フードコートの天使

美浪

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ジュンが好き feat.アキラ

彼氏が出来ました

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ジュンを抱き締めた感触がまだ腕に残ってる。

幸せに浸りながら車のエンジンをかけた。
全く、良い所だったのに機械故障とか。
たまーにある事だけど寄りによって休みの日とかやめて欲しい。

ジュンも俺が好きだった!
何時からだろう?5年前から?

だとしたら俺達、ずっと両思いだったんだ。ニヤけるなあ。

ブルロモールまで本当、近い。
社員駐車場に停めて急いで店に向かう。

ジュンの話が頭を過ぎる。
ヒロさんかあ。あの人、カフェ経営者で優しい人だと思っていたのに。ちょっとジュンにした事は許せない。
でも、客の立場って強いんだよねえ。ジュン、辛かっただろうなあ。

でも、最悪だったのは俺の元彼が1番だよ・・・。

ジュンが知りたがったらきちんと話そう。

はぁ。溜息でる。俺には元彼もヒロさんを責める権利は無かった。
俺はオープンなゲイじゃないし。
それに俺から元彼は振ったわけだから。


俺の元彼、潮見さんは大学が同じでサークルの先輩だった。

彼は見た目、女にモテるイケメンでまさか男が好きだとは思わなかった。
チャラくて正直言うと好みでは無かった。

でも、若気の至りと言うか!。
エッチしてみたいと言う思いがあって!!

最初は俺が身体目当てで都合良く遊ばれていたのに。

いつの間にか潮見さんが本気になって何となく付き合う事になり・・。
だけど大変だったんだよなあ。

思考が合わないし趣味も合わない。

ゲームを始めてハマった頃に彼にも勧めて一応、ゲームを始めたみたいだけど。
結局やってなかった。

他にも一緒の趣味を持とうと努力はしたけれどダメだった。

何よりも外食した時にクレーマーっぽい態度やお客様は神様ですみたいな態度!!
本当!無理だったなあ。サービス業を馬鹿にしやがって!
って、思い出して腹立てても仕方ない。

さてと!!店に到着!
仕事モードに切り替えます。

「お疲れ様。大丈夫?」
では無さそうだ。

パンを焼けないとハンバーガー類が売れないから結構一大事。

「店長!休みの日にすみません!急に動かなくなってしまって!」
この店の1番年長者の主婦マネージャーさんが説明をしてくれた。

「大丈夫ですよ。近くに居たから。」
工具箱からドライバーを取り出して先ずは分解っと。

「まじ、すんません。手伝うよ。」
このちょっと口の悪い主婦マネージャー旭さんは結構、面白くて気が合う女性だ。

修理って業者に依頼しても直ぐに駆け付けてくれないしコストがかかる。
先ずは店長が頑張れ!と言うのが上の指示だ。

やれやれ。
さっさと修理しないと。

商品が売れないと言う現状はお客様にとっても申し訳ないと同時にアルバイトの子達に物凄くストレスを与える。

直ぐに諦めてくれない事が多いし。謝る一方だし。
俺もアルバイトの時、品切れの時の対応はキツかった。
サービス業だからって暴言吐かれても人同士の対応なんだから・・って思っていても世の中、店側が弱いのが摂理だ。

「直るかも。」
うん。いけそうだ。

「良かったー!店長、流石!!本当に休みなのにすみません!」
「いえいえ。」
直ると解ると次の販売に備えて皆、ストックの準備に入り出した。

良かった。大したこと無くて。
小一時間で修理完了。
多分・・・。

電源入れてっと。
ブィーン・・・。
「よっしゃ。動いた!」

「やった!店長!」
「まじ神っすねー。」
調子良く褒められるのも何時もの事だ。
ここ数年は減ったけど昔は休日なんてあって無しな所あったもんなあ。

「店長、お疲れっす。何か食ってく?」
「あっ。昼ご飯は友達の家で食べたから。」
これからどうしようかな。またジュンの家に行くっていうのもなあ。日に何度もお邪魔しても良いものか。

「へー。珍しいっすね。友達の家とか。」
そう言えばこう言う話ってした事ないし。
「隣のたこ焼き屋の店長の家。学生の頃からの・・・友達なんだ。5年振りに会ってね。」
余程、嬉しそうな顔をしていたのかもしれない。
「へー!運命的出会いじゃん。」
旭さんはニヤっと笑って。じゃ仕事してきまーすと店へ出ていった。

運命的出会いか。
旭さんは何かと鋭い人だからなあ。

まー!良いか!

彼氏が出来た!!俺の運命の人!!!

店を出て『修理完了。何とかなったー!』
とメールしてみた。

直ぐに既読が付く。

『お疲れ様。これからどうする?』
おおっとー。
俺もどうしようかと思っていた。

やっぱり一緒に居たいよね。
何て送るかな。

『会いたい。』

シンプルに正直に一言。

『俺も!!!』

直ぐに来た返事にニヤニヤしていないか周りの視線を気にしながら。

ジュンの家へ向かった。
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