都合のいい男

美浪

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ボディーガードミッション

ドキドキボディーガード!

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「行ってらっしゃい!何か有れば直ぐに電話ね!駆けつけるから。」
ウェンに見送られてアジトへ向かった。
衣装はウェンの借り物の青の武闘着。ポケットに形代と腰には小型のナイフを装備。
これを使わずに済むと良いなあ。

アジトへ入るとボスとシアンはもう居た。
「やあ、今日はありがとうね。」
「おはよう。ミナキ。宜しく頼む。」
おはようございます、と2人に挨拶。

「概要を説明するから座って。」
ボスに言われてダイニングテーブル席に座った。
シアンが珈琲入れてくれている。

「依頼主はディッケンダー家。えーと。愛人はシンシア35歳、息子フランツ6歳。」
移動は車2台。1台にシンシアと息子と俺とボス。もう1台にシアン。
基本はシアンが敵を排除。人数次第でボスが参戦。
ここからジ・パングまでは車で4時間ちょっと。
なかなかの道のりだ。

「バトルは市街地からだと思って良いよ。先ずは軽めに結界を張ってくれ。」
そんなに長時間結界張った事がまだ無い。
ちょっと不安。

「顔が不安そうだなあ?ちゃんと飯持って行くから!食えば回復するし。」
ボスがコンビニで購入したのかパンやら飲み物やおにぎりの入った袋をドンとテーブルに乗せた。

「頑張ります。」
コクっと頷く。

「無事成功したら帰りはホテルにでも泊まって美味い飯食って帰ろう。」
ボスはニヤっと笑って立ち上がる。

「行こうか。」
シアンも立ち上がり俺も決意して立った。

1階に駐車していた黒の乗用車で出発。運転はボス。助手席にシアン。後ろに俺。
車は中の広さやシートの感じからして結構高級車っぽい。
「所でミナキって運転出来る?」
「出来ますが左ハンドルは運転した事ないです。」
ん?とボスとシアンが首を傾げる。
あーそうか。日本車の説明。
「へー?変わってるね!なるほど。ちょっと運転はしにくいかもね?でも出来るならOK。」
と言ってくれた。まあ、まだ初心者マークなんだけど。
そんな会話をしているとディッケンダー家付近に着いた。
高級住宅街って感じの場所。
「電話するね。」
シアンがそう言って電話をかけ始めた。
家には入らない様だ。
「少し移動して貰える?そこの角曲がって。」
ボスは頷いて車を移動。

「あれだね。」
黒の高級車が止まっていた。
シアンは車を降りて止まっている車へ向かった。
「うーん。早速尾行されてるね。こりゃ本当に沢山相手するのかもね?」
ボスが苦笑。尾行?!全然解らない!
中からスーツ姿の運転手が降りてきて俺とボスは依頼主の車に乗り込む事になった。
カプリスの車には依頼主側の運転手とシアン。
「お邪魔します。」
運転手は依頼主の所の人でボスは助手席、俺はシンシアさんとフランツ君の居る後部座席に座った。

「あの。宜しくお願いします。」
「宜しくお願いします。」
シンシアさんとフランツ君は不安そうな顔で挨拶をしてきた。
不安だよね。命狙われているんだし。
きっと俺達にも怖がってそう。
「大丈夫だよ。頑張るからね。」
そう言って微笑むと少し安心したのかフランツ君が少し微笑んだ。

「では、出発します。運転手のジャックと申します。私も異能者です。」
運転手さんはそう言ってペコりと頭を下げて運転を開始した。
「大丈夫。解りますよ。」
ボスは微笑む。ボスって便利だよなあ。異能者の能力が解るから。

ウェン達も普通の人と異能者の区別が直ぐに付くと言っていた。俺はまだ解らない。
殺気を放つとかしてくれると力量だけは解る。それも修行なんだろうな。

住宅街を抜けて街へ入る。そこから高速道路へ乗った。

「追って来てますね。解りますか?」
ボスが運転手のジャックさんにそう聞くと多分あの白の乗用車と答えた。

「あと2台いますよ。」
ボスはニヤりと笑う。シンシアさんは息子をギュっと抱き締めて更に不安そうな顔をした。

「ボス!そう言うのダメです。怖がらせてどうするんですか!」
「え?正直に言った方が良いだろ?」
そーだけどー。

「追っては居ても心配しないで!大丈夫です。ボスめちゃくちゃ強いんですよ!」
必死の笑顔で盛り上げる。
高速道路を走る事小一時間。
ここからは一般道だ。

「さあ、ミナキ。本番だよ?」
ボスがそう言う。
だんだんと郊外になり行き交う車も人も少なくなって来た。
「任せて下さい。」

殺気を感じた瞬間結界都合のいい男
発動。

白の乗用車から銃弾が発射された。
パン!パン!パン!!
運転手さんは慌ててハンドルを切る。
「あー。普通に運転して下さい。当たりませんから。」
このくらいの銃弾なら大丈夫。
「あっ?シールド?凄い!」
運転手さんは車をすっぽり覆った結界に驚いていた。

「さて、シアンが大暴れかな?」
ボスが嬉しそうに後ろを振り返る。
俺も見たい!

車のドアを開けてシアンは白の乗用車に飛び移った。
かっこいい!って言うか凄い。乗用車の上に仁王立ちしシアンはニヤと笑って異能を発動させる。

――拘束――
乗用車を運転していた運転手も乗っていたマフィアも手足を縛られてそのままハンドル操作も出来ずに壁に向かって走る。
激突の瞬間にシアンはヒラリと飛び上がり元のカプリスの車に戻る。

一瞬にして白の乗用車は大破した。

「はあー!凄い!」
顔が引き攣るくらい凄いな。
「まだまだ来るよ。」
ボスは油断するなと俺を窘める。

了解。結界は継続。
そして集中。次は何処から来る?
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