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正式雇用されました
初めてのインスタントラーメン
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「お帰りなさい。グレースちゃん。ちょーっと良いかしら?!」
帰宅早々、グレースちゃんの部屋に押し掛けた。
「どう?その後!!」
そう聞くとグレースちゃんは軽く溜息を付く。
「進展無い。男友達とずっと居るし。でも、ジュリエットとも話しているのは見掛けないかも?」
うんうん。まだまし。とグレースちゃんはそう言った。
「ねぇ。誕生日プレゼントは何を上げるの?」
もう用意はしてあるのかも?
「ブルジョア・ハイクラスってブランドの腕時計にするわよ?」
知らなーい。多分、めちゃお高いんだろうけど。
「それでジュリエットに勝てる?」
やっぱり金にものを言わせる感じのプレゼントなのね。
「え?勝てる?ジュリエットが私より高いプレゼントなんて買える訳無いじゃない!!」
グレースちゃんはちょっと不満そうに口を尖らせてそう言った。
「だからじゃない。手作りとかしてくると思うのよね。」
水彩画とは言えないが・・・。
「手作り?そんな物、貰って嬉しいの?!・・・か。そうか。」
否定しそうになったがグレースちゃんは一点を見つめて黙ってしまった。
「手作りってね。本当は重いのよ。荷が重いと言うか。好きでもない人から貰うと迷惑だったりとかね。」
そこんとこ難しい線引きなのよねー。
「じゃあ。私から貰っても喜ばないかもしれない。それに・・。何も作れないわ。」
「あー。待って待って。泣かないでぇ!そんなつもりじゃないの。」
グレースちゃんが涙ぐむので必死に肩を揺さぶった。
「大丈夫。何か、何したら良いか解らなくなっただけだし。」
グレースちゃんを物凄く落ち込ませてしまった。
「私も色々考えたのよ。」
実は今も悩んでいるんだけどね。
「ねぇ。ラーメン食べた事ある?」
物は試し。
「それは何?食べ物なの?」
やっぱり存在自体が無いか。この家で食べるご飯は洋食。それもフランス料理っぽいジャンル。
こちらの世界のスーパーには日本食系は無かった。
「よーし。キッチン借りるわよ。着いてきて。」
豪邸町の高級スーパーにもB級グルメ的な感じの商品は色々あったのよね。
本当にこの何も作れないスタートラインからって考えて買ってきたのが袋麺!!!のちょっと高級なやつ。
カップ麺では流石に料理したとは言えないし。
ベイリー家のキッチンは小さなレストランの厨房くらいあった。
「キッチンお借りしまーす!」
「おや。アリスさん。とお嬢様?も?」
料理長さんは少し驚いていたけれどすんなりと使わせてくれた。
「で、何を作るの?私、料理全くした事無いわよ。」
「うん。そうだと思った。まあ、見てて。簡単だし。」
小鍋にお湯を沸かす。
「どんぶりは無いか。少し深めのお皿借りれます?」
深めのお皿を2つ用意。箸も無いか。フォークでいいわね。どうせ使えないだろうし。
「はい、沸騰しました。グレースちゃんちゃんと見ててね。」
グレースちゃんだけでなく料理長さんも眺めている。
さて、お鍋に乾麺を入れる。
「はい。解します。解れたら火を止める。この付属のスープを入れまーす!」
本当はネギとかチャーシュー、メンマとか入れたいけど。今日は本当に何も具なし。
「お皿に移して出来上がり!」
「これだけ?」
グレースちゃんが呆れた様な顔でラーメンを見てそう言った。
「そうよ。簡単でしょ?食べてみて。料理長さんも。」
2人は何とも言えない顔で皿を手に取った。
「匂いは良いわね。」
「確かに美味しそうな香りです。」
さあ、日本の食文化を味わってぇ。
チュル・・・もぐもぐ。
そうか、ズルズルと啜らないのね!!
これは仕方ないか。
「・・・思ったより美味しい。」
料理長が先に飲み込んでそう言った。
「何これ?!凄く安っぽいんだけど!食をそそる味だわ!」
グレースちゃんは驚いた顔をして二口目を口にした。
「ちょっと食べにくいわね。でも何だろう・・・食べた事ない味なのにいけるわ。」
うんうん。そう頷いてまた1口。
外国人ってラーメン好きなのよねぇ。
たこ焼きとか焼きそばとか。
「こんなに簡単なのに美味しかったです。」
料理長さんは食べ終わってそう言ってくれた。
日本のインスタントや冷凍食品の技術力って半端ないのよねぇ。
本当に凄いもの。料理長さんが美味しいと言うならアンディー君にも食べさせて良さそうね。
「グレースちゃん。これ、アンディー君に振る舞いましょう。」
「これを?」
そうよ。と言って見詰めるとグレースちゃんは頷いた。
「これなら作れるかも!!」
そうそう。その意気だわ。
その後、練習を兼ねて御主人と奥様の分をグレースちゃんが作ってみた。
少し茹ですぎな感じだったので次回は固茹でにしないとね。
ちなみに御主人達にもウケた。
やっぱり日本の味覚は間違いないわね。
「明日、アンディー君を家に誘って。誕生日プレゼントは別にあげるけど前祝いとでも言えば良いわよ。」
相手の家に行くのはハードル高そうだしね。ご招待が1番。
「頑張ってみる。私、ラーメン作るわ!!」
うん。茹でるだけだけど。先ずは失敗無しの味で第1歩よね。
男の胃袋掴む作戦!!スタートよぉ!
帰宅早々、グレースちゃんの部屋に押し掛けた。
「どう?その後!!」
そう聞くとグレースちゃんは軽く溜息を付く。
「進展無い。男友達とずっと居るし。でも、ジュリエットとも話しているのは見掛けないかも?」
うんうん。まだまし。とグレースちゃんはそう言った。
「ねぇ。誕生日プレゼントは何を上げるの?」
もう用意はしてあるのかも?
「ブルジョア・ハイクラスってブランドの腕時計にするわよ?」
知らなーい。多分、めちゃお高いんだろうけど。
「それでジュリエットに勝てる?」
やっぱり金にものを言わせる感じのプレゼントなのね。
「え?勝てる?ジュリエットが私より高いプレゼントなんて買える訳無いじゃない!!」
グレースちゃんはちょっと不満そうに口を尖らせてそう言った。
「だからじゃない。手作りとかしてくると思うのよね。」
水彩画とは言えないが・・・。
「手作り?そんな物、貰って嬉しいの?!・・・か。そうか。」
否定しそうになったがグレースちゃんは一点を見つめて黙ってしまった。
「手作りってね。本当は重いのよ。荷が重いと言うか。好きでもない人から貰うと迷惑だったりとかね。」
そこんとこ難しい線引きなのよねー。
「じゃあ。私から貰っても喜ばないかもしれない。それに・・。何も作れないわ。」
「あー。待って待って。泣かないでぇ!そんなつもりじゃないの。」
グレースちゃんが涙ぐむので必死に肩を揺さぶった。
「大丈夫。何か、何したら良いか解らなくなっただけだし。」
グレースちゃんを物凄く落ち込ませてしまった。
「私も色々考えたのよ。」
実は今も悩んでいるんだけどね。
「ねぇ。ラーメン食べた事ある?」
物は試し。
「それは何?食べ物なの?」
やっぱり存在自体が無いか。この家で食べるご飯は洋食。それもフランス料理っぽいジャンル。
こちらの世界のスーパーには日本食系は無かった。
「よーし。キッチン借りるわよ。着いてきて。」
豪邸町の高級スーパーにもB級グルメ的な感じの商品は色々あったのよね。
本当にこの何も作れないスタートラインからって考えて買ってきたのが袋麺!!!のちょっと高級なやつ。
カップ麺では流石に料理したとは言えないし。
ベイリー家のキッチンは小さなレストランの厨房くらいあった。
「キッチンお借りしまーす!」
「おや。アリスさん。とお嬢様?も?」
料理長さんは少し驚いていたけれどすんなりと使わせてくれた。
「で、何を作るの?私、料理全くした事無いわよ。」
「うん。そうだと思った。まあ、見てて。簡単だし。」
小鍋にお湯を沸かす。
「どんぶりは無いか。少し深めのお皿借りれます?」
深めのお皿を2つ用意。箸も無いか。フォークでいいわね。どうせ使えないだろうし。
「はい、沸騰しました。グレースちゃんちゃんと見ててね。」
グレースちゃんだけでなく料理長さんも眺めている。
さて、お鍋に乾麺を入れる。
「はい。解します。解れたら火を止める。この付属のスープを入れまーす!」
本当はネギとかチャーシュー、メンマとか入れたいけど。今日は本当に何も具なし。
「お皿に移して出来上がり!」
「これだけ?」
グレースちゃんが呆れた様な顔でラーメンを見てそう言った。
「そうよ。簡単でしょ?食べてみて。料理長さんも。」
2人は何とも言えない顔で皿を手に取った。
「匂いは良いわね。」
「確かに美味しそうな香りです。」
さあ、日本の食文化を味わってぇ。
チュル・・・もぐもぐ。
そうか、ズルズルと啜らないのね!!
これは仕方ないか。
「・・・思ったより美味しい。」
料理長が先に飲み込んでそう言った。
「何これ?!凄く安っぽいんだけど!食をそそる味だわ!」
グレースちゃんは驚いた顔をして二口目を口にした。
「ちょっと食べにくいわね。でも何だろう・・・食べた事ない味なのにいけるわ。」
うんうん。そう頷いてまた1口。
外国人ってラーメン好きなのよねぇ。
たこ焼きとか焼きそばとか。
「こんなに簡単なのに美味しかったです。」
料理長さんは食べ終わってそう言ってくれた。
日本のインスタントや冷凍食品の技術力って半端ないのよねぇ。
本当に凄いもの。料理長さんが美味しいと言うならアンディー君にも食べさせて良さそうね。
「グレースちゃん。これ、アンディー君に振る舞いましょう。」
「これを?」
そうよ。と言って見詰めるとグレースちゃんは頷いた。
「これなら作れるかも!!」
そうそう。その意気だわ。
その後、練習を兼ねて御主人と奥様の分をグレースちゃんが作ってみた。
少し茹ですぎな感じだったので次回は固茹でにしないとね。
ちなみに御主人達にもウケた。
やっぱり日本の味覚は間違いないわね。
「明日、アンディー君を家に誘って。誕生日プレゼントは別にあげるけど前祝いとでも言えば良いわよ。」
相手の家に行くのはハードル高そうだしね。ご招待が1番。
「頑張ってみる。私、ラーメン作るわ!!」
うん。茹でるだけだけど。先ずは失敗無しの味で第1歩よね。
男の胃袋掴む作戦!!スタートよぉ!
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