ヤンキー乙女ゲームの主人公になる!虐め?上等!夜露死苦!

美浪

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トクガワさんとナツメさん

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ルイスと共に城へ着いて城内に入るとまだ誰も来ていなかった。

王子はパーティーの準備に忙しそうで使用人達もバタバタしている。

トクガワさんの姿は見当たらず多分、客室へ通されて居るのであろう。


目の前にナツメさんは居る。飾ってある絵画を興味深そうに眺めていた。

ルイスと良し!話し掛けよう!と決意し近付いた。


「こんにちは。ナツメさん。」

話し掛けると彼は此方を振り返りニッコリと笑った。

昔、教科書で見た事のある髭のオジさんの雰囲気が少しだけはある。勿論、18歳なので若いし好青年と言った感じだ。


「こんにちは。えーと?」

「マッケンジーとウェールズです。」

ルイスが笑顔で紹介してくれた。


「あまり流暢に英語は話せないのですが。通じてますか?」

ナツメさんは控え目に尋ねてきた。

流暢ですよ。私達もボードウェン語以外はそれほど話せませんと断りを入れた。


「あの。質問しても良いですか?」

私は徐ろに服装の事を聞いた。着物が主流なのかスーツなのか。気になっていたのだ。

ナツメさんはなるほどと笑顔でこれは外交官の服装ですと答えた。国の中は着物7割、洋服3割だそうだ。

「僕も混ぜて下さい!」

会長が私達を見付けてダッシュでやって来た。


『こんにちは。フォワード・ケビンです。』

会長がプラゲ語で挨拶するとナツメさんは嬉しそうな笑顔でプラゲ語上手ですね!と言った。

本当は全てプラゲ語で聞けるのだがその後は空気を読んで会長は英語で質問をした。

「ナツメさん、プラゲ国の首都は何処なんですか?」

質問すると「プラネットですよ。」と意外な答えが返ってきた。


プラゲ国首都プラネット。ゲーム製作者の意図満載だよ。


「後!将軍が国のトップなんですか?」

そう言うと少し困った顔をされた。

「英語で上手く説明出来ないです。」

少しはプラゲ語大丈夫です!と言うと解りましたと言って話始めた。

『プラゲ国には将軍、総理大臣、天皇が居ます。国の情勢は将軍管轄、外交は総理大臣、神事は天皇管轄です。言葉使いも管轄で異なるんですよね。将軍管轄は武家言葉ですし。って通じてるのかなあ?まあ、良いか。複雑って事ですよ。』


「大丈夫ですか?難しいですよね。取り敢えず将軍居ます。」


と最後に英語で答えられた。


全部通じてます。が少し解らないフリをした。

「えーと。3人居て国は揉めないのですか?」

そう質問するとまたプラゲ語で

『英語で説明出来なくてすみません。昔は小さな島国なのに47国に分かれて居たのを現在統一した名称がプラゲ国です。それを3人の役割分担で調度纏まっています。って言っても解らないですね。国の歴史なので。』

と言った後に英語で

「大丈夫なんですよー。」

と言われた。


「何だか複雑な歴史みたいだな。」

と会長が解らない様にボードウェン語で呟いた。

47国って都道府県って事だろうなあ。


少し国の内情が解った所で皆が集まってきた。


「すみません。ナツメさんお引き留めしてしまって。」

「お疲れの所、すみませんでした。」

「また後でゆっくりお願いします。」

と3人でナツメさんにお礼を述べる。

「いえいえ、では、パーティーまで部屋におりますので。」

とナツメさんは笑顔で申された後に

『ふーん。この3人はプラゲ国的な価値観なんだな。図々しくなくてパルドデア人よりマシかも 。』とプラゲ語でサラッと呟かれた。怖っ!!

私達は解らないフリをして部屋に笑顔で戻られるナツメさんを見送った。


「なかなか腹黒そうな気配だな。」

「取り敢えず気を付けよう。日本人的な価値観で行こう。」

会長と目配せして頷きあった。


「もしかして試されてる?」

ルイスがボソッと呟いた。

「ボードウェン国がどんな国かって事?」

うーん?解らないけど。パルドデアに強引にボードウェンに行くように言われたとか?

ナツメさんのプラゲ語にはちょいちょい面倒臭そうな受け答えがあったし。


「お・も・て・な・し!か!!」

会長が目を光らせた。

ん?持て成すの?と聞くと。

このネタ解らないかと言った後に

「お客様は?」

と振って来た。

私とルイスは「神様です!!」

と言うと正解!と言われた。なるほど。


「ちょっと頑張ってみようか。」

会長が何が出来るか考えている。


「パルドデアってどんな食生活?」

私が聞くとアメリカっぽいと言われた。


「食事ね。うんうん。面白いねー。持て成すか。」

会長はニヤりと悪そうな笑顔を見せて紙に書き出した。


紙には平仮名で

『きらいなたべものはありますか?またはたべたいものはありますか?』と書かれていた。


「知らないフリも面倒だけど聞いてきて。」

会長は私とキャサリンを呼びトクガワさんとナツメさんに聞いてこいと言った。

「僕とルイスはパーティー形式と厨房へ様子を見に行こう。立食だったら変更させよう。料理はイタリアンの方が日本人の口には合うかな。本当は和食作りたいねー!」


後、ジェファーソンに上手く伝えてやらせるのがルイスの役目。と言いながら2人は王子の元へ向かった。


私とキャサリンはちょっとドキドキしながら客室へ向かった。


客室はVIPルームに通されているとキャサリンが言った。


解りやすく部屋の前には二人づつ護衛の人が立っていた。最初の部屋の護衛の人に

「すみません。」

話し掛けると軽く一礼された。

キャサリンはプラゲ語で

『フラームと申します。此方をトクガワ様とナツメ様に見せて頂けますか?』

キャサリンが会長が書いた紙を護衛の人に見せる。

護衛の人はキャサリンのプラゲ語で会話して来たのとプラゲ語の文章を見てニッコリと笑顔になった。

『ナツメ様に見せてきますね。』

と言われたので奥はトクガワさんか。


「私も行ってくるよ。」

奥の部屋の護衛が立っている部屋に向かう。


『すみません。ウェールズと申します。これをトクガワ様に渡して頂けますか?』

護衛の方はやはりプラゲ語を聞くとニッコリと微笑まれた。

手紙を見ると。

『なるほど。これは助かります。殿は気難しいので。』

と苦笑いされて中に入って行かれた。


やはり武士、しかも先の副将軍だもんな。

しかし東野英治郎のイメージとは掛け離れてるなあ。西村晃でも無いな。年齢的なもんかな。


少し待つと護衛の人にどうぞと通された。

部屋に恐る恐る入ると

『いやあ!天晴れ!この国は良き配慮が出来るではないか!』

ソファに腰掛けたトクガワさんの声でかい。

パンと扇子を開かれトクガワさんはニコニコと笑顔を見せた。

『パルドデア国は儂らが若いから馬鹿にしておる。全く持って腹立つ。何やら奇妙な汁物や硬い肉ばかり食わされた。ぐちゃぐちゃゴテゴテっとした濃い味付けで。おっといかんいかん。』

一頻りプラゲ語で愚痴を申された後に


「ついプラゲ語で話してしまった。英語で話さないと解らないか!」

と笑いながら

英語で何と言うのかのお?とブツブツ言いながら

「あっさりした物!」

と言われた。

私は笑顔で

『承知しました。』

と言うと少しは話せるのお!とまた笑顔で申された。

『主らの気遣い有難く思うぞ。下がって良い。』

私は一礼して

『では、夕食までお寛ぎ下さい。』

と言って部屋を出た。このくらいのプラゲ語なら問題ないだろう。

ちなみにナツメさんは手紙の返信に

お気遣いありがとうございます。魚が有れば嬉しいですと書かれていた。

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