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ゲネプロ
しおりを挟む午後練習開始。
オケの演奏はほぼ出来上がっており練習のメインは合唱となった。
私の歌声を聞いていたスミスさんの指示が的確で明白。自分でも上手くなったと明らかに解る。
最終的には1回通して歌える程揃った。
「もっとしっかり歌いこみしてきます!」
スミスさんや楽団員達に本日もお疲れ様でしたとお辞儀をし練習室を出る。私達の練習が明らかに不足していると感じた。
ストーカーが悪いんだ!と八つ当たりしたくなる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
その後。
3月練習1回目収穫なし。『ストーカーホイホイ作戦』は名前を知らないメンバー以外はレオナルドさんとリサさん、ブルーさんとアーリーさん、マリーさん等の同じ様な方々しか集まらなかった。
自宅へのストーカーからの手紙は2回ポストに入っていた。
ジミーさんが手紙の主では無い事は確定した。
手紙の内容は
歌声を褒めたり、愛してると書いてあったり。貴女の声は誰にも渡さないとか。そりゃもう好き放題書いてあった。
直接的な接触は1度もない。
私達は取り敢えず第1容疑者はレオナルドさんと言う事にした。
定期演奏会で接触して来たし。会話は殆ど交わしていないがその都度の怪しい場面に彼は居た。
第2容疑者はアレックス・ブルーさんなのだが。これはエミリアの手前大っぴらにして居ない。疑いはある。
そして進展しないまま日にちだけが過ぎた。
最終練習、公演前日のゲネプロの日が来てしまった。
もう犯人見つからないのでは無いかと思えてきた。しかし見つけないとこれからの生活に支障をきたす。
本日は舞台で練習。本番と同様に行うので私達は出番まで客席で楽団の演奏を聞くことになった。
本当に上手い。1つ1つの曲で感動を覚える。
ゲームでは無いが共演後に犯人を当てると言うのはこのメンバーの誰も欠けてはならないと言う事なのかも知れない。
私達の出番。第九、歓喜の歌。
カインもクライスも精一杯練習して来た。
練習開始からすると格段に上手くなっている。
合唱も迫力が出て客席に響き渡る。
そのまま1発OKが出てラストのレクイエムまでは1曲なので舞台袖で待機。
本番でも行うであろう挨拶をスミスさんが行った。ジミーさんへの追悼のメッセージ。
未だに後悔が付き纏う。何故あの時追い掛け無かった。
彼は刑務所には入ったかもしれないが生きていられたのに。
レクイエムは心を込めて。彼の成仏を祈る。この世界の宗教では考えが異なるのだが仏教の思考が抜けない。
ゲネプロは無事に終了した。明日の公演は1回のみで13時からだ。
集合は10時。
犯人、明日解るのかな。
帰りのバスの中でふと鞄の留め具がいつも閉めている位置と違う事に気づいた。
開けて見ると手紙だ。何時もポストに入っている白の封筒では無く薄い水色の封筒だった。
「手紙が入ってた!!」
私が叫ぶと皆が一斉に此方を見た。
「読んで!!」
キャサリンが急かしてくる。
『明日、演奏会後の16時に音楽ホールの外庭の時計台の下に来て頂けませんか?』
「犯人来たー!」
生徒会長が叫ぶ!
「計画立てますよ!」
王子も張り切っている。
「でもな。何時もの封筒と色が違うしちょっと文章が何時もより丁寧な気がするなあ?」
私は少し引っかかる所がある。
しかしその意見は却下され皆の間で着々と計画が練られて行った。
外庭は音楽ホールの入口の左横に広がる花壇。その奥に時計台が有る。
確か外庭には音楽ホールの奥のガラス張りの一角が扉になっていてそこからも出入りが出来た筈だ。
音楽ホール内から時計台は見えない。
「全員の配置が重要だな。」
生徒会長が呟く。
学校に着いてレッスンルームの黒板には音楽ホールと外庭の絵が描かれ明日の全員の配置図を作成させた。
時計台には私のみで向かう。
時計台の近くの花壇の脇から王子、生徒会長、カイン
時計台から少し離れた木にルイスが隠れて立つ。何時でも飛び出せる位置だ。
音楽ホールに近い花壇にエミリアとキャサリン。
音楽ホール内の公衆電話から直ぐに警察に電話出来るようにジョージとクライスが待機。
犯人遭遇時点から連携で警察に連絡出来る様に配置が考えられた。
明日は公演。そして決戦。
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