都合のいい男

美浪

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西アン・デスに向けての修行

一先ず修行は明日から

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思い立ったら行動。
ボスは電話をしている。駆除人ってあの死体処理する人達だよね?

え?死体処理するの?ちょっと嫌だし修行になるの?
ボス、勝手に決めちゃうしウェン怒ってないかなあ。

ウェンの顔を見ると仕方ないなと言う顔をしている。
「ねえ!ウェン。駆除人の所で修行って大丈夫なの?」
電話中なのでコソコソと話かける。

「俺は経験ないけれど。ラズと?エルーカもバニラも経験者。」
と頷きながら俺の肩をポンポンと叩いた。
そうなの?修行になるんだ?

「危険察知能力が身に付くよ。」
ハーミット様は横からそう言った。危険察知能力。確かに俺に全然足りない能力だ。

「明日から行っておいで。明日はラズに同行頼むから連れて行って貰って。1週間で気配、危険察知能力がましになるから。」
ボスもそう言う。

「解りました。では明日から。」
もう決定事項なんだなあ。今日はゆっくり休みなと言われたのでアジトを出た。


「ねえ!ウェン!買い物行かない?」
「ん?何欲しい?」
給料も入っている筈だし!調理器具を買いたい。
「晩御飯作りたいんだ。」
そう言うとウェンが嬉しそうに微笑む。その笑顔にキュンキュン。
今夜はカレーかなあ。
1度部屋に戻って何が必要か確認。

ウェン・・。まじで料理しないんだな。
小鍋とヤカンとポットに冷蔵庫と電子レンジか?
炊飯器から買わねばならないか。

「ウェン!かなり色々買うけど付き合ってね!」
「勿論、当たり前。」

買い物デートに出発!

先ずはお金をおろしに銀行へ。
通帳を記帳するとゼロがいっぱいあった。こんな金額見るのは人生初。
貨幣価値が解らないが20万シェル下ろして見た。
日本円だったら俺のアルバイトの1ヶ月の給料より遥かに多いぞー。

「量販店系に行こうか。」
ウェンに言われて街を歩く。
デートだよなあ。一緒に歩くのも楽しい。

「ウェンは嫌いな食べ物ってある?」
「無い。何でも食べる。」
好き嫌いが無いのは助かるなあ。
「ミナキは?」
と聞かれて考える。
「うーん?ゴーヤ?」
あれはあんまり得意じゃ無い。この世界に無いのかウェンが知らないのか解らないと言われた。

そんな会話をしていると量販店に着いた。
なかなか大きい。ショッピングモール?いやドン・〇ホーテに近い感じ。

家電も食品も此処で揃いそう。
ショッピングカートの大きい方をチョイスして店内を回る。
「良さそうな炊飯器選んで。字読めないし。」
「え?良さそう?うーん?」
炊いた事無いからなあ。と言いながらウェンは取り敢えず見ている。
「1番高いやつが良いやつ?これ9万シェル。」
「そうかもしれないけれどもう少し安くても良いかもなあ。」
貨幣価値が日本円と同じかも。
悩んだ末5万シェルの炊飯器にした。
後は大きめの鍋に包丁にまな板っと。お玉や杓文字もいるか。
フライパンにピューラーも買っとこうかな。
「皿やスプーンや箸はある?」
食器棚を思い浮かべる。
「仲間が来た時用に5人分は揃えている。」
ラズとかカップ麺食べに来そうだもんね。

次は食材。
玉ねぎ、人参、ジャガイモ、肉。何か他にも野菜入れようかなあ。
この世界に来て食生活が偏り過ぎていると本当に思う。気にし過ぎるのは日本人が健康志向だからなのか我が家がその傾向だったからか?
これを食べれば○○に効く!ってテレビを親が良く見て実践していた。
親の影響だな。

取り敢えず今日はスタンダードな日本の家庭のカレーにしよう。
カレー粉はー?固形があるかな?
「ウェンはカレーは辛口?中辛?甘口?」

「何でも食える。ミナキに合わせるよ。」
そう答えた。俺に合わせるなら中辛かな。
どれ?と聞いて選ぶ。
メーカーが日本みたいに沢山は無かったが3種類から適当に。
米も買ってと。

「よーし!買って帰ろう!」
「うん。楽しみ。」
終始嬉しそうなウェンが可愛い。
ボスの話を聞いた後だからかな。ウェンには本当に色々してあげたい。

荷物は結構な量になったが力がついたのか苦になる重さじゃ無い。米も炊飯器もあるけれど。
「大丈夫?それも持つよ?」
「いや、これも修行だよ。」
それもそうだなあと言いつつ2人で帰る。

帰宅したら直ぐに調理に取り掛かった。
そんなに要領よく無いし。

「ねえ?誰か呼ぶ?2人で食べる?」
ウェンはラズとアルージャ呼ぼうかと言ったので米は4人分炊かねばね。

「ミナキ。凄いな。」
「いや?そーでもないよ。」
手際悪いしでもそんな俺を感動する様にウェンは眺めている。
何か新婚さんみたいだなあ。

煮込み始めた頃に玄関のドアがノックされた。
珍しくピッキングしないでラズがやって来た。
「おー!まじで料理してんのか!嬉しいねー!」
「ラズ、いらっしゃい。明日宜しくね。」
駆除人な、とラズは笑う。
結構、きついぞと脅しも入った。キツイのか・・・。死体処理だしなあ。

カレールーを入れると本当に食をそそる香り。腹が減る。
「あー!腹減る匂いだなあ。」
ラズもウェンもワクワクした顔している。

ピンポーンとインターホンが鳴りハーミット様もやって来た。
「カレー!」
入るなり好きなのかキッチンに寄ってきた。
味見してっと。うん美味い。普通のカレーだが、久々食う。

「御飯ついで。」
そう言うと3人とも好きな量を結構なてんこ盛り。俺の分もウェンがついでくれた。

4人でダイニングテーブルに座り
「いただきます!!」

「美味い・・。」
ウェンの笑顔に作って良かったぁとしみじみと思う。めちゃ嬉しい。

「美味いぞ。まじで。」
「俺、家で手作りって食べたの初かも。」
ラズもハーミット様も美味いと言ってくれているし。俺的にも普通に美味いカレーだし。

「俺も初めて。手作り。」
「そうだなあ。俺も。」

キュンとしそうだが悲しくもなって来た。

3人共初めてなんだ・・・。

「作って良かった。また作るからね!」

次はカプリス全員に振る舞いたい。
俺、本当にカプリスメンバー皆を少しでも幸せな気持ちにしてあげたい。

「ありがとうな。」
ラズが嬉しそうに笑う。

大量に作ったカレーも御飯も食べ尽くした。
「満腹!!」
「めちゃくちゃ食ったな。美味かった!」

全員で本当に満腹ご馳走様でした。

皿や鍋は洗うから座ってな。と3人はシンクへ向かう。
「ありがとう。」
そう言うの有難い。何だかんだで洗い物とかちゃんとする男性陣ばかりなんだよなあ。

洗い物が終わるとウェンが食後の珈琲も入れてくれた。

団欒楽しい。
「ハーミット様って何歳なんですか?」
ボスと同じくらいなのかな。若そうに見えるけど。
「俺?俺ねえラズと同じか1個上?」
「知らねぇし。多分?」
24歳か25歳くらいらしい。

「1番年上は?ボスなの?」
そう言うと多分?と言う。
「バックスレーは多分ボスとタメ。」
じゃあ今まではウェンが1番若かったのか。今は俺が最年少。

そんな会話をしながら明日の打ち合わせをラズとして朝9時にラズ部屋に集合となった。
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