ヤンキー乙女ゲームの主人公になる!虐め?上等!夜露死苦!

美浪

文字の大きさ
上 下
112 / 369

イベントですか?

しおりを挟む
私がルイスの家でお義母さんから借りるドレスを選んでいる頃。


クライスと会長は登山をしていたらしい。



「ごめんね。会長、付き合って貰って。」

「いや、気にしなくて良いよ。結構きついもんだなあ。」


父と母の結婚記念日に何を贈ろうか悩んだクライスは『ブラナタ山』に自生する高級食材のキノコを採りに行きたい!と思ったそうで僕を誘って来た。

両親の好物らしいが市場に出回らない。松茸、ポルチーニ、黒トリュフ?現世ではそんな扱いかなあ。それ以上かな。金持ちでも滅多にお目にかかれない代物であるには違いない。


「お金で買えるものって基本的に何でも自分達で買っちゃうから毎年、苦労してるんだよね。」


「うちの両親もそうかな。プレゼント選びって困るよね。」

所詮そのお金もお小遣いだし。手作りが出来る程器用でもない。


キノコか考えたなあ。プラナタリング茸は僕も1度、超高級レストランで食べた以来だ。余分に見つけたら僕も持って帰って料理して貰おう。


「しかし、何で僕を誘ったの?」

嬉しいけどね。

「1番体力ありそうなルイスを誘ったら今日はルナリーが家にドレス選びに来るとかで。今度の誕生日パーティーで着るドレスをルイスのお母様に借りるんだってー。」

へー。2人、進展してるじゃないか。良かった良かった。

僕次点なのね。


「ごめんね。次に体力ありそうなのって会長かなーって!」

クライスに笑顔で微笑まれると次点でもOKと思えた。


「確かにそうだね。ジョージは絶対、登山とか無理そうだし。カインは速攻で断りそう。」

ジェファーソンは警護人付いてくるだろうから更に問題外だ。

クライスはうんうんと頷いていた。


登山なんてこの世界では初めてだ。前世では遠足とかで登ったけど。登山趣味の人とか聞いた事無いし。文化の違いだなあ。


プラナタ山は700メートルちょっとの山で登山初心者の僕らにはきつい。富士山とかに比べたら全然低いけど。


「明日、筋肉痛なってそう。」

クライスが既に息が荒い。


「休憩しようか。」

座るのに調度良い岩があったので腰掛ける様に誘った。

水筒の水が美味い。

「あー!生き返るー!」

水を飲み笑顔になったクライス、可愛いなあ。


「後どのくらいかなあ?」

調べて来ましたよ。坊ちゃんは無計画なんだからー。

「1時間くらいだね。」

山頂までは行かないで済みそうで途中にプラナタリング茸が自生する木が生えている場所がある。と図鑑に載っていた。

木も茸の形状も調べて来たぞ!!


「結構遠いねー。1時間か。」

「登山なんてそんなもんですよ。まだ収穫に来る業者が居るから道は開けてる方だし。迷わないだけましですよ。」


後はちゃんと生えてるか?!だよね!

あると良いなあ。


頑張ろうとクライスを励ましながら登山。

途中で山の湧き水があったので飲んだり水筒に補充したり。初めて飲んだ湧き水にクライスは冷たくて美味しいって感動していた。

何か登山デートの様だ。


きついけどこのくらいで高級食材が手に入るとはねー。やっぱ変な世界観だ。本来なら普通に庶民が取り放題で登山しまくるよ。


「クライス、もう少しじゃないかな。頑張ろう。」

時間的にもそろそろな筈。

5月の登山は少し汗ばむ程度で結構良いなあ。木々の新緑も良いし。


「会長、疲れて来たー!」

クライスが手を出すので引っ張ってやる。

くそー!可愛いー!!


「あっ!プラナタの木だよ!クライス!」

図鑑で見たから間違いない。この根元に生えてる筈だ。


「会長!ありがとうー!この木かあ。探すぞー!」

急に元気になったクライスと木の根元を探して回る。


「なかなか見つからないもんだな。ん?」

これかな?その時クライスも

「会長!!見てあったよー!」


満面の笑みで茸を片手に微笑むクライス。可愛い!ってあれデジャブか?何か見た事ある気がする。


「あっ。僕も見つけたよー!」

プラナタリング茸ゲット!


その後も探すとあるある!合計6本も採れた。日本円だと50~60万円くらいになるかなと下世話な事を考えてしまう。


「もう、無いかなあ。」

「これだけ採れたら充分だよ。」

そうこう言ってるうちに、、、

ポツン、、

「雨だ!」


山は天候が変わりやすいって言うからね。

困ったな。止むかな。

咄嗟に木の下に避難したけど。


「どうする?会長?」

「下山するか?待つか?悩む所だよね。」


空を見上げると黒雲。こりゃ止みそうにないぞ。茸採りに目がくらんで全然、天候気にして無かった。


ドーン!!!


遠くに落雷が落ちた。

クライスは耳を塞いでいる。雷苦手なんだな。


「木の下は危ないから行こうか?」

雷が落ちたら死ぬし。。


空はゴロゴロ言っていてまた雷落ちそうだ。


あー。傘持ってくれば良かった。

「大丈夫?クライス?」

「ごめんね。会長、付き合わせちゃってこんな目に、、」

謝るクライスに何言ってるんだよと笑いかける。


わー!!!


急に大声を上げるクライス。振り返ると

「会長ごめん。滑った。。」

しかも足を挫いている様だ。


雨、足を挫いたクライス。さて、どうしよう。

おんぶ?


「ほら、肩貸すよ!」

流石におんぶする体力はない!


「ごめんー!」

さっきから謝ってばかりのクライスを励ましながら下山していると左手下方に山小屋を発見した。


「来る時は気づかなかった。死角だったのかな。」

まだ昼過ぎだし雨宿りした方が良いなあ。


「クライス、休もうか。」

そう言うとクライスは笑顔で頷いた。足も手当しないとな。


僕らは山小屋に避難した。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

親切なミザリー

みるみる
恋愛
第一王子アポロの婚約者ミザリーは、「親切なミザリー」としてまわりから慕われていました。 ところが、子爵家令嬢のアリスと偶然出会ってしまったアポロはアリスを好きになってしまい、ミザリーを蔑ろにするようになりました。アポロだけでなく、アポロのまわりの友人達もアリスを慕うようになりました。 ミザリーはアリスに嫉妬し、様々な嫌がらせをアリスにする様になりました。 こうしてミザリーは、いつしか親切なミザリーから悪女ミザリーへと変貌したのでした。 ‥ですが、ミザリーの突然の死後、何故か再びミザリーの評価は上がり、「親切なミザリー」として人々に慕われるようになり、ミザリーが死後海に投げ落とされたという崖の上には沢山の花が、毎日絶やされる事なく人々により捧げられ続けるのでした。 ※不定期更新です。

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

処理中です...