ヤンキー乙女ゲームの主人公になる!虐め?上等!夜露死苦!

美浪

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美少年コンテスト

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控え室に通された。

美少年コンテスト出場者は僕を入れて5人か。

アウェイ感が凄い。誰だ?って言う不信そうな視線。勿論、飛び入り参加は僕だけだ。視線が痛い。

僕17歳!!全く12歳如きに睨まれたく無い。



金髪碧眼って言っていたからあれがヨーゼフ王子か。やっぱりダミアン皇太子が拗ねるのが解る綺麗な顔立ちしている。僕の顔をチラリと見てそっぽを向いてしまった。やっぱり嫌な感じ。



あっ。チェロ無いな。音楽発表はやっぱりピアノかな。何弾こう。弾き語りにしようかな。それだけは楽しみだ。



男性教師が控え室に入って来てコンテストの説明を始めた。

自己紹介にウォーキング?プリントにそう書いてある。舞台の造りが不思議な形。この中央まで歩くのか。

その後に音楽発表をすると。まあ、いいか。僕はちょっとだけリリーさんの敵討ちみたいなもんだし。皆は勝てるとか言うけれど無理っぽいよ。焦らせることが出来たら良いかなくらいで頑張ろう。



コンテストが始まった。

舞台袖から眺める。



「エントリーNo.1。パーシー・ジョンソン!」

会場にはクラシック音楽が流れ拍手が起こる。自己紹介後にウォーキングはなるほど。その後、パーシー君はピアノを披露していた。子犬のワルツ。可愛い。



やっぱりヨーゼフ王子以外は盛り上がらないのかな。3番手まで拍手は起こるけど昨日の劇みたいな歓声は聞こえない。

次は王子でラストは僕か。出にくいなー。エントリー順なんだろうけど。



「エントリーNo.4!ヨーゼフ・アーシェンバード!」

キャー!!!悲鳴の様な歓声が聞こえる。

うっわー。ちょっと本当にこの後にやりにくいー!



「やあ、可愛いレディ達!ヨーゼフ・アーシェンバードです。」

ヨーゼフ様!ヨーゼフ様!カッコいー!!



少年じゃないけどクライスか会長が出た方が良かったかもー。



ウォーキング中も拍手と声援。音楽発表は彼もピアノだった。

別れの曲か。この国ではショパン流行っているのかな。



ピアノ高難度弾いても良いんだけど。
大人気無いよなあ?何だかブツブツ考えているうちに順番になってしまった。


「エントリーNo.5は何と飛び入り参加です!ジョージ・アンダーソン!」

会場が誰?っとザワつく。出にくい・・・。

でも、僕もノネットメンバーだからね?さあ、楽しもう!


舞台の中央へ歩く。笑顔を向ける。

うーん?無反応?

「初めまして。ジョージ・アンダーソンです。ボードウェン国から修学旅行で来ました。アーシェンバード国は良い国ですね。」

ニッコリ笑顔。


そして。拍手が巻き起こった。

ランウェイを歩く歓声が聞こえる。

ジョージ様!ジョージ様!ジョージ様!!


良かった。やっぱり海外からの客には親切なんだなあ。それに歓声があると燃える!!

「ジョージ様!カッコいいわよー!!」

「ジョージ様!いけいけー!」

キャサリンとルナリーの声に笑いそうになった。


舞台中央へ戻って一礼。拍手喝采が起こる。うん。やっぱり外国人に優しい良い国だ。これは何としてでもヨーゼフ王子を改心させたい。


「音楽発表なんですがオリジナル曲を披露しますね。」

そう言ってピアノへ座る。マイクの位置をちょっと口元までずらしてっと。難易度的には全然難しくないんだけど僕としては名曲。


「聞いてください。愛は勝つ。」

この前奏も好き。


ソロで歌うのは初だけど。


うん。バッチリだ。


立ち上がって一礼して会場を見渡す。あっ。泣かせちゃってる。

ブラボー!!!大きな叫び声が聞こえたかと思うと一斉にスタンディングオベーションで拍手喝采を受けた。


凄く気持ち良いー!

ソロ曲ってこんな感じなんだなあ。いいなあ。



「アンコール!!」

ジェファーソンとクライスとルイスの声かな?流石に無茶だよ?

でもその声に合わせる様に会場中にアンコールが巻き起こった。

アンコール!アンコール!アンコール!


困った。何歌おう。アンコールに応えてこそのプロだよね。


「じゃあ1曲だけだよ?」

ウインクしてピアノに座る。


「聞いてください。世界に一つだけの花。」

結局歌いやすい2曲を披露する事になってしまった。


そして歌い終わりにまた拍手喝采と歓声が鳴り止まない。


「ありがとうございました!」

お辞儀をして後ろに下がる。


ヨーゼフ王子の顔色が悪い。

しまったなぁ。ちょっとやり過ぎた。
ついコンサートのノリでやってしまった僕。
何か舞台に上がるとテンション上がるんだよねぇ。

一旦、舞台袖へ戻る。気まずい・・・。


「アーシェンバード学院美少年コンテスト結果発表!!」

会場は拍手に包まれる。



「第3位・・・」

「第2位!エントリーNo.4 ヨーゼフ・アーシェンバード君!」

げげげ!!もしかして!

「優勝はエントリーNo.5!飛び入り参加のジョージ・アンダーソン君!!」

しまった。やってしまった・・・。



わっ!!と歓声と拍手が起き再び舞台へ上がる。


物凄く機嫌の悪い顔のヨーゼフ王子。

苦笑いの僕。

優勝の可愛いメダルを首から掛けてもらった。


一通り挨拶をして美少年コンテストは終了した。



終わった瞬間だった。



「何で!僕が2位なんだよ!可笑しいじゃないか!!」

ヨーゼフ王子がキレだした。



「飛び入り参加が優勝?こんなに人気者の僕が2位?」

会場はザワザワとして教師達もオロオロしていた。



「止めないか!ヨーゼフ!!」

ざわめきから一際大きい声が聞こえた。立ち上がったのはダミアン皇太子だ。



ダミアン様だ。皇太子様だわ良かった。

そんな声がチラホラと聞こえる。ヨーゼフ王子はダミアン皇太子を見て口を噤んだ。



ダミアン皇太子は後方の席から降りてきて舞台に上がってきてヨーゼフ王子の手を掴む。

「ヨーゼフ!!行くぞ!恥をかかせるな!」

舞台からヨーゼフ王子を引っ張って客席の出口から連れ出した。

その後をエリザベス様や皆も着いて行く。



「後は何とかしますから。大丈夫ですよ!」

教師に一声かけて僕も皆の元へ。

会場は騒然としていたが安堵の声も聞こえた。
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