都合のいい男

美浪

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シアン

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俺のズボンを脱がし奴はニヤリと笑いながら俺のモノを触る。
「本当に・・・やめて下さいって。ダメ!」
身体がビクッと跳ね上がる。

奴は顔を俺の股間に近づけてペロリと舐めあげた。
「あっ・・・・。」
くっ・・・。声を必死で我慢する。手で口を塞ぐことも出来ないし。この赤くなった顔も隠せない。
自分を全てさらけ出す感じが更に恥ずかしさを増し身体中を火照らせた。
静かな部屋に俺を舐める奴の舌の音とクチュクチュと俺のモノを擦る音、俺の抑える声だけが響く。
「もう・・やめてよ・・。」
ダメ・・。イきそう。
必死で懇願するけれどその言葉は届かない。
ピタリと奴は手を止めて顔をあげた。

「イキたい?」
そう聞かれて言葉に詰まる。

奴は見せ付ける様に自分のモノを出して見せる。
太くて硬そうで・・。
「そんなの入る訳ない・・・。本当にやめて下さい。」
何時の間にか涙が頬を伝っていた。

「何故そんなに怯える?こんなに君の身体は求めているのに?」

悔しい。無力過ぎて、何の抵抗も出来ない。
「クソ!バカ!アホ!」
そんな小さな暴言も奴には理解出来ていない。

「うーん?今度は怒ってる?イカせてあげないから?」
フフっと奴は勝手なセリフを吐き捨てて再び俺のモノを掴んだ。
くっ・・・。

「待って・・・本当に・・・。ヤバい・・。」
味わった事の無い快感に翻弄され俺は果てた。

「はぁはぁはぁ。もう無理・・・。」
離してイッたから。もう・・・。

それから落ちるように意識を失った。


            ・・・・・・・・・・・・・・・

「あれ?快楽落ち?」
お楽しみはこれからなのに意識を失ったナナシの頬に触れる。

「寝ているが・・犯すか?」
殺人以外での欲情。
自分の感情に戸惑う。欲望に任せて襲ってみたが・・・。
仕方ない。寝せてやるか。何か萎えたし。
そう考える自分自身の感情にも何故か苛立つ。

落ち着け。
溜息を付きながらまたナナシの頬を撫でる。
この感情が何なのかさっぱり理解出来ない。

異世界人か・・・。

異世界人が来たばかりの時は異常な程に眠ると言う噂は本当だったのか?
異能を授かった体の同期と言うか慣れるまで1日中寝る者もいると聞いた事がある。
その眠りの期間に召喚された異世界人は脳内にチップを埋め込まれる。
      

口内を確認したがやはり異世界人がこの世界に来た時に無理矢理開けられる政府や警察管轄の異能者特有のピアス穴は無かった。

本当に野良異世界人なのか?

ボスは好きにしろと言った。
この意味は勿論、犯せと言う意味ではない。

政府または警察管轄の異世界人いぬと判明したら殺せと言う意味だ。

「スッキリしない。殺るか。」
勿論、ナナシでは無く誰か。

こいつの匂いが付いているだろうし面白い異能者が狩れるかもしれない。
仕方ない。拘束は解いてやろう。


でも、この家から出られては困るから。
服を着て外へ出て異能を発動させる。
家を拘束。
これで扉も窓も開かない。我ながら面白い異能者に生まれたものだ。

ボスは今度のミッションまで大人しくしていろと言っていたのだが。
俺は人は縛るが自分は縛られない。
フフっ。自然と自分が殺人鬼の顔になる。

さあ、街へ繰り出すか。


        ・・・・・・・・・・・・・・・

温かい。人肌?
凄く長く眠っていた様な。

目を開けるとそこには殺人鬼の顔が!!!

「うわぁー!!!!」
大きな叫び声を思わず上げて飛び起きる。

「やあ。起きたかい?」
奴はニヤリと微笑み俺を見詰める。

うわ。俺、裸のままだ。そのままやられたのか?
思わずベッドの端へ後ずさり。
「縄が解けてる。」
自分の両手にも足にも無かった。
「解いたよ。」

「えっ?言葉通じてる?」
唇に違和感を覚えて触れるとイヤーカフスみたいな物が付いていた。ピアス穴は開けられてない。
「最新型を買ってきた。服に付ける翻訳機は不便だし。」

「あっ。。ありがとうございます。」
欲情していない奴の顔を見て少しだけ安心した。

「顔に出るね?安心してる?」
奴はズバリと心を読んだかの様に聞いてくる。
「君が寝ている間にちょっと2人殺してきちゃったからね。スッキリしている。」

それを聞いて俺はまた少し後ずさりした。

「一応、確認しておこう。政府と警察から雇われた異能者かい?」
また冷酷で人を何とも思わずに殺れる目だ。

「政府と警察?貴方の言っている意味が解らない。頼むから少しこの世界の事を教えて欲しい。」
奴の目はやはり疑っている。

政府に警察?俺は本当はその政府や警察に召喚されたのかもしれないな。でも、何故か俺は荒野に居た。

「政府はこの世界に来ると100%異能者になる異世界人を定期的に召喚している。そして俺の様なこの世界で生まれた異能を持つ犯罪者と戦わせている。」

 100%異能者になる?そして戦わせる?

「それは勇者を召喚したみたいな感じで祀り上げられて戦わせられるって事ですか?」

「そういう事。」
奴はニヤリと笑った。
「因みに召喚されたら翻訳機を無理矢理取り付けられて。逆らう場合は脳内にチップを埋め込まれるよ。」
俺の目や顔色、奴は観察している様だ。実際、顔に出るし。
今、俺はめちゃくちゃ不快な顔をしているだろう。

「俺の脳内にチップが埋め込まれている可能性を貴方も他の皆も疑っているんだね?」
そうそうと奴は頷いた。

参った。この家から抜け出しても政府に捕まる確率が高い。そして此奴らと戦わせられるのか。
世間的には此奴らは悪。政府は正義。
自由な悪と意志の無い正義。

要するに政府側に付いたら死ぬ迄飼い殺しって事だろ?
「何を考えている?」
奴がクスクス笑いながら聞いてきた。

「政府側に付いたら死ぬ迄飼い殺し?であってる?」

「正解!」
奴は嬉しそうに俺の側に躙り寄る。

「えっと。1週間後に匂いがしなくなったら政府に追われずに暮らせるの?」
奴はうーん?と少し考えて

「さあ?そう言う前例が無いから。」
と言った。

そして俺の目を見詰め全てを見透かす様に。
「で?君はどうしたい?」
そう聞いてきた。

言葉に詰まる。
「解らない?」
奴が俺の髪に優しく触れる。

何故だろう。そこに恐怖は無くて。見詰める目にドキドキする。
「もっ・・。もう少し考えさせて下さい。」
視線を逸らして答えた。
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