吸血鬼は過去世で神と出逢う

美浪

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目覚めそして飛ばされた俺

妖怪でも人間でも無い

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何かが来る!!!!

殺気を放ってきた何かは瞬間移動したのかもう俺の数メートル前に立っていた。

見た目は人間だ。

肩より少し長い髪の色は金色で目は青い。服装はマントに西洋風の甲冑。身長は俺よりデカい。
クッキリしたイケメンの顔立ちは北欧系の外国人にも見える・・・が。

人間では無いな。

自分の吸血鬼としての感覚で解る。
DNAが違う。妖怪?

そして、こいつめっちゃ強いぞ!!

お互い殺気を放ちながら見詰めあった。

痺れを切らした様に男は口を開いた。

「ЙЪ・・・」

解らん。
「何語だ?」
俺がそう言うと男は手にコンパクトの様な物を出してきた。

何だ?武器か?

警戒しながら口を噤んだ。

時折、風が吹くと雪がサラサラと吹雪の様に舞う。

戦ってみてえ。

この妖怪でも無い何かと戦いたい欲求がフツフツと湧いてきている。

「бщ・・・」
また不思議な言葉を発した。

血を吸えば言葉も解る様になるんだがな。隙を見て・・。

「何処から来た?何者だ?」
相手は無言。
「やはり言葉は通じないか。」

おれが一言二言発した時だった奴の持っていたコンパクトが光った。

「何だ!?変身するのか?」
アニメや特撮かよ?とツッコミたくなりながらも相手の出方を伺いながら何時でも戦える様に構えた。

「翻訳完了した。通じるだろう?」
突然話しだした奴にビクッとしたがそうか翻訳機だったのかと思いつつ。

「何だ?人間の物じゃねーな?まだそんな便利な機械は人間界じゃ作られていない筈。」
魔界では無い異世界人?怪しい奴に変わりなし。そう言う俺も人間では無いが・・・。

少し相手は首を傾げた。
「そう言うお前も地球人では無かろう?何処の星から来た?」

「星?知らん!魔界だ。この人間界の隣の異世界だ。」
魔界は人間界の一部だと思うんだがなあ。星と言う見解が妖怪達には無い。

「魔界?知らんな。」
奴は不思議そうな顔をしながらブツブツと独り言を言い出した。

「二足歩行、目鼻口があり顔認識が出来る。男女の区別あり。知能あり。完全人型の星人はこの第3銀河には地球以外はそんな星は無い。しかし人型とは先ずは争わず・・・が鉄則。」
一頻りブツブツと俺の顔を見ながら奴は納得したかの様に話しかけてきた。

「名は?俺はレイ・ス。第1銀河のワード星から来た。」

宇宙人!?

人間界に居た時にそう言う話も耳にした事はあるが。俺の知ってるソレとは違う。見た目人間と変わらないし。

一概に頭が可笑しい奴とは言い難い。
そうコイツは人間では無いと言い切れるからだ。

「何処の星か?とは解らんが魔界から来た。名は那岐ナギだ。」


レイスと言った男は頷きながら先程光を放ったコンパクトを弄っていた。
「魔界・・・。無いな。うーん?解らん。お前の乗ってきた宇宙船は何処にあるんだ?」
宇宙船?
「いや。そんな物乗ったことも無い!!魔界は宇宙とか?機械とか?全く発展してないからなあ。」

お互い首を捻り。何か噛み合わず。

雪山には軽い吹雪が起こった。流石に寒いんだが・・・。

吹雪で一瞬だけ視界が遮られた。本当に一瞬だった。

「えっ・・もう一体?」

レイスの隣に同じ様なちょっと露出度の高い甲冑を纏った今度は女が立って居た。

腰近くまである長い髪はサラサラと靡いており琥珀色。瞳も同じ色の非常に美しい女だった。

ゴスっっっ!!鈍い音がしたと思ったらレイスが腹を抱えていた。腹に1発入った模様。
『姉上ぇ!痛いですって・・・。』
『は?任務中に姉と呼ぶな!貴様、何をしている。この宇宙人は何処の星の者だ?』

やはり言ってる事が解らん!!
2対1になってしまったし。やり取りをしているのに逃げる隙は無い。

『魔界と言ってました。でも検索しても出てこないし。宇宙船は無いと言ってました。人型に属するから先ずは争わずと言う教科書に習って・・・。』
レイスは何やら必死で女に訴えているように見えた。
『馬鹿者!!』
ドスっっっ!と今度はローキックを入れられレイスは足を抑えて痛そうな顔でまた何か彼女に訴えているように見えた。

女は俺の頭の先から足の先まで見た後に言葉を発した。
「主は地球侵略者か?否か?」
流暢に日本語を話され少し戸惑ってしまった。
あれだな翻訳機か。
しかし変な質問をしやがる。

「侵略?やる意味が無い。昔も今も魔界と人間界は共存共栄だ。」
妖怪にとっての人間は時に食料ともなる。しかし殺戮の対象では無い。
人間が居なければ俺達は滅びる。

「共存共栄?」

「俺は吸血鬼だ。人の血を吸う。だが殺しはしない。勿論俺達、一族全て人の血を糧としても殺さない。」
間違った事は言っていない。
そう言えば他の妖怪も魔界の四天王達によって人間界への侵攻は管理統括されている。

これでお気に召さないなら戦うまでだ。
2対1は不利だがそれも面白そうだ。

「糧か。それで腹が減ったから地球に来たのか?」
質問は続いた。しかし、表情1つ変えない女だな。

「いや、魔界で戦闘中に人間界に飛ばされたんだ。ちょっと強え相手と勝負してて。早い話が負けた。」
認めたくないが・・瀬戸にまた負けた。

『嘘発見器がピクリとも動かぬわ。のう?愚弟。上手く尋問しろと習ったであろう?』
女はレイスにまた知らない言語で話しかけた後にクスクスと笑いだした。

「お主は面白いな!!嘘なしじゃ!のうNo.6よ!」
「はい。No.1。そうでした。」

レイスをNo.6と呼んだ女はNo.1?
そして嘘なしって?
「嘘は言ってねーよ。お前らこそ人間を殺しに来たんじゃねーだろーな?」
別に人間を護る気も義務も無いけど。
人間界を滅ぼされるのはちょっと困る。

「我らは・・地球侵略の宇宙人を追い払う、出来れば滅ぼす。と言う任務で来ている。」
何かサラッと言いやがったが・・・これってかなりヤバい地球の危機ってやつだろ?

「おいおい。まじかよ?それは困る。人間共を侵略される訳にはいかねーんだよ!」
人間界で見た宇宙人侵略系の映画やテレビ。あんな感じなのか?
魔界でそんな話は出てなかったが・・・。いや、10年封印されていた間に?

「では侵略者退治を手伝うか?お主もなかなか強者であろう?」
No.1と言っていた女がそう言った。
こいつらと共に戦闘したら・・俺は絶対強くなる!!
今、魔界に帰る時じゃあねーなあ?

「やる!仲間に入れてくれ!何なら弟子にしてくれ!」
レイスの殺気でも強いと感じたんだ。その上ならもっと強い筈。

「弟子?」
女はフッと微笑んだかと思った瞬間・・・。

ビリビリっと身体に電気が走る様な殺気と闘気に俺の思考も身体も完全に停止した。
冷や汗と恐怖。

親父より・・・強い・・・。

「言い忘れておったNo.6。殺気と言うのは早く放てば良いと言うものでは無い。こんな風に相手に油断させるのもアリじゃ?」
「勉強になります。」
レイスは頭を下げていた。

金縛りを食らった様な殺気は次の瞬間には解けて俺は漸く深く息を吸う事が出来た。

「はは。すげーや。まじで弟子にしてくれ!!」
2人に駆け寄る。

世の中。いや、宇宙には想像を超える奴らがまだまだ居るに違いない。

瀬戸に負けた事などすっかり忘れてワクワクが止まらない。

「馬鹿そうなのを拾ったかもな。まあ、良い。来い!ナギとやら。」

2人が空へ舞い上がる。
それに俺も付いて空へ飛び立った。
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