ヤンキー乙女ゲームの主人公になる!虐め?上等!夜露死苦!

美浪

文字の大きさ
上 下
179 / 369

閑話 パーティー1週間前 クライス×ケビン

しおりを挟む
王子の誕生日パーティーの1週間前だった。

トントン!生徒会室の扉がノックされ返事をする。月末までは生徒会長なので書類整理をしていた所だった。


誰かと思えばクライスだ。珍しい。と言うか1人で来るのは初めてじゃないかな? まあ、座ってとソファに促した。

クライスは意を決した様に

「会長は誕生日パーティーで誰かエスコートするんですか?」

と聞いてきた。突然の問いに驚いたが1人で行くよ?と答えた。


「妹に彼氏が出来たみたいなんです。」

去年は妹をエスコートしてクライスは参加したらしい。まだ婚約はしていないけど妹は誘われた男子と一緒に参加すると言う。


「別に1人で参加で良いんじゃないの?カインやジョージもそうだろ?」

4人で行こうかと誘ってみた。クライスは行くのはそれでも良いけれどダンスが、、。と項垂れた。

ジェファーソンの誕生日パーティーは初めて行くのだが財閥系のパーティーって確かに面倒臭いよね。必ずでは無いのだろうけど踊らないといけない空気。


ジェファーソンの誕生日パーティーでは先ずジェファーソンとキャサリンのダンスと王様とお后様、兄王子と婚約者と言った王族がダンスをする。その後、財閥達がダンスをする流れらしい。


「あの。会長!!あのその。言ってたあれ、本当にやりませんか?」

クライスが照れたように俯いてそう言った。

えっと。あれって僕とダンス?!


「僕とダンスする?」

「はい。ダメですかね?」

思わず口を手で被って横を向いてしまった。

顔が見れない。

「会長?ごめんなさい。無茶言って。」

クライスが頭を掻きながら何とか踊らない様に隅に隠れて誤魔化します。と申し訳なさそうに言った。

落ち着けケビン!!

何時もの冷静な僕に戻るんだ!!自分に言い聞かせる。


「良いよ。ダンスしよう。面白そうじゃないか!」

「本当?!」

クライスの嬉しそうな顔!


「いや、まあね。クライスが寄ってくる御令嬢に興味無いのは知ってたけど。そこまで思い詰めてたの?」

嬉しいんだけど僕は君の行く末がちょっと心配だ。


「僕が御令嬢達に陰で何と呼ばれているか知ってますか?」

クライスが真剣な顔で僕を見詰める。

知らない。首を横に振った。


「最高の残り物物件です!」

クライスは頬を膨らませて壁を睨んで居る。それすらも可愛いんだけれども。

「それは酷いな。女達、最低だ!」

こんなにイケメンで優しくて良い子なのに財産しか見てないのか。酷すぎる。そりゃ御令嬢嫌いにもなるよね。


僕はゲームで卒業後を知らない。だから今でも今後の人生が怖い。選ばれなかった攻略対象者の将来なんてゲームには無かったしなあ。


「ノネット・クライムって結構人気あると思うんだ。」

だからね?僕らが一緒にダンスするのも変な疑いはかからないと思うよ。仲良しにしか見えない。

もしもの為にクライスに心配しないで良いよと投げかける。


「別に男が好きって思われても構わないです!」

クライスはまたぷっくり頬っぺでブーたれている。その頬を突きたいです。


「あっ!ごめんなさい。勝手な事ばかり言って!会長が困るんだ!!」

慌てて謝るクライスに大丈夫だよと微笑みかける。


「クライスちょっと立ってみて。」

身長差はそうないか。僕が175センチ、クライスは174センチだったかな。

「身長同じくらいだよね。じゃ僕が女役で良いかな?」

え?会長が女性パート踊るんですか?と驚かれた。


「確かに身長は同じ?ですけど頼んでいるのに会長に女役させるなんて出来ないですよ!!」

可愛い。そりゃ見た目的にはクライスが可愛いんだけど。


「クライスは財閥御曹司だからね。僕が女性役が立場上OKなんだよ!大丈夫!」

クライスの肩をポンポンと叩いて落ち着かせる。


「会長。ありがとうございます!」

クライスが頭を下げてくるので本当に気にしないで良いよと言うしかない。こんなに嬉しい事はないのになあ。

「ちょっと練習してみようか?」


クライスに手を出す。クライスはあっ!そうだよね!と手を取った。

えーと。女性パートだよね。何となく解る。


クライスがすっと腰に手を回して来た。

うっわー!!!近い。腰に手!繋いだ手!!普通何だけど!

ゾクゾクするーーー!

「何か男性と踊るってウケますね!」

あぁ。そうだよね。普通はウケるんだよ。落ち着けケビン。


「そうだよなあ。きっと会場でもウケるぞ!」

女性って綺麗な男性同士の絡み好きだよね。イケメンに生まれて良かったー!


その後、何とかダンスも形になったので誕生日パーティーは頑張ろうと言う事で本番を迎える事になった。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ドキドキしてきた!さあ会長!手を。」

僕は会長の手を取る。

会長は相変わらずのクールな顔している。いつも冷静でカッコいいよね。


手を取り会場のダンススペースに行くと黄色い声援にびっくりした。

キャー!!キャーキャー!クライス様とケビン様だわ!

お似合い!ノネット最高!


「ほら。令嬢達が逆に嬉しそうでしょ?」

会長がニヤリと笑った。

「信じられない。びっくりした。」

正直、この声援が未だに信じられない。


曲がかかりダンスを始める。本当に御令嬢達が嬉しそうだなあ。

何なんだ?この不思議な現象。


ダンスをしていてふと思う。何時もカッコいい会長がたまに凄く可愛い。表情とか仕草とか。

ほら。今も。。


あっという間にダンスが終わった。何時もは令嬢と踊る時に長くて苦痛に感じていたのに。

「さあ、ファンに御挨拶しようか?」

会長に言われて御令嬢達に向かって一礼。

すると黄色い声援が更に高まった。


「びっくりしてます。」

会長は予想通りだよ?と言っている。


その後、ルイスと姐さんが笑いながらやって来た。

そうだ一緒に踊ってたんだよね。目にも入らなかった。


カインとジョージも踊ろうかと迷っているとジェファーソン達も笑いながらやって来た。

ジェファーソン爆笑しすぎだよ。


何かジェファーソンとカインが踊るって張り切っているし。

本当にジェファーソンって楽しそうな事好きだよね。


会長がジョージに踊るかい?と誘っていた。

僕はそれを黙って見ている。


ダンスは先程よりも声援が大きくて。

何か面白くないな。


理由は全然解らないけれど。胸がチクっと痛んだ。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

親切なミザリー

みるみる
恋愛
第一王子アポロの婚約者ミザリーは、「親切なミザリー」としてまわりから慕われていました。 ところが、子爵家令嬢のアリスと偶然出会ってしまったアポロはアリスを好きになってしまい、ミザリーを蔑ろにするようになりました。アポロだけでなく、アポロのまわりの友人達もアリスを慕うようになりました。 ミザリーはアリスに嫉妬し、様々な嫌がらせをアリスにする様になりました。 こうしてミザリーは、いつしか親切なミザリーから悪女ミザリーへと変貌したのでした。 ‥ですが、ミザリーの突然の死後、何故か再びミザリーの評価は上がり、「親切なミザリー」として人々に慕われるようになり、ミザリーが死後海に投げ落とされたという崖の上には沢山の花が、毎日絶やされる事なく人々により捧げられ続けるのでした。 ※不定期更新です。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

処理中です...