かな気の流れを感じ取る力か。
使おうとすると光弾が来る。
この光弾は当たると無生物に変えるだけじゃない。無生物になった人間をマリオネット化する?様だ。
異能が何か解っても今回ばかりは全く役に立たない。攻撃に当たってはダメだ。
ジハードの重力、シアンの拘束も発動の瞬間が与えられない。
いい加減疲れてきた。傷だらけの身体から少しずつ流れる血が冷静さを失わさせる。
ヴァルヴァラの異能力の底が見えない。今、此奴は何発?何十発?光弾を放った?
全員で攻撃する?
いや、被害が出る確率が高い。
ミナキの結界で護りきれるだろうか。
でも、此処はあいつに頼る方法しか思い付かない。
最悪、俺が犠牲になろう。カプリス全員を巻き込んだのは俺の気まぐれだから・・・。
「ボス!!」
バックスレーのデカい叫び声がした。
良かった。あいつらは勝ったか。
「ふーん?マイケルとダクシナが死んだ・・・か。」
ヴァルヴァラが不満そうな顔で俺達を見た。
「誰か欲しいな?」
ヴァルヴァラがそう呟いた瞬間にバックスレー達へ向かって今迄で1番デカい光弾が放たれた。
ノールック、放つ気配すら解らなかった。
「ミナキー!!」
ウェンの叫び声と
爆音と爆風と・・・。土煙で様子が解らない。
「チッ!厄介な異世界人だ。」
ヴァルヴァラが眉間に皺を寄せている、良し!!護ってくれたか!
この瞬間を逃すな!!
「撤退!!」
俺は叫んだ。全員、心得ている。迷うことは無い。全力で逃げる。
それが俺達のポリシー。仲間を優先。
ミナキの結界が俺達を包み込む。
「果たして壊れないか?自信なしです。でも頑張ります!」
俺は良い仲間を持った。
「走れ!」
ヴァルヴァラは攻撃をしながら追ってくる。
結界の範囲は約10メートル程の小規模円。ミナキを中心に全員をギリギリ護れる範囲。
多分、この前の様に壁状態の結界だと直ぐに破られるからだろうな。
後、少し。
「ボス!!何か来る!」
ラズが叫んだ。
景色が変わった。
此処に来てダンジョンマスターの復活かよ。
道が無くなった。異空間?街?地下街?なんだこれ。
「ボス!これは幻影だ。このダンジョンマスターは元マジシャンなんだ!全部嘘!」
ミナキの声に我に返る。
「なるほど。悪かった。少し焦り過ぎたな。」
冷静じゃない自分なんて久しぶりだ。
目の前のトリックに騙されるなってか。
「ウェン!先導してくれ!俺は殿をやるから!」
大丈夫。ウェンなら見える。
俺はもしもの為に。メンバーを護る。
此処は遺跡から雑木林に続く道。足元は土。
そう。この地下街の様な風景は偽物。ダンジョンマスターの気配は消えた。
ウェンの攻撃を受けた傷は癒えていなかった様だな。悪足掻きと見て良さそうだ。
問題はヴァルヴァラの背後からの止まない攻撃。
ミナキは必死で結界を維持している。
後、少し。
間もなく抜ける。転移魔法陣に乗ったら終わる。
「ヤバいです!!」
ミナキがはぁはぁと苦しそうな顔で。
結界が破壊され始めた。
後少しなのに。
抜けた!!
「張さん!!」
魔法陣を描き待っていた張さん達を発見。
その瞬間にゾクリと殺気を背後に感じた。
来る・・・。
間に合えー!!
1人、また1人と転移魔法陣に入る。
ああ。コマ送りだ・・・。時間がゆっくりと流れている。
死ぬ・・・。
解ってしまうんだよな。異能者って。
光弾が背中に迫るのが解った。
皆を巻き込むより俺がこれを受けよう。
金印を転移魔法陣に投げ込んだ。
「ランジャン愛してるよ。」
耳元でシアンの声がした。え?!
俺の身体が激しく魔法陣に突き飛ばされた。
「シアーーーン!!!!!」
光弾がシアンを襲う。
光弾を受けたシアンの身体は片手で抱けるほどのぬいぐるみに変わってポトリと地面に落ちた。
ヴァルヴァラがぬいぐるみを拾い上げた。
「残念。殺人鬼シアンか。ボスかミナキが欲しかったのに。」
ヴァルヴァラが何か言っている。脳が追いつかない。
「シアン!!シアン!」
「ボス!もう無理だ!行くぞ!!」
転移!!
「待て!シアンが!シアンが!!」
「次に会う時はシアンは敵だよ?」
ヴァルヴァラが最後にそう言ってニヤっと笑って手を振った。
カプリス結成10年。1番のピンチ。
人生でこれ程の強敵と手合わせしたのは初かもしれない。
しかも1体1じゃない。4対1の俺達と対等以上のバトルをしやがる。
Aランクの政府異能者?いやSランクかもな。
全然、思考が追いつかない。逃げるアイデアや勝つ方法すら考える暇が無い。
俺の異能の地獄の大鎌の発動の一瞬がバレている。行動が読まれている。異能発動時の僅かな気の流れを感じ取る力か。
使おうとすると光弾が来る。
この光弾は当たると無生物に変えるだけじゃない。無生物になった人間をマリオネット化する?様だ。
異能が何か解っても今回ばかりは全く役に立たない。攻撃に当たってはダメだ。
ジハードの重力、シアンの拘束も発動の瞬間が与えられない。
いい加減疲れてきた。傷だらけの身体から少しずつ流れる血が冷静さを失わさせる。
ヴァルヴァラの異能力の底が見えない。今、此奴は何発?何十発?光弾を放った?
全員で攻撃する?
いや、被害が出る確率が高い。
ミナキの結界で護りきれるだろうか。
でも、此処はあいつに頼る方法しか思い付かない。
最悪、俺が犠牲になろう。カプリス全員を巻き込んだのは俺の気まぐれだから・・・。
「ボス!!」
バックスレーのデカい叫び声がした。
良かった。あいつらは勝ったか。
「ふーん?マイケルとダクシナが死んだ・・・か。」
ヴァルヴァラが不満そうな顔で俺達を見た。
「誰か欲しいな?」
ヴァルヴァラがそう呟いた瞬間にバックスレー達へ向かって今迄で1番デカい光弾が放たれた。
ノールック、放つ気配すら解らなかった。
「ミナキー!!」
ウェンの叫び声と
爆音と爆風と・・・。土煙で様子が解らない。
「チッ!厄介な異世界人だ。」
ヴァルヴァラが眉間に皺を寄せている、良し!!護ってくれたか!
この瞬間を逃すな!!
「撤退!!」
俺は叫んだ。全員、心得ている。迷うことは無い。全力で逃げる。
それが俺達のポリシー。仲間を優先。
ミナキの結界が俺達を包み込む。
「果たして壊れないか?自信なしです。でも頑張ります!」
俺は良い仲間を持った。
「走れ!」
ヴァルヴァラは攻撃をしながら追ってくる。
結界の範囲は約10メートル程の小規模円。ミナキを中心に全員をギリギリ護れる範囲。
多分、この前の様に壁状態の結界だと直ぐに破られるからだろうな。
後、少し。
「ボス!!何か来る!」
ラズが叫んだ。
景色が変わった。
此処に来てダンジョンマスターの復活かよ。
道が無くなった。異空間?街?地下街?なんだこれ。
「ボス!これは幻影だ。このダンジョンマスターは元マジシャンなんだ!全部嘘!」
ミナキの声に我に返る。
「なるほど。悪かった。少し焦り過ぎたな。」
冷静じゃない自分なんて久しぶりだ。
目の前のトリックに騙されるなってか。
「ウェン!先導してくれ!俺は殿をやるから!」
大丈夫。ウェンなら見える。
俺はもしもの為に。メンバーを護る。
此処は遺跡から雑木林に続く道。足元は土。
そう。この地下街の様な風景は偽物。ダンジョンマスターの気配は消えた。
ウェンの攻撃を受けた傷は癒えていなかった様だな。悪足掻きと見て良さそうだ。
問題はヴァルヴァラの背後からの止まない攻撃。
ミナキは必死で結界を維持している。
後、少し。
間もなく抜ける。転移魔法陣に乗ったら終わる。
「ヤバいです!!」
ミナキがはぁはぁと苦しそうな顔で。
結界が破壊され始めた。
後少しなのに。
抜けた!!
「張さん!!」
魔法陣を描き待っていた張さん達を発見。
その瞬間にゾクリと殺気を背後に感じた。
来る・・・。
間に合えー!!
1人、また1人と転移魔法陣に入る。
ああ。コマ送りだ・・・。時間がゆっくりと流れている。
死ぬ・・・。
解ってしまうんだよな。異能者って。
光弾が背中に迫るのが解った。
皆を巻き込むより俺がこれを受けよう。
金印を転移魔法陣に投げ込んだ。
「ランジャン愛してるよ。」
耳元でシアンの声がした。え?!
俺の身体が激しく魔法陣に突き飛ばされた。
「シアーーーン!!!!!」
光弾がシアンを襲う。
光弾を受けたシアンの身体は片手で抱けるほどのぬいぐるみに変わってポトリと地面に落ちた。
ヴァルヴァラがぬいぐるみを拾い上げた。
「残念。殺人鬼シアンか。ボスかミナキが欲しかったのに。」
ヴァルヴァラが何か言っている。脳が追いつかない。
「シアン!!シアン!」
「ボス!もう無理だ!行くぞ!!」
転移!!
「待て!シアンが!シアンが!!」
「次に会う時はシアンは敵だよ?」
ヴァルヴァラが最後にそう言ってニヤっと笑って手を振った。
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