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まさかの事態
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古都京都と言う風情のある駅だった。
駅構内に入ると99%着物の方しか居ない。その中で外務省のスーツ姿が有り直ぐに解った。
『ようこそお越しくださいました。』
『案内人は光国殿でしたか。頼みますから問題は起こさないで下さいね。』
外務省の職員は光国さんに釘を刺していた。
『ボードウェン国より参りました。ボードウェン・ジェファーソンです。本日は宜しく御願いします。』
王子の流暢なプラゲ語に外務省職員は感心した様にこちらこそ宜しく御願いします。と挨拶をした。
『光国殿。行きたくないでしょうが御所へご挨拶へ行ってください。』
天皇陛下に挨拶に行くのか?!
まあ、普通そうなるか。他国から来てる訳だしな。
光国さんは物凄く嫌そうな顔をしている。
『挨拶だけで早々に終わらせる。長引きたく無い。』
公家は此処では権力者で外国人が余り好きでは無い。兎に角、話すな。何故かそう言われた。
『行きたくないが行かねば面倒事になる。』
大きく溜息をつかれた。
京都御所まで外務省職員に連れて行って貰うことになった。
京都の街並みは全然変わらない。修学旅行で来た雰囲気そのままであった。
芸妓さんや舞妓さんも歩いているし町屋もあるし。
「凄く綺麗!」
光国さんの憂鬱そうな顔とは裏腹に皆、外の風景に感動している。
京都御所は城とは違う荘厳さ。
伝統格式が高い。そう言う感じだった。
「ルナリー、ルイス、ちょっと。」
会長が呼んだので傍に行くと
「公家は本当にヤバいかも。光国さんより上の位の人いるからね。あんまり記憶に無いんだけどねー。もっと勉強しときゃ良かったよ。」
と囁いた。
そう言われると緊張するな。
光国さんを先頭に京都御所に入る。
衣装が違う。平安?室町?その頃の衣装っぽい。
『また異国か。』
『多いのお。若者じゃ。』
この人達が公家さんなのかな。ヒソヒソと噂話の様に話している。
光国さんは無言で奥へ進んで行くので此方も頭だけ下げながら付いて行った。
通された謁見の間は板の間であった。
しかし、奥の御簾の中は畳敷きで1段床より高くなっていた。
天皇陛下は御簾越しで話しをされ顔は見せない。
この時代ってそんなもんなのかもなあ。
光国さんは恭しく挨拶をした。
『京での滞在を許す。』
そう言われただけであった。
傍に居た公家の1人が
『昼餉を用意致します。』
と言った。
『畏まりました。』
頭を下げた光国さんの顔が凄く嫌そうな顔だった。
正直、私達も板の間の正座はツラい。
昼げ?と言ったよな。昼ご飯の事だよね。
公家の1人に案内される廊下で光国さんが公家に解らない様に英語で言った。
「ワザとだ。この昼ご飯は正座が出来ない外国人に対して良くやる行為。後、飯は箸で食らう事になる。」
「あと、私語厳禁。」
王子も苦々しい顔をしていた。
歓迎されて居ないのはプラゲに来て初めてだな。
日本の歴史的に見るとこれが普通なんだろうけど。
通された客間はやはり板の間。
膳に乗った食事が運ばれて来た。昼食の内容は京野菜、湯葉にお吸物などの純和食。
問題は正座と箸で食べる事だよなあ。
箸の使い方教えておけば良かった。使える人使えない人で交互に座るか。
私語厳禁。非常にやりにくいが背中をポンと叩いて座らせ席順を決めた。
目線で使い方を真似して!と伝えたつもり。
難しいだろけど。
席に付くと
『これは光国さん。お久しゅう。』
1人の衣装的に明らかに位の高そうな公家と普通そうな公家が入って来た。
『お久しゅうございます。』
光国さんが頭を下げた。
『麿も馳走になろうかのお。』
何か偉そうな人がやって来た様だ。光国さんの顔が引き攣っている。
本当に麿って言うんだな。。
『異国人か。外交とやらも面倒そうでお気の毒に。』
鼻で笑いながら麿は座った。
感じ悪い。
光国さんは私達がプラゲ語を話せる事を隠したいのか話すと厄介事になるからなのか。
特に紹介してもくれない。
「この人は儂より地位が高い。兎に角話すな。そして急いで食べて帰るぞ。」
光国さんは英語で私達にそう言った。
取り敢えずグレンさんもローズさんも大人しくしてくれてるしルイスも大丈夫そうだから何とかなるだろう。
私達は空気を読んで無言で食べた。
上品な味付けで美味い。
箸の使い方は鉛筆握りになってたりしているが何とか皆食べれている。
お椀は持って食べる!
大丈夫そうだ。ちゃんと見てくれている。
カインとジョージが正座辛そう。
吉宗殿の応対が余りにも良かったからギャップがあり過ぎる。
『あぁ。金の髪が良いのお。』
麿がニヤっと笑い呟いた。
『光国さん。夜伽の相手に1人お寄越しなされ。』
光国さんの顔が固まった。
『成りませぬ!』
『お寄越しなされ。』
夜伽って。あれですよね。抱かせろって事だよね。
まじかー!!?待てまて!何を言ってるんだこの麿は!
光国さん!頑張ってくれ!!断れ!
駅構内に入ると99%着物の方しか居ない。その中で外務省のスーツ姿が有り直ぐに解った。
『ようこそお越しくださいました。』
『案内人は光国殿でしたか。頼みますから問題は起こさないで下さいね。』
外務省の職員は光国さんに釘を刺していた。
『ボードウェン国より参りました。ボードウェン・ジェファーソンです。本日は宜しく御願いします。』
王子の流暢なプラゲ語に外務省職員は感心した様にこちらこそ宜しく御願いします。と挨拶をした。
『光国殿。行きたくないでしょうが御所へご挨拶へ行ってください。』
天皇陛下に挨拶に行くのか?!
まあ、普通そうなるか。他国から来てる訳だしな。
光国さんは物凄く嫌そうな顔をしている。
『挨拶だけで早々に終わらせる。長引きたく無い。』
公家は此処では権力者で外国人が余り好きでは無い。兎に角、話すな。何故かそう言われた。
『行きたくないが行かねば面倒事になる。』
大きく溜息をつかれた。
京都御所まで外務省職員に連れて行って貰うことになった。
京都の街並みは全然変わらない。修学旅行で来た雰囲気そのままであった。
芸妓さんや舞妓さんも歩いているし町屋もあるし。
「凄く綺麗!」
光国さんの憂鬱そうな顔とは裏腹に皆、外の風景に感動している。
京都御所は城とは違う荘厳さ。
伝統格式が高い。そう言う感じだった。
「ルナリー、ルイス、ちょっと。」
会長が呼んだので傍に行くと
「公家は本当にヤバいかも。光国さんより上の位の人いるからね。あんまり記憶に無いんだけどねー。もっと勉強しときゃ良かったよ。」
と囁いた。
そう言われると緊張するな。
光国さんを先頭に京都御所に入る。
衣装が違う。平安?室町?その頃の衣装っぽい。
『また異国か。』
『多いのお。若者じゃ。』
この人達が公家さんなのかな。ヒソヒソと噂話の様に話している。
光国さんは無言で奥へ進んで行くので此方も頭だけ下げながら付いて行った。
通された謁見の間は板の間であった。
しかし、奥の御簾の中は畳敷きで1段床より高くなっていた。
天皇陛下は御簾越しで話しをされ顔は見せない。
この時代ってそんなもんなのかもなあ。
光国さんは恭しく挨拶をした。
『京での滞在を許す。』
そう言われただけであった。
傍に居た公家の1人が
『昼餉を用意致します。』
と言った。
『畏まりました。』
頭を下げた光国さんの顔が凄く嫌そうな顔だった。
正直、私達も板の間の正座はツラい。
昼げ?と言ったよな。昼ご飯の事だよね。
公家の1人に案内される廊下で光国さんが公家に解らない様に英語で言った。
「ワザとだ。この昼ご飯は正座が出来ない外国人に対して良くやる行為。後、飯は箸で食らう事になる。」
「あと、私語厳禁。」
王子も苦々しい顔をしていた。
歓迎されて居ないのはプラゲに来て初めてだな。
日本の歴史的に見るとこれが普通なんだろうけど。
通された客間はやはり板の間。
膳に乗った食事が運ばれて来た。昼食の内容は京野菜、湯葉にお吸物などの純和食。
問題は正座と箸で食べる事だよなあ。
箸の使い方教えておけば良かった。使える人使えない人で交互に座るか。
私語厳禁。非常にやりにくいが背中をポンと叩いて座らせ席順を決めた。
目線で使い方を真似して!と伝えたつもり。
難しいだろけど。
席に付くと
『これは光国さん。お久しゅう。』
1人の衣装的に明らかに位の高そうな公家と普通そうな公家が入って来た。
『お久しゅうございます。』
光国さんが頭を下げた。
『麿も馳走になろうかのお。』
何か偉そうな人がやって来た様だ。光国さんの顔が引き攣っている。
本当に麿って言うんだな。。
『異国人か。外交とやらも面倒そうでお気の毒に。』
鼻で笑いながら麿は座った。
感じ悪い。
光国さんは私達がプラゲ語を話せる事を隠したいのか話すと厄介事になるからなのか。
特に紹介してもくれない。
「この人は儂より地位が高い。兎に角話すな。そして急いで食べて帰るぞ。」
光国さんは英語で私達にそう言った。
取り敢えずグレンさんもローズさんも大人しくしてくれてるしルイスも大丈夫そうだから何とかなるだろう。
私達は空気を読んで無言で食べた。
上品な味付けで美味い。
箸の使い方は鉛筆握りになってたりしているが何とか皆食べれている。
お椀は持って食べる!
大丈夫そうだ。ちゃんと見てくれている。
カインとジョージが正座辛そう。
吉宗殿の応対が余りにも良かったからギャップがあり過ぎる。
『あぁ。金の髪が良いのお。』
麿がニヤっと笑い呟いた。
『光国さん。夜伽の相手に1人お寄越しなされ。』
光国さんの顔が固まった。
『成りませぬ!』
『お寄越しなされ。』
夜伽って。あれですよね。抱かせろって事だよね。
まじかー!!?待てまて!何を言ってるんだこの麿は!
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