都合のいい男

美浪

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遺跡

西アン・デス

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ドレッドヘアの青年「だるいわー。週3で仕事してるよな?俺達。」

銀の髪の少女「今日のは弱かったね。金印まで辿り付かなかったし。来て損した。」

赤い髪の青年「何で死ぬと解っていて遺跡に来るかな?ねえ?」

銀の髪の少女「さあ?バカだからかしら?出動損したわ。帰って寝るわよ。」

ドレッドヘアの青年「もう少し強いと楽しめるのになあ?」


          ・・・・・・・・・・・・


23時アジト。

集合完了。本日は皆、本気衣装だー!
俺はウェンとお揃いが定着した。今日はウェンと仲良く青の武闘着。

「お久しぶりです。元締め!」
元締めの本気衣装は僧侶っぽい。似合う。
「おー!ミナキ!あれからまた強くなった様だな。」
楽しみだ。とニヤっと微笑まれた。

「さあ。いよいよ決行日だよ!」
ボスのテンションが高い。

「予定変更無し。警察はリュート出動確定。政府側がオーガが含まれていないのが少し気になる。」
ハーミット様がちょっと嫌な顔をした。

「まあ、そう上手く行き過ぎてもね?西アン・デスに来たらその時だよ。」
ボスはそう言うが。来るかもな。

転移開始時間になった。

初めて見た。転移魔法陣が出来る所。

「面白い異能だよねー。」
ボスがフフっと笑った。

シャン・・・。元締めの錫杖がなった。
アジトの床1面に大きな魔法陣が描き上がる。
シャン・・・、シャラン・・・。
トン!!錫杖が床を叩いた。

魔法陣が光る。
「いざ!西アン・デスへ」

――転移――

転移したんだな。場所は密林の中だった。
勿論夜中。

「良く見てごらん。」
ボスが指さした方角にピラミッド型の遺跡が見えた。
そして目を凝らして見ると目の前には薄らと光が遺跡まで続いている。
「此処がギリギリライン。遺跡の異能者の能力だろうね。」
結界とはまた違うけど。この光の中は異能者のテリトリー。

「帰るためにはその異能者を殺すか此処まで逃げて来ないといけない。」
俺は大きく頷いた。

「では、行こうか。この中に入った瞬間から気付かれるから堂々と正面突破ね。」
全員、ニヤっと笑いテリトリーへ足を踏み入れた。

気付かれたと言う感覚は足を踏み入れた瞬間に感じた。
薄らと挑発する様な殺気だ。

「ミナキ、試しに捜索して見ないか?」
ボスに言われて頷いた。

朱雀飛べ!

上空に舞い上がる。
月明かりに照らされた遺跡が見えた。
この異能は決して透視が出来る訳では無い。遺跡内に入らなければ探せない。

遺跡の頂上の入口から一先ず外観から見えている遺跡内部へ。
敵は居ないか。

「もっと深く潜りますか?」
「そうだな。俺達も入口から入ってからで良いよ。それと結界は帰り道まで基本使わなくて良い。大丈夫だ。」

遺跡の階段を駆け上がり入口に到着した。
ピラミッド型遺跡の頂上は結構な高さがあって多分ビルにしたら4~5階建て。
という事は5階は下らないといけないんだよな。

頂上内部にはそこそこの価値がありそうな発掘品や神様?をモチーフにした像などが飾られていた。

「俺がルートを見つけて地下の金印まで案内する。」
「ミナキはそれ以外のルートに朱雀を飛ばして異能者を捜せ。」
「張さんは外を警戒。シアンは左側、ジハードは右側を警戒しながら進む。」

後は見つけ次第殺せ。ボスの命令。

「了解。」

奥にある下に降る階段は石造り。2人並んで通れる程の幅しかなかった。

中は真っ暗かと想像していたが所々に明かりが灯っていて薄暗い程度だ。

しかしあまり異能者に暗闇は関係無い。気配と危険察知能力で動けるとボスが前、言っていた。

1階降りると早速道は3つに分かれていた。階段は狭かったが中の道は倍くらいはあった。

「真っ直ぐだな。ミナキは好きに動いて見て回れ。」
「了解。」
今の所、誰も居ない。
誘われていると言った感じだろうか。

「ボス。外にラスボスが到着したな。まだ中に入る様子は無い。」
元締めがコイツら相当な手練だよ?と苦笑した。

「やっぱり、帰り道と言うか?彼等はこの遺跡に常駐して居ないんだろうね。連絡を受けて出動するんだろう。」
ボスはそう言いながら先頭を進んで行く。

「ストップ。戦闘開始だ。」
俺達に止まる様に指示。

目の前の薄暗い道の先から勢い良く短剣数本飛んできた。
でも、俺でも避けられる。成長したなあ。

「ちっ。少しはやるようだな。」
見た所、異世界人では無い男性。

「お前が下手くそなんだよ。」
その背後から・・・。あっ此奴は強いな。殺気で解る。異世界政府異能者か。

「本当にまだ何もしないで大丈夫だよ。」
ボスがそっと俺に耳打ちしてきた。結界は温存か。

「くそ!俺が殺る!」
異世界人では無い奴がまた短剣を投げてきた。
確かにこれは避けられる。
「ウザいよ?君。」
ジハードが奴の後ろにスっと回り込み蹴り倒した。
壁にぶち当たり動かなくなった。

「悪いねぇ。弱い奴相手にさせちゃって。」
異世界人・・・。見た所、中近東系の顔立ちだ。

そう彼が言った瞬間だった。
「お前も弱いじゃん?」

ディードが背後に回っていた。ブスり・・・。腹には剣が刺さっていた。

「終わり。じゃ行こうか。」
拍子抜けする様にバトルは終了してしまった。

いや、全員が強くなっているんだ。博物館の時より確実に。

俺はこの階を朱雀を使って網羅する。
「あっ。ダンジョンが動く。本当に変化させてますね。」
正解の道を選んでも遠回りさせようと迷路が出来上がる。

「今度は5人来るよ。」
「後ろから2人。」
ボスとシアンがそう言った。

「気を抜くなよ。」

近づくにつれてビシビシと殺気が伝わる。

「後ろの奴は俺が殺るね?」
シアンが嬉しそうにそう言った。

「じゃ、前の連中は殺りますか!」
バニラさんとバックスレーさんが前に進む。

これはまだ序の口なんだな。俺はバトルを見ながら朱雀を飛ばして回る。この階に異能者は残り2名。下の階に降りるか。
ダンジョンマスターは何処だよ。

シアンは2人相手に全く引けを取らず一撃ずつで仕留めた。

バニラさんも負けていない。
まだ異能は使わずに1人斬り捨てた。

勿論、バックスレーさんは相手が反応する前に殴り倒している。

「全然、弱いな?」
バックスレーさんもシアンも不満そう。

「外の奴らが3人になった。男2人、女1人。」
元締めがそう言った。

「あー。此奴は倒せるか?逃げるか?危険な賭けになりそうだね。」
ボスが元締めの言ったことに苦笑した。

「また来たよ。」
ウェンが敵と言った。

「遊んできなよ?」
ボスがそう言うとウェンの顔が戦闘モードになる。
冷ややかで本当に殺す事を何とも思わない瞳。

「クソ野郎共が!殺ってやるぜ!」
勢い良く駆け付けて来た異能者をウェンはスっと避けて斬り捨てた。
もう1人もセリフを言えずに刺されて倒れた。

「これは?階を降りると強くなるのかな?」
ゲームにありがち。とウェンはそう言ってまた俺の隣に来た。

「さあ、4階に降りよう。」
遺跡5階は簡単にクリア出来た。
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