ヤンキー乙女ゲームの主人公になる!虐め?上等!夜露死苦!

美浪

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このゲームの世界観

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王子が何処かで聞いた事がある様な素敵なクラシックを奏でる中、取り敢えず時間があるので五線譜と向き合う。

両隣にルイスと会長が座った。

「何、するか決まってんのか?」

「うん。ルイスも知ってるやつで会長に歌わせたい曲!」

会長は知ってる年齢なのか疑問だが。楽譜見たら解るだろう。


鼻歌を歌うとルイスかニヤっと笑い子供の頃聞いた事あるなあ。と言った。洋楽なのだが確か小学生か中学生くらいだったと思う。

「なあ!今、気がついたんだが!この国?この世界?ギターが無い!」

今、書いている楽譜も出来ればギターでやりたいと思ったのだがエレキギターは勿論、アコースティックギターも無いのだ。

「無いな。。今まで何の疑問にも思わなかった。」

「僕も気づかなかった。完全にこの世界観だよ。存在してないから気づかなかったんだ。」

やっぱり無いのか。金持ちが言うのだから間違いないだろう。


会長もルイスも難しい顔をしている。歌謡曲を勧めて行くには必要になってくる楽器だ。

「参ったね。衝撃の事実だよ。」

私達3人は顔を見合わせて頷きあった。


「ピチカートで代用していくしかないだろうな。」

弦を弾くピチカートはクラシックでも結構使う。

「コントラバスやヴィオラとかハープとかで行けるかな?」

何とも頭を抱える出来事だ。

「コントラバスでピチカートが音的には近いかなあ。」

弦楽器はルイスにお任せになりそうだ。


「なあ、幼なじみのルイス君。そろそろジェファーソンにツッコミを入れて来てくれないか?」

会長が苦笑いをしながら言う。王子、クラシック迷走中だ。


私達は作曲活動と言う授業は行っていない。昔からあるものを歌ったり弾いたり。

そう言う世界として作られたのだから何も疑問に思わずに生きてきたが1度気付くと変な世界だ。
新しい音楽が生まれない。
クラシックすら新曲と言う物が生まれ無いのだ。

大司教さんはもしかしたらその事実に気づいたのかもしれないなあ。


「ジェファーソン。それクラシックにしか聞こえねーよー。」

ルイスが王子の肩をポンポンと叩いている。


「そーなんだよ!ルイス!いざ作ろうとすると閃かないんだよ。僕、頭硬いのかも。」

王子は眉が下がり非常に困った顔をしている。


そうじゃない。これだけ音楽を愛する国なのに新しい音楽を作るという文化が無かったからだ。

これがこのゲームの世界観なんだろうなあ。


「まあ、無理せずゆっくり考えて行けばいいって!」

ルイスが一生懸命、王子を宥めている。


「ごめん。今すぐは無理みたい。ルナリー、先に考えてくれる?」

「おー!気にするなー。」

私は改めて楽譜を書き出す。


「姐さんも思いつくんだ。凄いね!」

クライスが目をキラキラさせて此方を見ている。

「うー。僕には出来ないのに。」

王子の凹み具合が酷い。


「王子ー!コツはクラシックを忘れる事だぞー!」

そこが1番難しいんだろうけど。


「キャサリンって何時もどうやって曲を考えてるの?」

あぁそれ聞かれたら困るやつ。カイン聞かないでやってくれ。


「私。本当は音楽得意では無いんです。ピアノ科なのに下手だし。ルナリーに歌ってみるように勧められて初めて音楽が楽しいって思ったの。」

キャサリンは満面の笑みでそう言った。ちょっと照れるな。


「クラシックは勉強の為に沢山聴いたけど、全然身に付いて無かったの。だからピアノ下手だし、他の楽器も苦手だし。でも!身に付いてないから私は新しい音楽が閃くんだと思う!!」

おお。凄い説得力ある。


「そうか。クラシックから離れるね。概念に囚われないと行けるのか。。」

王子がブツブツ言っていた。


「そうそう。今までキャサリンが作ってきた曲を思い出してからの自分の物にする!と言っている間に出来たよ。」

と言うと皆がまじか!?と言う顔で此方を見詰めた。


この曲、本当に会長に歌わせたかったんだよ。


「会長が主旋律の曲だぜー!」

会長に楽譜を渡すと記憶にあるのか音階を見ての反応か解らないがうわぁーっと言う反応をしていた。


「僕にファルセットやらせる気ですか?」


「はーい。そーでーす!会長なら出る出る!」



EARTH,WIND&FIREで『宇宙のファンタジー』

名曲だぜー!

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