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景品?!
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「スミスさん!?」
レッスンルームに突然現れた来客は指揮者のスミスさんとピアノ奏者の方だった。
「うちの楽団員がご迷惑をお掛けしました。」
スミスさんは本当に申し訳なさそうに深く頭を下げた。
ピアノ奏者の方も一緒にすみませんでしたと謝罪され此方こそ申し訳ないと思ってしまう。
「皆、無事でしたから大丈夫ですよ。無理を言って公演に参加させて貰った訳でしたし。」
王子が上手く間に入ってくれた。
「今日、お伺いしたのは、1番ご迷惑をお掛けしたウェールズさんに謝罪を兼ねて御提案をしに参りました。」
スミスさんは私の方を見てそう言った。
「何でしょう?気にされなくて大丈夫ですよ。本当に無事でしたし。」
私が勝手にタイマン張ってケガしただけです。
「コンクールの指導とピアノ奏者として彼女を使って下さい!」
私の独唱のピアノ演奏を管弦楽団専属ピアニストが弾いてくれる!?専属指揮者による指導?!
「良いんですか?!本当に良いんですか?」
願ってもない出来事に食い入るように尋ねてしまった。
「勿論ですよ!是非よろしくお願いします!」
スミスさんとピアニストの方が笑顔で申された。
あー!これは会長が言っていた犯人捕まえた時の景品ってやつかもー?!
テンションがかなり上がり2人と笑顔で握手した。
皆もスミスさんの指導なら勝てる!と喜んでくれた。
何を貰うより有難い申し出だ。
レッスンは毎日17時より2時間みっちり練習と決まりこの日から鬼の指導を受ける事になる。
ピアニストの方はナタリーさんと言うアリア学院卒の先輩だった。
予選曲は私が得意な曲の1つ「私を泣かせてください」と言う曲を予定していたのだが。
「変更しよう。もう少し難易度を上げる」
スミスさんはそう言って「トゥーランドット」を選曲して来た。
今から?いや少しじゃ無い難易度アップ!!!
そう思ったが有無を言わさずに練習が始まった。
楽譜を渡されて聞いた事あるけど歌った事が無い。
しかもコンクールの演奏時間の関係で実際のオペラより短く編集されている!
ほぼ初見から開始。
的確な指示。歌い直し。
感情の込め方。細かなブレスまで徹底的な指導。
鬼教官。。
そんなあだ名が似合う。
「はい。この曲はまた明日。次、夜の女王のアリア」
当初よりは上手くなったと思う。
しかし!やはりダメ出し。
「憎い、復讐、恨むとか。ウェールズさんはそう言う感情があまり無いタイプかな?」
「あー。やられたら直ぐ手が出ますね!」
うっかり正直に言うとスミスさんは笑いながらそうかと言った。
1ヶ月近く練習していたら猫被りもして居られないだろうから早目に暴露しておいた方が良いのかもな。
「トゥーランドットも夜の女王のアリアも感情が大事。しっかり演技するんだよ」
「それとコロラトゥーラの練習ね。」
私は頷いた。
復讐か。
あぁ。1番参考になる人物の顔が思い浮かぶ。
リサ。
演じる。
感情を込めて。
「少し良くなった。」
スミスさん厳しい。
技術も感情表現も私にはまだ足りない。
2時間みっちり練習は終了した。
「しっかり自主練して来てね。」
スミスさんに言われお礼を述べる。
ナタリーさんにも。何度も同じ所を付き合わせてしまった。
コンクールまで後、25日。
レッスンルームに突然現れた来客は指揮者のスミスさんとピアノ奏者の方だった。
「うちの楽団員がご迷惑をお掛けしました。」
スミスさんは本当に申し訳なさそうに深く頭を下げた。
ピアノ奏者の方も一緒にすみませんでしたと謝罪され此方こそ申し訳ないと思ってしまう。
「皆、無事でしたから大丈夫ですよ。無理を言って公演に参加させて貰った訳でしたし。」
王子が上手く間に入ってくれた。
「今日、お伺いしたのは、1番ご迷惑をお掛けしたウェールズさんに謝罪を兼ねて御提案をしに参りました。」
スミスさんは私の方を見てそう言った。
「何でしょう?気にされなくて大丈夫ですよ。本当に無事でしたし。」
私が勝手にタイマン張ってケガしただけです。
「コンクールの指導とピアノ奏者として彼女を使って下さい!」
私の独唱のピアノ演奏を管弦楽団専属ピアニストが弾いてくれる!?専属指揮者による指導?!
「良いんですか?!本当に良いんですか?」
願ってもない出来事に食い入るように尋ねてしまった。
「勿論ですよ!是非よろしくお願いします!」
スミスさんとピアニストの方が笑顔で申された。
あー!これは会長が言っていた犯人捕まえた時の景品ってやつかもー?!
テンションがかなり上がり2人と笑顔で握手した。
皆もスミスさんの指導なら勝てる!と喜んでくれた。
何を貰うより有難い申し出だ。
レッスンは毎日17時より2時間みっちり練習と決まりこの日から鬼の指導を受ける事になる。
ピアニストの方はナタリーさんと言うアリア学院卒の先輩だった。
予選曲は私が得意な曲の1つ「私を泣かせてください」と言う曲を予定していたのだが。
「変更しよう。もう少し難易度を上げる」
スミスさんはそう言って「トゥーランドット」を選曲して来た。
今から?いや少しじゃ無い難易度アップ!!!
そう思ったが有無を言わさずに練習が始まった。
楽譜を渡されて聞いた事あるけど歌った事が無い。
しかもコンクールの演奏時間の関係で実際のオペラより短く編集されている!
ほぼ初見から開始。
的確な指示。歌い直し。
感情の込め方。細かなブレスまで徹底的な指導。
鬼教官。。
そんなあだ名が似合う。
「はい。この曲はまた明日。次、夜の女王のアリア」
当初よりは上手くなったと思う。
しかし!やはりダメ出し。
「憎い、復讐、恨むとか。ウェールズさんはそう言う感情があまり無いタイプかな?」
「あー。やられたら直ぐ手が出ますね!」
うっかり正直に言うとスミスさんは笑いながらそうかと言った。
1ヶ月近く練習していたら猫被りもして居られないだろうから早目に暴露しておいた方が良いのかもな。
「トゥーランドットも夜の女王のアリアも感情が大事。しっかり演技するんだよ」
「それとコロラトゥーラの練習ね。」
私は頷いた。
復讐か。
あぁ。1番参考になる人物の顔が思い浮かぶ。
リサ。
演じる。
感情を込めて。
「少し良くなった。」
スミスさん厳しい。
技術も感情表現も私にはまだ足りない。
2時間みっちり練習は終了した。
「しっかり自主練して来てね。」
スミスさんに言われお礼を述べる。
ナタリーさんにも。何度も同じ所を付き合わせてしまった。
コンクールまで後、25日。
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