都合のいい男

美浪

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計画と実行

ヴェガとジハード

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家に戻るとウキウキしたヴェガの顔。
クソムカつく。

「良かったな。ガブリエル。あいつずっと悩んでたんだよ。」
ヴェガがソファに腰掛けてそう言った。

「そっか。ディードはその話はあまりしたがらなかったからなあ。聞きにくかった。」
別れた時はマジ凹みしてたけど。

「この前、駆除屋の仕事で会っただろ?あのチビ?」
「ミナキな。」

「そうそう。相手居るって話してただろ?誰か聞いてなかったからさあ。」
ガブリエルが急に気にしだしてね。と笑った。
「電話でもメールでも聞けただろ?」
全く、何時も急過ぎる。

「会うのが1番だろ?俺も会いたかったし。」
そう言うのを減っちゃらで言えるヴェガ。
何時もいつも振り回される。

「で?相手は?」
「ミナキの彼氏?ウェンだけど。」

「はー??ウェン?何でそうなる?あの全く喋らない無表情の冷徹男だぞ?」
冷徹ね・・。まあ、そう見えなくも無いか。

「じゃ、待ってて。」
見ないと信用出来ないタイプだからウェンにメールしてみよう。
嘘だろ?と言う怪訝な顔のヴェガ。
ウェンとミナキは直ぐに家に来た。

「こんばんはー。ヴェガさん!本当に来てる!!」
お久しぶりですとミナキは挨拶。
「何か用事?」
ウェンはそう言って入って来た。

「まあ、座りなよ。珈琲入れるよ。」
ミナキとウェンは仲良くダイニングテーブルに座る。ヴェガもその前に座った。
俺も珈琲を入れてヴェガの隣に座る。

「で?何か用事?」
ウェンは人見知り激しいからなあ。ヴェガにも殆ど慣れて居ない。何故、ミナキにはあんなに素直になれたんだろう。

「ガブリエルも来てるんだ。」

「へー。あれ?ガブリエルさんは?ディードさんとこ?」
ミナキはウェンに聞いたのかそう言った。

「寄り戻したの?」
ウェンはフフっと微笑んだ。

そう。沢山笑う様になったんだよなあ。

良かったね。だね。とミナキと顔を見合わせて笑顔を見せるウェン。

ヴェガは信じられないと言った顔で2人を見ている。
「いや、まあ。この前、駆除屋の仕事で新メンバーのミナキと会ってガブリエルがちょっと焦っていたと言うか何と言うかでな。来たんだよ。」
ヴェガ・・・。珍しく気不味そうに話しているので笑える。

「何故、ガブリエルが焦る?ん?ああ。ミナキとディードがとか考えたのか?」
ウェンは不機嫌そうな顔でヴェガを見た。

「でも、電話で聞けば早かったんじゃ?あっ!!そっかぁ。」
ミナキはニッコリ笑って不機嫌そうなウェンの肩をポンポンと叩く。
「何だかんだ理由つけて会いたかったんだよ。」
プッッ!ウケる。笑いこらえるのに必死だよ。ヴェガもそう言われて珍しく狼狽えているし。

「そうか。なるほど。」
ウェンもミナキに言われると直ぐに納得してまた平然とした顔に戻った。

「話はそれだけ?」
「そう。見ないとヴェガ信用しないから。ごめんね。」
ウェンはまたフフっと笑った。
「いいよ。邪魔しちゃ悪いから帰ろうか?ミナキ。」
「うん。じゃあまた!」
ウェンとミナキはディードも良かったねぇと話しながら仲良く帰って行った。
本当に仲良しで素直な2人。


「はぁー。ミナキってすげーな?」
ヴェガはまだ驚いていた。
「ね?心配要らないだろ?」
うん。と動揺しながら頷いた。そのくらい久々にウェンを見たら変わり様に驚くんだろうな。

漸く落ち着いて晩御飯。そして風呂。
するんだろうな・・・。

風呂から上がると炭酸飲料を飲みながらヴェガは寛いでいた。
俺も何か飲もう。

「ジハード。」
ってもう俺の背後に居るし!!
「待てよ。飲ませろ。」

飲んでる最中から背後から抱き着かれる。
ぐっと飲み干して振り返った。

「がっつき過ぎ。」
「ずっとお前の事ばかり考えていた。」

綺麗なオッドアイの瞳。俺と双子なのに似てない顔立ち。
スっとメガネを外された。
「お前の目も綺麗だよ。」
心を見透かす様にヴェガはそう言う。

優しく唇が触れる。
この前はキスしかしてなかったからな。

「愛してる。ジハード。」
濃厚なキス。絡む。気持ち良い・・。


またエッチなんかしたら寂しくなるのに。
だから会いたくない。
会いたいけれど会いたくない・・。

子供の時。何故あの日、別々の道を歩んだ?
手を離さなければ良かった・・。

俺が好きな癖に何故マフィアを抜けてカプリスに来ない?
俺もカプリス抜ける気は無いからお互い様か。

ねえ?本当に俺が好き?
モテまくる癖に。

ああ・・・。

そう思える自分が嫌になる。

「だからぁ。サカリ過ぎだって。」
キスしながら下半身を押し付けてくるヴェガ。
俺も反応しているけれど。

「ベッドじゃないと嫌だ。」
最後の抵抗・・。

「沢山、愛してやるよ。」
ヴェガはそう言って俺を抱える。全く体型同じなのにお姫様抱っことか止めて欲しいんだが・・・。絶対、誰にも見られたくない姿だ。

身体だけじゃなくて心も素直になれたら楽だろうな。

ミナキやウェンみたいに・・・。
俺・・・羨ましいんだな。

寝室のベッドに優しく降ろされた。

「やっぱり。したくない!!」
「は?ジハード?どうした?」
ヴェガは困惑の表情を見せた。

「まさか?誰か好きな奴とか出来たのか?え?嘘だろ?!」
怒りと悲しみの混じった声と顔で。全く直ぐそっちの勘違いするんだよなあ。

「違う!!ねえ?ヴェガは寂しくならないの?」
首を傾げるバカ兄貴。

「俺はヴェガが帰った後・・・。寂しい。」
多分。初めて言ったと思う。ウェンとミナキに当てられたかなあ。

ヴェガがギュッと抱き締めてきた。
「何時も言っているだろ?好きだ。愛してる。何時も何時もお前の事しか考えていないんだよ。寂しくない訳ないだろ?」

「言われ過ぎると逆に不安。」
「困った弟君だな。」

ヴェガの優しいキスを受け入れる。

脱がされる俺もヴェガを裸にする。

「好きだよ。ヴェガ。」
・・・。ヴェガの顔が赤くなるのが解る。
可愛い。

「ジハードが・・・。可愛すぎるー!!」
スイッチを押してしまった様で
激しい愛撫が始まった。

「ちょっ・・・。待って。あっ・・。」
咥えられながら指まで入れられたら直ぐイクって・・・。

「本当に・・・ヴェガぁ・・・。」
身体を震わせて口内に出した。

興奮しきったオッドアイの目は早く俺と繋がりたがっていた。

「ヴェガ。来て・・。」
「ジハード。愛してる。」
グッとヴェガが俺の中に入ってくる。

ヤバい。何か何時もより気持ち良過ぎて・・・。
はぁ。あっ・・・。イク・・・。

心が溶けると身体も溶けるんだ。

「ヴェガ・・・。」
「ジハード。」
優しく。優しく。そして激しく。

満たされる・・・。

きつく抱き締められてヴェガが俺の中に出す。

「まだ。したい。」
繋がったまま溶ける様なキスをしてヴェガがまた動き出した。
「もう・・・。元気過ぎ。」
「朝までしたいくらいだよ。」

本当にずっと繋がっていたい。

「愛してる。ヴェガ・・・。」
「ジハード。俺のジハード。」
切なそうな瞳のヴェガ。

明け方までやってしまった。

「ジハード。愛してるよ。」
「うん。」
汗まみれでトロトロな身体を浄化して眠る。
もう一気に睡魔に襲われる。

ヴェガも珍しくグッたりとやり過ぎたと言う感じで。

後、3時間後に起きられる自信はないが。
2人で抱き合って眠りに着いた。
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