都合のいい男

美浪

文字の大きさ
上 下
58 / 180
計画と実行

嬉しいんだけどね

しおりを挟む
お姫様抱っこされてジムを出た。

夜遅く閉店近かったので客は疎らだったが受付の人には見られたし恥ずかし過ぎた。

「あの・・・ウェン?」
「このまま帰ろうか?」
いや、そのー。恥ずかしい。
「せめておんぶ・・。」
ウェンは抱き抱えたまま俺の顔を見詰めてそうか。おんぶでも良いのか。と言って俺を下ろした。

「回復かけて歩いて良いんだけど。」
「いや、まあ良いじゃないか。」
異能に反応するマフィアや警察居たら困るよ。等とウェンは言って俺をおぶった。

背中温かい。
「重くない?」
「全然。」
恥ずかしいけど何か照れるし密着が幸せ。

「ミナキ。」
「何?」
何でもない。とウェンは照れた様に微笑む。
そのまま家までウェンにおんぶされたまま帰宅した。

部屋に入りフラフラとソファに座る。
「ありがとう。」
六根清浄、六根清浄、急急如律令。

身体に力が戻る。打撲による痛みも無くなった。だがしかし。
「腹減ったね。」
ウェンに言われて俺の腹も鳴る。

「プッ!ミナキの腹は正直だ。」
カップ麺食べようと言ってウェンはお湯を沸かし始めた。

夜中の2度目の晩御飯。塩ラーメン。
ズルズルと啜りながら反省会。

「ミナキは強くなったよ。」
「でも、当たりもせず倒れてばかりだった。」
ウェンは頷きながらもこの世界に来た時より成長してるから直ぐに強くなるよ。と褒めてくれる。

「ウェンは優しいよね。」
本当にそう思う。
「優しい?俺が?ミナキにだけだけど?」

・・・。顔、赤くなるのが解る。そう言うのサラリと言われると物凄く照れる。

「あっ・・。ありがとう。」
照れながらラーメンをズルズル啜る。

確かに出会うまでは今日の修行のウェンのイメージが俺には強かったかな。笑顔を初めて見た時の衝撃とキュン死しそうな気持ちが蘇る。

ご馳走様でした。

風呂入って今日はもう遅いので寝る事にした。
回復かけたけどやっぱり疲れてるな。
布団入って早々に眠気に襲われる。
「ミナキ、おやすみ。」
ウェンが優しくキスして来て抱き締めてくる。
「おやすみ。」
甘える様にウェンの腕に包み込まれた。
心地よい・・・。

そのまま朝まで爆睡。


翌日以降もエルーカさんとバニラさんとの修行後の夜にウェンと修行。

帰りはおんぶ・・・。

そう言う事を1週間程続けていた。


8日目の朝。

身体が物凄く軽く感じる。

「おはよう。ウェン。何か身体が凄く調子良い。」

ウェンは起きたての目をパチパチさせて俺の顔を見た。

「成果出た!」
ニヤっと微笑む。今日は勝てるかもよ?と言われて確かに行けそうな気がするとさえ思えた。

朝ご飯を食べて最近は日課となったエルーカさんの部屋に向かう。

「おはよう。ミナキ。あら?」
「おはよー。あっ・・・。」
エルーカさんとバニラさんが俺の顔をまじまじと見詰めて
「何か隠れてトレーニングした?」
「強くなってる!」
と嬉しそうに言った。俺はウェンと夜に少しと言うとちょっと冷やかされたけど。

ジム地下でいざ!勝負。

「行くわよ!」
エルーカさんの合図でバトル開始。

あっ・・・。

本当に行けるかも。

スピードが早く感じない。

俺はエルーカさんの初手を軽く避けた。

女性相手はやっぱり抵抗あるんだけど俺の蹴りはエルーカさんに受け止められた。

そう。受け止められた。当たったんだ。

「やるわね。やっぱり強くなってる。」
エルーカさんがニヤっと笑って仕掛けて来た。
今日は本当にエルーカさんの攻撃が見える。

「はーい!次は私!!」
バニラさんがワクワクした顔で手を上げた。
「クソ!本当に当たらなかったわ。」
エルーカさんは少し悔しそう。

「行くよ!」
バニラさんの目付きが変わり殺気を放つ。
さっきのバトルを見て火がついた様だ。

ダッ!!と駆ける様にバニラさんが俺に迫る。
でも!避ける!!
蹴りを躱す。

身体が動く。あんなに必死だったのに今日は苦じゃない。

俺の攻撃は片手で止められたがやっぱり当たった。


最終的に俺は全て攻撃を避ける事が出来たので今日は俺の勝ち!!


「あー!悔しいわー!」
「本当に強くなったねー?」
エルーカさんもバニラさんも悔しそう。

「ありがとう。本当に2人のお陰!」
感謝しておりますと頭を下げると2人からも頭をポンポンポンポンと叩かれる。

「うんうん。ミナキは頑張り屋さんだ。」
「頑張り屋さんよね。」
本当に皆のお陰なのに優しい。

漸くカプリスのスタートラインに立った感じだ。
明日も頑張ろう!と2人に言われて解散。

ウェンの部屋に帰る。


「ただいまー!」
「お帰り。」
今日はウェンのほ方が帰りが早かった。

「勝った!正確には全部避けた!」
ちょっと自慢気にウェンに言うとニッコリと笑って抱き締めてくる。

「良かった。俺も頑張った甲斐があった。」
「うん。ありがとう。」
本当にウェンのお陰だよ。

「ねぇ。ミナキ。」
「何?」
ウェンの顔を見詰めるとちょっと赤くなったかと思うとソファに押し倒された。

「欲求不満。もう無理。」
確かに1週間してなかったけど。

ウェンは何時もこう言うの突然くるなあ。

でも、熱い視線で俺もムラムラ・・。

久しぶりの濃厚なキス。

そして俺とウェンはそのままソファで・・・。した。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

悩める文官のひとりごと

きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。 そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。 エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。 ムーンライト様にも掲載しております。 

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

合鍵

茉莉花 香乃
BL
高校から好きだった太一に告白されて恋人になった。鍵も渡されたけれど、僕は見てしまった。太一の部屋から出て行く女の人を…… 他サイトにも公開しています

フローブルー

とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。 高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

【完結】運命さんこんにちは、さようなら

ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。 とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。 ========== 完結しました。ありがとうございました。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

処理中です...