312 / 369
そして家族がひとつになる
しおりを挟む
アーシェンバードは200年前はアーシェン国とバードエン国と言う隣接国だった。その後統一。
統一後、100年くらい前まで《アーシェン領》と《バードエン領》に分かれていた。2つの領土でアーシェンバードと言う国だった。それをアーシェン領の曽祖父が完全に統一して今の国の形態になった。
しかし統一後もアーシェン出身、バードエン出身と言った感じで結婚や就職等は少々お互いの領土の意識が強く互いの出身に対して厳しかったそうだ。
そこで思い切ったのが王様とお后様。
王家はアーシェン領で固めて居た中にバードエン出身のお后様を迎えた。
「父には猛反対されたけれど。本当にこの国を纏めるには何処出身等と気にする事を止めさせたかった。」
「勿論、私達は恋愛結婚ですよ。」
王様とお后様は微笑まれる。
「確かに今はアーシェン出身、バードエン出身って言うのは全然、聞かない。」
皇太子は頷いた。
「でも、何故?お母様が謝られるんですか?」
皇太子はもうここまで来たらと聞きに入る。
「子供の頃ダミアンに厳しくしたり冷たくしていたのは私方の従者達。即ちバードエン出身の者たちなんですよ。」
そう本当に辛そうな顔で仰った。
「貴方はおじい様を初めとしたアーシェン王族の顔立ちなの。私は大好きなんだけれど。従者達はそういう訳には行かなかったの。」
「私にも責任がある。マリアの両親にマリアを妻にする時の条件としてマリア付きの従者を数十名、城に入れる事。地位も与える事を言われてそうした。」
王様もお后様も再び皇太子に謝った。
皇太子に厳しく接している場面を見た時は陰で注意はしていたらしい。
剣技や勉強の指南役は地位を与えたバードエン出身従者が多いらしくある意味酷い話だ。
「なるほど。と言うことは未だに城の中ではアーシェン出身者とバードエン出身者とで争っているんですね?」
王子が尋ねると王様は少しねと頷いた。
「ダミアン君に冷たいバードエン出身従者、ヨーゼフ君に甘いバードエン出身従者か。で、その従者の地位がそこそこあるのか。」
会長も呟くように内情を整理している。
どうにか出来なかったんだろうか?ちょっと腹が立つ。
「王様とお后様と皇太子さんは何故会話しなくなったんですか?皇太子さん結構、悩んでいたし。」
素朴な疑問だが素直に尋ねてみる。
「ルナリー。ちょっと君達の思っている事と違うんだ。そう言う僕も今、何故か解ったんだけれどもね。」
「従者達は厳しく接している行為は極力、両親に見られない様にしていたし。僕は従者達に陰でダミアン様は御両親に愛されていないと言われ続けていた。それで、両親と会話が出来なくなったんだよ。」
皇太子は弟が産まれてから何処出身の従者とは解らずに音楽の稽古や剣技、勉強まで見て貰っていたそうだ。その時にジワジワと洗脳の様に思い込まされてきたと言う話。
「なんだよ?!それ酷くねーか?!」
キレ気味の私をキャサリンが落ち着きなさいと肩を叩く。
皇太子の話を聞いたお后様はポロポロと涙を零される。王様の目にもうるうると涙が。
「私達は何て事を・・・・。」
「知らなかったとは言え本当に辛い思いをさせたね。」
王様とお后様2人で皇太子をしっかりと抱き締めた。皇太子も泣いている。
拗れて縺れて絡まりまくった糸が解けた瞬間。
普通に2人とも愛されていたんだ。そしてこの国の事情も。大司教さんやグレンさんの聞いた話をしたのはバードエン出身者だったんだろう。
「何それ許せないです!お兄様に酷すぎる!」
反抗期に入ったばかりのヨーゼフ君の怒りが収まらない。
「ヨーゼフ。理由が解ったら今後どうとでも対処出来るさ。」
皇太子は優しく微笑んだ。エリザベスさんは横でウルウルとしながらダミアンの手を取った。
「私がダミアン様をお守りします!!」
と宣言した。
「しかし、他国の者が口を出すのは失礼ですがダミアン、本当に拗れていましたからねぇ。少し従者に厳しく出来ないんですか?」
王子は王様とお后様に訴える。
「すまない。ジェファーソン。僕もこの拗れた12年を返して欲しいくらいだと思っているよ。でも、折角国を纏めようとお父様、お母様が考えた結婚だ。今が耐える時だと思う。」
皇太子の顔が凛々しい。
「折角だから歌で丸く収めましょうよ!」
キャサリンがニッコリと笑った。
「そっか。良い前例がありましたねー!」
クライスがニヤリと笑う。
皆も頷く。パルドデア国の王家の兄弟仲や夫婦仲も良くなったんだから。可能性はある!
王子が鞄から徐にレコードを2枚出す。持ち歩いているのか。王子が1番商魂魂があるな。
「僕らのレコードです!城中に響くようにかけて下さい!お勧めですよ。」
「1枚は持っているよ。確かに君らの歌は心に響くからなあ。今迄は部屋で聞いていたけど。皆に聞かせるのは良いかもしれない。」
皇太子は笑顔で2枚とも受け取った。
その後、晩御飯代わりにお菓子をたらふく食べてホテルへ帰る事にした。
王様もお后様も皇太子もヨーゼフ君も本当に幸せそうで本音で話せる家族になった様だった。
城の中のいざこざも解決してくれる事を心から願う。
統一後、100年くらい前まで《アーシェン領》と《バードエン領》に分かれていた。2つの領土でアーシェンバードと言う国だった。それをアーシェン領の曽祖父が完全に統一して今の国の形態になった。
しかし統一後もアーシェン出身、バードエン出身と言った感じで結婚や就職等は少々お互いの領土の意識が強く互いの出身に対して厳しかったそうだ。
そこで思い切ったのが王様とお后様。
王家はアーシェン領で固めて居た中にバードエン出身のお后様を迎えた。
「父には猛反対されたけれど。本当にこの国を纏めるには何処出身等と気にする事を止めさせたかった。」
「勿論、私達は恋愛結婚ですよ。」
王様とお后様は微笑まれる。
「確かに今はアーシェン出身、バードエン出身って言うのは全然、聞かない。」
皇太子は頷いた。
「でも、何故?お母様が謝られるんですか?」
皇太子はもうここまで来たらと聞きに入る。
「子供の頃ダミアンに厳しくしたり冷たくしていたのは私方の従者達。即ちバードエン出身の者たちなんですよ。」
そう本当に辛そうな顔で仰った。
「貴方はおじい様を初めとしたアーシェン王族の顔立ちなの。私は大好きなんだけれど。従者達はそういう訳には行かなかったの。」
「私にも責任がある。マリアの両親にマリアを妻にする時の条件としてマリア付きの従者を数十名、城に入れる事。地位も与える事を言われてそうした。」
王様もお后様も再び皇太子に謝った。
皇太子に厳しく接している場面を見た時は陰で注意はしていたらしい。
剣技や勉強の指南役は地位を与えたバードエン出身従者が多いらしくある意味酷い話だ。
「なるほど。と言うことは未だに城の中ではアーシェン出身者とバードエン出身者とで争っているんですね?」
王子が尋ねると王様は少しねと頷いた。
「ダミアン君に冷たいバードエン出身従者、ヨーゼフ君に甘いバードエン出身従者か。で、その従者の地位がそこそこあるのか。」
会長も呟くように内情を整理している。
どうにか出来なかったんだろうか?ちょっと腹が立つ。
「王様とお后様と皇太子さんは何故会話しなくなったんですか?皇太子さん結構、悩んでいたし。」
素朴な疑問だが素直に尋ねてみる。
「ルナリー。ちょっと君達の思っている事と違うんだ。そう言う僕も今、何故か解ったんだけれどもね。」
「従者達は厳しく接している行為は極力、両親に見られない様にしていたし。僕は従者達に陰でダミアン様は御両親に愛されていないと言われ続けていた。それで、両親と会話が出来なくなったんだよ。」
皇太子は弟が産まれてから何処出身の従者とは解らずに音楽の稽古や剣技、勉強まで見て貰っていたそうだ。その時にジワジワと洗脳の様に思い込まされてきたと言う話。
「なんだよ?!それ酷くねーか?!」
キレ気味の私をキャサリンが落ち着きなさいと肩を叩く。
皇太子の話を聞いたお后様はポロポロと涙を零される。王様の目にもうるうると涙が。
「私達は何て事を・・・・。」
「知らなかったとは言え本当に辛い思いをさせたね。」
王様とお后様2人で皇太子をしっかりと抱き締めた。皇太子も泣いている。
拗れて縺れて絡まりまくった糸が解けた瞬間。
普通に2人とも愛されていたんだ。そしてこの国の事情も。大司教さんやグレンさんの聞いた話をしたのはバードエン出身者だったんだろう。
「何それ許せないです!お兄様に酷すぎる!」
反抗期に入ったばかりのヨーゼフ君の怒りが収まらない。
「ヨーゼフ。理由が解ったら今後どうとでも対処出来るさ。」
皇太子は優しく微笑んだ。エリザベスさんは横でウルウルとしながらダミアンの手を取った。
「私がダミアン様をお守りします!!」
と宣言した。
「しかし、他国の者が口を出すのは失礼ですがダミアン、本当に拗れていましたからねぇ。少し従者に厳しく出来ないんですか?」
王子は王様とお后様に訴える。
「すまない。ジェファーソン。僕もこの拗れた12年を返して欲しいくらいだと思っているよ。でも、折角国を纏めようとお父様、お母様が考えた結婚だ。今が耐える時だと思う。」
皇太子の顔が凛々しい。
「折角だから歌で丸く収めましょうよ!」
キャサリンがニッコリと笑った。
「そっか。良い前例がありましたねー!」
クライスがニヤリと笑う。
皆も頷く。パルドデア国の王家の兄弟仲や夫婦仲も良くなったんだから。可能性はある!
王子が鞄から徐にレコードを2枚出す。持ち歩いているのか。王子が1番商魂魂があるな。
「僕らのレコードです!城中に響くようにかけて下さい!お勧めですよ。」
「1枚は持っているよ。確かに君らの歌は心に響くからなあ。今迄は部屋で聞いていたけど。皆に聞かせるのは良いかもしれない。」
皇太子は笑顔で2枚とも受け取った。
その後、晩御飯代わりにお菓子をたらふく食べてホテルへ帰る事にした。
王様もお后様も皇太子もヨーゼフ君も本当に幸せそうで本音で話せる家族になった様だった。
城の中のいざこざも解決してくれる事を心から願う。
0
お気に入りに追加
102
あなたにおすすめの小説
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

親切なミザリー
みるみる
恋愛
第一王子アポロの婚約者ミザリーは、「親切なミザリー」としてまわりから慕われていました。
ところが、子爵家令嬢のアリスと偶然出会ってしまったアポロはアリスを好きになってしまい、ミザリーを蔑ろにするようになりました。アポロだけでなく、アポロのまわりの友人達もアリスを慕うようになりました。
ミザリーはアリスに嫉妬し、様々な嫌がらせをアリスにする様になりました。
こうしてミザリーは、いつしか親切なミザリーから悪女ミザリーへと変貌したのでした。
‥ですが、ミザリーの突然の死後、何故か再びミザリーの評価は上がり、「親切なミザリー」として人々に慕われるようになり、ミザリーが死後海に投げ落とされたという崖の上には沢山の花が、毎日絶やされる事なく人々により捧げられ続けるのでした。
※不定期更新です。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる