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本選
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「新聞に出てるわよ!!」
母の大声で目が覚めた。予定より20分早起き。まあ、いいか。
「何で?何が出てんだ?」
リビングルームに入るとテーブルに新聞が広げられていた。
ノネット・クライムメンバー。
アリア学院声楽科ルナリー・ウェールズさん国立ボードウェン音楽コンクールソプラノ部門予選通過!!
「うわぁぁー!載せるなよなあ。」
新聞記者居たんだ。
伴奏は同じノネットメンバーで婚約者のマッケンジー様。
ノネット・クライムらしいオリジナル曲で予選通過!そして本戦もオリジナル曲らしい。
「こりゃ客が増えるぞ。」
金賞取れなかったら恥ずかしい事態になってしまった。
大丈夫よと両親に励まされ朝食を摂る。勿論、両親とグレンさん、ローズさんも見に来てくれる。
その後、仕度を済ませルイスの到着を待つ。
「おはよう。新聞見たか?」
「おー。仕方ないなー。」
これもアイドル?の宿命だよと笑いながら会場へ向かう。
ルイスもちゃっかり載ってたし。顔写真がスクープされないだけましな時代だよね。
会場到着。
今回は2番目に歌うから直ぐに楽屋に通される。
アップの運動はルイスと組み手を少々。
「今日もお互い動きにキレがあるね!」
「だな!」
発声も調子良い。
舞台へ向かうように声がかかる。
「下克上ー!」
「おー!」
舞台袖で待機。9番の人の選曲は「夜の女王のアリア」だった。普通のクラシックにしていたら被る所だった。
上手いな。年齢は20代半ば?から30歳くらいかな。もう慣れたもんだ。プロ歌手かも知れない。
その後に歌うって普通は緊張するんだろうけど今日は観客が居るので逆にコンサートみたいでワクワクして来ている自分が居る。
「楽しくなってきた。」
「実は俺も。観客が居るって良いよな。」
ルイスも嬉しそうに笑う。
「エントリーナンバー10番。ルナリー・ウェールズさんです。」
アナウンスが流れ舞台へ上がる。
うわぁー!!きゃー!!と言う歓声が巻き起こる。
会場を見ると去年は1階席も空きがあったのに今年は満席、そして2階席も満席。出場者が演奏後に座る確保席以外満席だ。
「ルナリーさーん!!」
「ルイス様ー!!」
黄色くない声援が飛び交う。相変わらずルイスも野郎ファンが多い。
って、コンサートじゃ無いって!
一礼してルイスはピアノへスタンバイ。
拍手も歓声もおさまる。
I will always love You。本当にガチの挑戦だ。
聞け審査員。これが私の現在の集大成だ!
行くぞー!!
サビは高らかにそして愛を込めて。
観客が泣いている。そう、良い曲だよね?
もう1回
高らかに。会場中の皆へ愛を込めて。
終わった。やり切った!
そして、コンクール初のスタンディングオベーションによる拍手喝采。
気持ち良いー!!
歓声と涙と
ルイスと共に一礼する。舞台を降りても歓声が暫く収まらなかった。次に歌う人御免なさい。本当に申し訳ないです。
「もし、金賞じゃ無かったら来年はラストに歌わせて貰おうかなあ。」
「まぁ、それが無難だよな。俺達のコンサートだったな?」
うふふふふ。2人で目を合わせて笑う。
仕方ないよなあ。新聞まで載ったんだし。
「歌は上出来、後は審査員の好みだろうね!」
「スミスさん!!」
楽屋通路でスミスさんが待って居てくれた。2人で駆け寄り挨拶とこれ迄の練習のお礼を述べる。
「私の予定通りなんだけどね?」
スミスさんが笑う。予定通りって?
「絶対、I will always love Youがウケると思ったんですよ。」
だから予選と本選の曲が予想と逆だったんだ!!
「本選は観客が居るからか。」
正解!とスミスさんは笑う。戦略は成功なので後は審査員次第。
「では、また結果楽しみにしていますよ。」
とスミスさんは会場に戻られた。
私達も会場に入る。ちゃっかりと出演者の後ろの席をキャサリン達はキープしていた。
「凄かったわよー!もう観客の歓声!」
「うん。ルナリーとルイスのコンサートだったねー。」
キャサリンとジョージが嬉しそうに笑う。
「本当に最高でした。」「ソプラノで1番上手かったですよ!」
お世辞でも嬉しい王子と会長の言葉。
そして、発表。
「金賞5名」
ドックン・心臓の音が聞こえる。
「9番・・・・。」
やっぱり上手かったもんなあ。
「10番ルナリー・ウェールズ」
言ったよね?私だよな?
ルイスを見て後ろを振り返り皆を見る。ルイスも口をポカンと開けてうんうん。と頷く。声出てないし。
「ルナリー!!」
後ろからキャサリンが抱きつく!
「姐さん!」
「ほら、早く舞台に!!」
ああ、そうだそうだ!行かなきゃ!
表彰の舞台に上がる。
舞台に上がるとワッと言う歓声と共に拍手が起こる。
これは観客の皆様のおかげだな。
5名の金賞受賞者が並び舞台上で一礼。
再び起こる拍手喝采。
「3位・・・・・・。2位ルナリー・ウェールズ。1位・・・。」
2位キター!!!
会場の拍手が本当に嬉しい。
そして。コンクール界への殴り込み?下克上成功。
これはもう本当に観客の皆様のお陰だよな。スタンディングオベーションしたやつを落とせなかったんじゃないかなあ。
コンサート等でお返ししていこう。
小さなトロフィーを貰い舞台を降りた。拍手喝采が本当に嬉しい。
席に座る。
「俺の嫁!!」
ルイスが泣きながらグッと抱き締めてきた。
「うん。ありがとう。」
私も涙がこぼれる。ルイスのお願い何でも聞くぞ。
本当にありがとう。
「ほら、抱き合うのは家でやって下さい!」
王子が笑いながらルイスの頭をぐちゃぐちゃに撫でる。
発表が終わり両親とグレンさん、ローズさんの元へ挨拶へ向かった。
母の大声で目が覚めた。予定より20分早起き。まあ、いいか。
「何で?何が出てんだ?」
リビングルームに入るとテーブルに新聞が広げられていた。
ノネット・クライムメンバー。
アリア学院声楽科ルナリー・ウェールズさん国立ボードウェン音楽コンクールソプラノ部門予選通過!!
「うわぁぁー!載せるなよなあ。」
新聞記者居たんだ。
伴奏は同じノネットメンバーで婚約者のマッケンジー様。
ノネット・クライムらしいオリジナル曲で予選通過!そして本戦もオリジナル曲らしい。
「こりゃ客が増えるぞ。」
金賞取れなかったら恥ずかしい事態になってしまった。
大丈夫よと両親に励まされ朝食を摂る。勿論、両親とグレンさん、ローズさんも見に来てくれる。
その後、仕度を済ませルイスの到着を待つ。
「おはよう。新聞見たか?」
「おー。仕方ないなー。」
これもアイドル?の宿命だよと笑いながら会場へ向かう。
ルイスもちゃっかり載ってたし。顔写真がスクープされないだけましな時代だよね。
会場到着。
今回は2番目に歌うから直ぐに楽屋に通される。
アップの運動はルイスと組み手を少々。
「今日もお互い動きにキレがあるね!」
「だな!」
発声も調子良い。
舞台へ向かうように声がかかる。
「下克上ー!」
「おー!」
舞台袖で待機。9番の人の選曲は「夜の女王のアリア」だった。普通のクラシックにしていたら被る所だった。
上手いな。年齢は20代半ば?から30歳くらいかな。もう慣れたもんだ。プロ歌手かも知れない。
その後に歌うって普通は緊張するんだろうけど今日は観客が居るので逆にコンサートみたいでワクワクして来ている自分が居る。
「楽しくなってきた。」
「実は俺も。観客が居るって良いよな。」
ルイスも嬉しそうに笑う。
「エントリーナンバー10番。ルナリー・ウェールズさんです。」
アナウンスが流れ舞台へ上がる。
うわぁー!!きゃー!!と言う歓声が巻き起こる。
会場を見ると去年は1階席も空きがあったのに今年は満席、そして2階席も満席。出場者が演奏後に座る確保席以外満席だ。
「ルナリーさーん!!」
「ルイス様ー!!」
黄色くない声援が飛び交う。相変わらずルイスも野郎ファンが多い。
って、コンサートじゃ無いって!
一礼してルイスはピアノへスタンバイ。
拍手も歓声もおさまる。
I will always love You。本当にガチの挑戦だ。
聞け審査員。これが私の現在の集大成だ!
行くぞー!!
サビは高らかにそして愛を込めて。
観客が泣いている。そう、良い曲だよね?
もう1回
高らかに。会場中の皆へ愛を込めて。
終わった。やり切った!
そして、コンクール初のスタンディングオベーションによる拍手喝采。
気持ち良いー!!
歓声と涙と
ルイスと共に一礼する。舞台を降りても歓声が暫く収まらなかった。次に歌う人御免なさい。本当に申し訳ないです。
「もし、金賞じゃ無かったら来年はラストに歌わせて貰おうかなあ。」
「まぁ、それが無難だよな。俺達のコンサートだったな?」
うふふふふ。2人で目を合わせて笑う。
仕方ないよなあ。新聞まで載ったんだし。
「歌は上出来、後は審査員の好みだろうね!」
「スミスさん!!」
楽屋通路でスミスさんが待って居てくれた。2人で駆け寄り挨拶とこれ迄の練習のお礼を述べる。
「私の予定通りなんだけどね?」
スミスさんが笑う。予定通りって?
「絶対、I will always love Youがウケると思ったんですよ。」
だから予選と本選の曲が予想と逆だったんだ!!
「本選は観客が居るからか。」
正解!とスミスさんは笑う。戦略は成功なので後は審査員次第。
「では、また結果楽しみにしていますよ。」
とスミスさんは会場に戻られた。
私達も会場に入る。ちゃっかりと出演者の後ろの席をキャサリン達はキープしていた。
「凄かったわよー!もう観客の歓声!」
「うん。ルナリーとルイスのコンサートだったねー。」
キャサリンとジョージが嬉しそうに笑う。
「本当に最高でした。」「ソプラノで1番上手かったですよ!」
お世辞でも嬉しい王子と会長の言葉。
そして、発表。
「金賞5名」
ドックン・心臓の音が聞こえる。
「9番・・・・。」
やっぱり上手かったもんなあ。
「10番ルナリー・ウェールズ」
言ったよね?私だよな?
ルイスを見て後ろを振り返り皆を見る。ルイスも口をポカンと開けてうんうん。と頷く。声出てないし。
「ルナリー!!」
後ろからキャサリンが抱きつく!
「姐さん!」
「ほら、早く舞台に!!」
ああ、そうだそうだ!行かなきゃ!
表彰の舞台に上がる。
舞台に上がるとワッと言う歓声と共に拍手が起こる。
これは観客の皆様のおかげだな。
5名の金賞受賞者が並び舞台上で一礼。
再び起こる拍手喝采。
「3位・・・・・・。2位ルナリー・ウェールズ。1位・・・。」
2位キター!!!
会場の拍手が本当に嬉しい。
そして。コンクール界への殴り込み?下克上成功。
これはもう本当に観客の皆様のお陰だよな。スタンディングオベーションしたやつを落とせなかったんじゃないかなあ。
コンサート等でお返ししていこう。
小さなトロフィーを貰い舞台を降りた。拍手喝采が本当に嬉しい。
席に座る。
「俺の嫁!!」
ルイスが泣きながらグッと抱き締めてきた。
「うん。ありがとう。」
私も涙がこぼれる。ルイスのお願い何でも聞くぞ。
本当にありがとう。
「ほら、抱き合うのは家でやって下さい!」
王子が笑いながらルイスの頭をぐちゃぐちゃに撫でる。
発表が終わり両親とグレンさん、ローズさんの元へ挨拶へ向かった。
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