ヤンキー乙女ゲームの主人公になる!虐め?上等!夜露死苦!

美浪

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クリスマスデート♪

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なかなか2人でお出掛けデートって言うのは難しい。警護人付き。

でも嬉しい。

「お昼ご飯でも行こうか!」

ジェファーソン様がそう言うので車に乗り込む。

高級そうなレストランの個室に通される。

「個室なら2人っきりになれると思ってね。」

警護人は外で待機している。

気を使ってくれたのが凄く嬉しい。

「ルイスの所は大変そうだねぇ。」

「コンクールで金賞っていってましたね。」

ジェファーソン様は難しそうな顔をしている。私も大変なのは良く解る。

「でも、やれるって信じてます!」

私は笑顔でそう言った。

「僕もそう思う。応援しようね!」

ノンアルコールのシャンパンで乾杯する。この一時。幸せ。

「初めてだよね。こう言うデート。」

「はい。幸せです。」

思わずそう言うとジェファーソン様も照れられる。私の顔も赤くてお互いの笑顔と照れが止まらない。

そうだ。聞かないと!

「あの。国立管弦楽団と共演ってどうしたら出来ますか?」

私がそう言うとジェファーソン様は何で?と言う感じで首を捻られた。

「エミリアの好きな人がそこにいるらしくて。」

と言うとなるほどと頷いた。少し考えて

「何とかしようか。考えてみるよ。」

と言ってくれた。ジェファーソン様優しいなあ。

その後、食事を楽しみ、会話も弾む。こんなに2人きりで会話って初めてかも。

食後にジェファーソン様が少し顔を赤くしながら此方を見た。

「キャサリン。プレゼントがあるんだ!」

びっくりした!恋人同士みたい!あっ両思いなんだ。って顔が綻ぶ。

「私も実は。。」

用意して来て良かった。そう言うとジェファーソン様もびっくりした顔をしていた。

ジェファーソン様から渡された物は。

「これって?!」

「婚約指輪。」

顔を赤くしてそう言われた。金のリングに小さなダイヤが付いていた。感動で倒れそう。

「私からも。」

腕時計を贈った。ジェファーソン様は非常に嬉しそうで早速はめてくれた。

「キャサリン、大好きだよ。」

「ジェファーソン様、大好きです!」


私達はお互いのプレゼントを身に付け店を出る。警護人が待機している中、車に乗り込む。2人きりのデートは終了。
でもとても幸せ。


・・・・・・・・・・・・・・・・



「どこ行く?」

「ツーリング!」

良し!と単車に乗る。冷たい風が気持ちいい。緊張と不安を消すような風。
山の中腹で街を眺める。

「景色良いな。」

「うん。」

「こら!落ち込みすぎ!」

ルイスに頭をポンと叩かれる。

「付き合うのはOK出たじゃん!」

そう言われたのは救いだったかな。

「よし!箔が付く様に頑張るか!!」

ルイスがギュっと肩を抱いて来た。

「苦労ばかりかけるな。ごめん。」

「落ち込んでるのはそこじゃねーし。」

私はキッとルイスを睨む。

「私達、このまま一生自分達の素を出せないままか?」

そう言うとルイスは苦い顔をした。

「そこな。俺は毎日悩んでる。」

「俺はお前以上に猫被りのプロなんだよ!」

ふふっ。思わず笑ってしまう。

ルイスも釣られて笑う。


「誕生日おめでとう!」

そうだ!何か緊張とバタバタで今日誕生日だと言う意識が飛んでた。

「ありがとう!」

「俺さあ。誕生日プレゼントに婚約指輪買ったんだ!」

「そうだと思った!」

何だバレてたのかよって顔をする。

「今は!」

「いらない!」「やれない!」

2人同時に叫んだ。

思わず見つめ合って笑ってしまう。

「絶対そう言うと思った。」

「俺も。お互い仁義貫く所は変わらねーな。」

うんうんと頷き合う。

「でも、1つ誕生日プレゼント。」

ルイスは少し考えたような顔をして言った。


「関東暴走連合紅夜叉特攻隊長・・サキ。」


頭にドッと記憶が流れ込んで来る。生きていた記憶。死んだ時の記憶。様々の私の前世。

「コウジ、それが俺の名前。」


そう言われて雪がチラつく冬の日本の光景が脳裏に広がった。

…………

今と同じ様な冬の1985年のこと。

夜叉と紅夜叉内では恋愛禁止。
それをしっかり守っていた私達。

その頃、関東では暴走族同士の抗争が激化中だった。


「抗争が収まったら俺とチーム抜けてくれ。」

私を助けたコウジの傷の手当をしている時に彼はそう言った。

「うん。抗争が収まったらね。」

多くを語らなくても彼の言いたい事が良く解った。

告白は1度もされてないし。好きだとも言ってない私達。


でもその後、抗争が終わらないうちに私は死んでしまった。

…………


そこで記憶はふっと途切れて目の前にはルイスの顔が見えた。
あぁ。そうだったんだな。

「私達って昔も付き合う約束してたんだな。」

「ああ。俺もそれ思い出したよ。」


抗争が収まったら族を抜けて付き合う。
その前に私は死ぬ。

あれ?何か似てる状況じゃないか?

 
コンクールで金賞を取れたら婚約する。

待て待て。考え過ぎか?


破滅フラグ・・。否、死亡フラグってやつが頭を過ぎる。
何だろうこの悪寒は。風邪じゃないぞ。
野生の勘だろうか?

キャサリンがフラグが立つって言ってたよな。


「ルイス!やっぱ指輪くれ!」

「は?いいけど。良いのか?」

私は頷く。自分の死んだ時を思い出してちょっとビビってるだけかもしれない。
本当に死ぬ時の事は思い出さなきゃ良かった。

だから、、。今、婚約しときたい。


「何かなあ。死亡フラグってやつが立った感じがして。婚約しないとヤバい気がしてさあ。」

ゲームの主役が死ぬとかあるのかね?

今は意味が解らないルイスが私に指輪を嵌めてくれた。

「いつも我儘でごめんよ。」

ルイスを優しく抱きしめた。ちゃんとこの世界の話をしなければならないな。

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