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クリスマスミサコンサート
しおりを挟むクリスマスミサが始まった。
国立教会の大礼拝堂は満員御礼。
「去年より密集してますよね?」
控え室から覗き見しているジョージがそう言った。
「うーん。そうだなあ。確かに長椅子席がミッチリ詰まっている感じがする。」
ジョージの背後からカインが覗き見。
「ほら、見つかるよ。扉閉めなって。」
会長に言われて2人は慌てて扉を閉めていた。
荘厳なミサが始まった。
「あっ。サンタ衣装着ましょうか。」
今年もサンタ衣装を着る事にした。何だかんだで去年の衣装を気に入ってくれているようだ。
「みんな保管してくれてたんだなあ。」
もう、捨てたかと思ったよ。
「姐さん、サンタ衣装なんて売ってないですから勿体なくて捨てられませんよ!」
確かに売ってないよね。
「今年も似合うー!あれ?ジョージ?」
ジョージがニッコリと笑顔で裾を見てとアピール。
「背が伸びたー!」
そう言えば!裾や袖が明らかに短くなっていた。
「しまったなあ。作り替えなきゃいけなかったか。」
型紙も新しく作らないとなあ。他の男性達ちょっとずつだが背伸びてる。裾が短い。
「今日はこれで良いですよ。可愛いし。」
ジョージがそう言うなら良いが。毎日一緒にいると皆の身長が伸びたのに気が付かず申し訳無い。
「あっ、ミサコンサート始まりましたよ。」
クライスが聞き耳を立てて此方を振り返った。
今回もラストを務める。
賛美歌が聞こえる。今年もどのグループも上手い。
去年より弾けた曲がウケると良いなあ。
「今年もアリア学院からグループをお呼びしました。」
大司教さんがそう言った瞬間から拍手が起きる。私達はニヤっと笑い目を合わせる。さあ、行こうか?
控え室の扉を開け礼拝堂の中を進む。
拍手と黄色い声援。
初めての人ややはり中高年の方々のノリはイマイチな気がする。
サンタ衣装は可愛いと言われているけれど。
「メリークリスマス!!ノネット・クライムです!!」
王子の挨拶に合わせてお辞儀する。
大きな拍手が礼拝堂の中を埋め尽くす。
キャー!!クライス様!!
ジョージ様!可愛いー!!!
ケビン様ー!
カイン様ーー!
4人の人気は不動だなあ。
少し声援が収まった所で配置につく。
「今日はちょっと悲しい曲と楽しい曲2曲披露しますね!」
「まずはクリスマスイブ。」
男性達は前へ出る。エミリアがピアノへ。私とキャサリンはアコースティック・ギターだ!!
漸くボードウェンもギターの時代だぞ!
初めて見る楽器に興味津々の礼拝者達。
前奏からほぉーと感心した様な感動した様な声が漏れ聞こえる。
「きっと君は来ない」
「一人きりのクリスマスイブ」
クライスと会長がユニゾンで歌い始めた。
「Silent Night」
皆でハモリ。
御令嬢達が小さく手拍子を始める。
私には目がハートに見えるよ。ウルウルとした瞳の御令嬢達。
ほかの礼拝者達も手拍子に参加し始めて礼拝堂が一体化する。
男性達の美声に曲が終わったら拍手喝采が収まらない。
黄色い声援の中にルイスと王子もあって良かった。
ノネット!ノネット!ノネット!ノネット!!
ノネットコールが一頻り行われた後、2曲目に入る。
「次は明るい楽しい曲ですよ!素敵なホリデイ聞いてください!」
ルイスと王子がアコースティック・ギターを担当。
後はメインボーカルはキャサリン、後はハモリ。
「近づいている 冬の足音耳を澄ませば」
「聞こえる鈴の音…」
今度は少し大きな手拍子が始まった。
「クリスマスが今年もやって来る!!」
サンタ衣装で可愛く振り付けも。
「悲しかった出来事を消し去る様に」
礼拝者達も楽しそうだ。本当に感受性豊かな国民達。
歌い終わりお辞儀をすると立ち上がって拍手喝采となった。
ブラボー!!
ノネット!!ノネット!ノネット!ノネット!!
「ありがとうございました!皆様、良いクリスマスをお過ごしくださいね!」
王子が挨拶をするとまた拍手が起き
これはクリスマスミサコンサートだよな?
異例のアンコールが起こった。
大司教さんの方を見ると笑顔でウインクしている。やれってことかよ。
「やれやれ。何にしますか?」
会長が王子に声をかける。
「Oh happy day?」
会長はそうなると思ったと言って肩を竦めた。
「アンコールありがとうございます!Oh happy day!」
うぁー!!と歓声が巻き起こり大きな拍手が。
会長は行きますよ?と私達に目配せし歌い始める。
礼拝者達はそのままオールスタンディングで手拍子をしながら聞き出した。
こちらも楽しくなる。礼拝者と共に手拍子しながらフィニッシュ!
「ありがとうございました!」
全員で手を繋いでお辞儀をした。
拍手喝采とノネットコールの中で退場した。
最高でした!
クライス様!かっこいいー!
ケビン様!素敵でした!
カイン様!!美声!
ジョージ様ー!可愛いー!
うーん。流石だな。ノネットのジャ〇ーズと呼べそう。
控え室に入り一息つく。
「皆さんお疲れ様でした!」
「もう、普通のコンサートだったね。」
笑いがらハイタッチをして回る。
「楽しかったですね。本当に大きなホールでコンサート開こうかなあ。」
と王子が脳内計画をし始めた。
メリークリスマス!コンサート成功おめでとう!
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