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王子のライバル
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レッスンルームに息を切らせて走り込んだ。
「はぁはぁ。」
呼吸を整える。
「どうした?キャサリン?」
ルナリーが何をそんなに急いでと言いながらチケット売れてんの?と気楽に言った。
「先ずはチケット。現在、半分売れてます。」
そこはきちんと報告。
おー!!凄い!と皆、笑顔で騒ぎ出した。ジェファーソンは横で私の顔をまじまじと見ている。
「しかし、一大事があります。」
皆が少し鎮まってから一呼吸置いて口を開く。
「ジェファーソン、怒らないで。」
見詰めて懇願する。本当にお願い。
「大丈夫だよ。さっきの大司教様の電話、何だったの?」
うーん。やっぱりちょっとヤキモチモード。そうじゃないのよ。
「アーシェンバード」
そう言った瞬間、ジェファーソンの顔色が変わる。凄くムッとした本当に滅多に見せない顔。
最後にアーシェンバード皇太子に会ったのは中学3年生の時。2年か3年に1回は外交で会う。
兎に角、仲が悪い。クライスとルイスはあちゃーと言う顔をしている。2人は幼なじみだから知っている。
「あのね。皇太子がコンサートに来るそうです。何処で情報を聞きつけた解らないんだけど。」
あー。言ってしまった。
ジェファーソンの顔が凍っている。無表情。
「へー。あの馬鹿が来るんですか。」
氷の表情のままジェファーソンは席について無言になった。
空気が重い。ジェファーソンの顔色を見て事情を知らないカイン達も口を開けないでいた。
「うーん?そんなに嫌な奴なら1発殴ろうか?」
ルナリーの一言でジェファーソンがプッと吹き出した。
「あははは。流石に皇太子を殴っちゃダメですよ。でも、本音はやって欲しいなあ。」
ジェファーソンは一頻り笑った後ゲンナリした顔をした。
「本当に殴れたら気が楽なのに。」
ボソリと一言。
私も正直、アーシェンバード皇太子は嫌いだ。
皇太子は私達と同じ年。
何故か解らないがジェファーソンに兎に角絡んで来る。
中学3年生の時にこの国に来た時は私もパーティーに同席した。
凄く美人の婚約者を連れて散々自慢した挙句に私に気が強そうなブスって言ったのよね。。
アーシェンバードもクラシック音楽が盛んな国でそれまでジェファーソンに何一つ勝てなかった皇太子が唯一勝てたのが婚約者の顔だったんだろう。
本当に美人だったし。
今は前世の記憶もあるし大人にもなったから上手くかわせるんだろうけど当時は高慢な悪役令嬢だったので凄く揉めた。
私はキレ顔でジェファーソンも凄く腹を立ててくれてちょっと嬉しかったけど一触即発状態をアレクサンダー王子に止められた。
幼少期は取っ組み合いの喧嘩をし、小学校時代はピアノで張り合っていた。私が知らない話もあるだろうから今まで相当揉めていると思う。
今なら解るが勝手にライバル視されているんだと思う。
ジェファーソンにとって最高に鬱陶しい存在だ。
困った。またしても空気が重い。
「確かさあジェファーソン言ってたよな?」
ルイスが中学3事件の話をサラッとした。
バン!!!!ジェファーソンは机を思いっ切り叩いて立ち上がった。
「そー!何ですよ!!全く僕の可愛いキャサリンに向かってあのクソ皇太子!」
思い出しキレって奴だわ。ルイスぅー、余計な事を思い出させてくれちゃって。
「わー。本当にクソだな。そいつ。キャサリンめっちゃ可愛いのにな。」
「本当ですよ!何その非礼な男!信じられない!」
ルナリーとエミリアがプンプン怒るとジェファーソンも一緒に本当に非礼な奴なんです!と怒る。
「まあ、私も嫌いなのよね。」
本当にそれはそう。
「キャサリンはこんなに可愛いのに。あの日上手く戦えなかった自分にも腹が立ちます。あー!悔しい!」
あっ。何か重い空気が少しずつ・・・。
発散するって良い事なのかもしれない。
「ジェファーソン、でも今回はチケットを買ってくれた客だよ?」
会長が冷静モード。心強いわ。そう!今回は皆が一緒だもの!何とかなる!
「アーシェンバードって我が国と同じクラシック大国です。クラシックしか聞いた事が無い皇太子が新しい音楽を聞く。びっくりするでしょうねぇ。」
くすくすと意地悪そうに会長は笑う。
「どう言う反応するでしょう?クリスマスミサコンサートを思い出すなあ。あんな感じですかね?」
ジェファーソンの目がキラっと光る。
「目にもの見せてやりましょう。」
会長ってやはりこう言う誘導がめちゃくちゃ上手い。大人なんだよねぇ。
「キャサリン、曲目にJupiter追加します。皇太子の婚約者より優れている所を見せ付けてやります。」
クラシック主流の国か。とブツブツと会長は考え出した。
確かにJupiterは掴み曲としては最高だろう。
「ルナリー、my heart will go on練習したよね?あれを編曲してルナリーメインのクライス、キャサリン、カインと僕でハモり曲で作り直す。」
「ほほう。面白そうだな。」
ルナリーが頷く。
タイタニックの曲か。まあ、あれは何とか知ってる。
「my heart will go onはエミリアのフルートで出だしでやるからエミリア頼むね!ピアノはジェファーソン、ルイスはヴァイオリン、ジョージはチェロ。」
会長はふふっと笑いながらこれをアンコールラスト曲にしようと言った。
「皆、気合い入れてコンサートまで練習しますよ!!」
ジェファーソン、良かった!いつものジェファーソンだ!
私、めっちゃ頑張るわ!
今までの鬱憤晴らすわよー!!
「はぁはぁ。」
呼吸を整える。
「どうした?キャサリン?」
ルナリーが何をそんなに急いでと言いながらチケット売れてんの?と気楽に言った。
「先ずはチケット。現在、半分売れてます。」
そこはきちんと報告。
おー!!凄い!と皆、笑顔で騒ぎ出した。ジェファーソンは横で私の顔をまじまじと見ている。
「しかし、一大事があります。」
皆が少し鎮まってから一呼吸置いて口を開く。
「ジェファーソン、怒らないで。」
見詰めて懇願する。本当にお願い。
「大丈夫だよ。さっきの大司教様の電話、何だったの?」
うーん。やっぱりちょっとヤキモチモード。そうじゃないのよ。
「アーシェンバード」
そう言った瞬間、ジェファーソンの顔色が変わる。凄くムッとした本当に滅多に見せない顔。
最後にアーシェンバード皇太子に会ったのは中学3年生の時。2年か3年に1回は外交で会う。
兎に角、仲が悪い。クライスとルイスはあちゃーと言う顔をしている。2人は幼なじみだから知っている。
「あのね。皇太子がコンサートに来るそうです。何処で情報を聞きつけた解らないんだけど。」
あー。言ってしまった。
ジェファーソンの顔が凍っている。無表情。
「へー。あの馬鹿が来るんですか。」
氷の表情のままジェファーソンは席について無言になった。
空気が重い。ジェファーソンの顔色を見て事情を知らないカイン達も口を開けないでいた。
「うーん?そんなに嫌な奴なら1発殴ろうか?」
ルナリーの一言でジェファーソンがプッと吹き出した。
「あははは。流石に皇太子を殴っちゃダメですよ。でも、本音はやって欲しいなあ。」
ジェファーソンは一頻り笑った後ゲンナリした顔をした。
「本当に殴れたら気が楽なのに。」
ボソリと一言。
私も正直、アーシェンバード皇太子は嫌いだ。
皇太子は私達と同じ年。
何故か解らないがジェファーソンに兎に角絡んで来る。
中学3年生の時にこの国に来た時は私もパーティーに同席した。
凄く美人の婚約者を連れて散々自慢した挙句に私に気が強そうなブスって言ったのよね。。
アーシェンバードもクラシック音楽が盛んな国でそれまでジェファーソンに何一つ勝てなかった皇太子が唯一勝てたのが婚約者の顔だったんだろう。
本当に美人だったし。
今は前世の記憶もあるし大人にもなったから上手くかわせるんだろうけど当時は高慢な悪役令嬢だったので凄く揉めた。
私はキレ顔でジェファーソンも凄く腹を立ててくれてちょっと嬉しかったけど一触即発状態をアレクサンダー王子に止められた。
幼少期は取っ組み合いの喧嘩をし、小学校時代はピアノで張り合っていた。私が知らない話もあるだろうから今まで相当揉めていると思う。
今なら解るが勝手にライバル視されているんだと思う。
ジェファーソンにとって最高に鬱陶しい存在だ。
困った。またしても空気が重い。
「確かさあジェファーソン言ってたよな?」
ルイスが中学3事件の話をサラッとした。
バン!!!!ジェファーソンは机を思いっ切り叩いて立ち上がった。
「そー!何ですよ!!全く僕の可愛いキャサリンに向かってあのクソ皇太子!」
思い出しキレって奴だわ。ルイスぅー、余計な事を思い出させてくれちゃって。
「わー。本当にクソだな。そいつ。キャサリンめっちゃ可愛いのにな。」
「本当ですよ!何その非礼な男!信じられない!」
ルナリーとエミリアがプンプン怒るとジェファーソンも一緒に本当に非礼な奴なんです!と怒る。
「まあ、私も嫌いなのよね。」
本当にそれはそう。
「キャサリンはこんなに可愛いのに。あの日上手く戦えなかった自分にも腹が立ちます。あー!悔しい!」
あっ。何か重い空気が少しずつ・・・。
発散するって良い事なのかもしれない。
「ジェファーソン、でも今回はチケットを買ってくれた客だよ?」
会長が冷静モード。心強いわ。そう!今回は皆が一緒だもの!何とかなる!
「アーシェンバードって我が国と同じクラシック大国です。クラシックしか聞いた事が無い皇太子が新しい音楽を聞く。びっくりするでしょうねぇ。」
くすくすと意地悪そうに会長は笑う。
「どう言う反応するでしょう?クリスマスミサコンサートを思い出すなあ。あんな感じですかね?」
ジェファーソンの目がキラっと光る。
「目にもの見せてやりましょう。」
会長ってやはりこう言う誘導がめちゃくちゃ上手い。大人なんだよねぇ。
「キャサリン、曲目にJupiter追加します。皇太子の婚約者より優れている所を見せ付けてやります。」
クラシック主流の国か。とブツブツと会長は考え出した。
確かにJupiterは掴み曲としては最高だろう。
「ルナリー、my heart will go on練習したよね?あれを編曲してルナリーメインのクライス、キャサリン、カインと僕でハモり曲で作り直す。」
「ほほう。面白そうだな。」
ルナリーが頷く。
タイタニックの曲か。まあ、あれは何とか知ってる。
「my heart will go onはエミリアのフルートで出だしでやるからエミリア頼むね!ピアノはジェファーソン、ルイスはヴァイオリン、ジョージはチェロ。」
会長はふふっと笑いながらこれをアンコールラスト曲にしようと言った。
「皆、気合い入れてコンサートまで練習しますよ!!」
ジェファーソン、良かった!いつものジェファーソンだ!
私、めっちゃ頑張るわ!
今までの鬱憤晴らすわよー!!
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