ヤンキー乙女ゲームの主人公になる!虐め?上等!夜露死苦!

美浪

文字の大きさ
上 下
70 / 369

クリスマスデート♪

しおりを挟む
なかなか2人でお出掛けデートって言うのは難しい。警護人付き。

でも嬉しい。

「お昼ご飯でも行こうか!」

ジェファーソン様がそう言うので車に乗り込む。

高級そうなレストランの個室に通される。

「個室なら2人っきりになれると思ってね。」

警護人は外で待機している。

気を使ってくれたのが凄く嬉しい。

「ルイスの所は大変そうだねぇ。」

「コンクールで金賞っていってましたね。」

ジェファーソン様は難しそうな顔をしている。私も大変なのは良く解る。

「でも、やれるって信じてます!」

私は笑顔でそう言った。

「僕もそう思う。応援しようね!」

ノンアルコールのシャンパンで乾杯する。この一時。幸せ。

「初めてだよね。こう言うデート。」

「はい。幸せです。」

思わずそう言うとジェファーソン様も照れられる。私の顔も赤くてお互いの笑顔と照れが止まらない。

そうだ。聞かないと!

「あの。国立管弦楽団と共演ってどうしたら出来ますか?」

私がそう言うとジェファーソン様は何で?と言う感じで首を捻られた。

「エミリアの好きな人がそこにいるらしくて。」

と言うとなるほどと頷いた。少し考えて

「何とかしようか。考えてみるよ。」

と言ってくれた。ジェファーソン様優しいなあ。

その後、食事を楽しみ、会話も弾む。こんなに2人きりで会話って初めてかも。

食後にジェファーソン様が少し顔を赤くしながら此方を見た。

「キャサリン。プレゼントがあるんだ!」

びっくりした!恋人同士みたい!あっ両思いなんだ。って顔が綻ぶ。

「私も実は。。」

用意して来て良かった。そう言うとジェファーソン様もびっくりした顔をしていた。

ジェファーソン様から渡された物は。

「これって?!」

「婚約指輪。」

顔を赤くしてそう言われた。金のリングに小さなダイヤが付いていた。感動で倒れそう。

「私からも。」

腕時計を贈った。ジェファーソン様は非常に嬉しそうで早速はめてくれた。

「キャサリン、大好きだよ。」

「ジェファーソン様、大好きです!」


私達はお互いのプレゼントを身に付け店を出る。警護人が待機している中、車に乗り込む。2人きりのデートは終了。
でもとても幸せ。


・・・・・・・・・・・・・・・・



「どこ行く?」

「ツーリング!」

良し!と単車に乗る。冷たい風が気持ちいい。緊張と不安を消すような風。
山の中腹で街を眺める。

「景色良いな。」

「うん。」

「こら!落ち込みすぎ!」

ルイスに頭をポンと叩かれる。

「付き合うのはOK出たじゃん!」

そう言われたのは救いだったかな。

「よし!箔が付く様に頑張るか!!」

ルイスがギュっと肩を抱いて来た。

「苦労ばかりかけるな。ごめん。」

「落ち込んでるのはそこじゃねーし。」

私はキッとルイスを睨む。

「私達、このまま一生自分達の素を出せないままか?」

そう言うとルイスは苦い顔をした。

「そこな。俺は毎日悩んでる。」

「俺はお前以上に猫被りのプロなんだよ!」

ふふっ。思わず笑ってしまう。

ルイスも釣られて笑う。


「誕生日おめでとう!」

そうだ!何か緊張とバタバタで今日誕生日だと言う意識が飛んでた。

「ありがとう!」

「俺さあ。誕生日プレゼントに婚約指輪買ったんだ!」

「そうだと思った!」

何だバレてたのかよって顔をする。

「今は!」

「いらない!」「やれない!」

2人同時に叫んだ。

思わず見つめ合って笑ってしまう。

「絶対そう言うと思った。」

「俺も。お互い仁義貫く所は変わらねーな。」

うんうんと頷き合う。

「でも、1つ誕生日プレゼント。」

ルイスは少し考えたような顔をして言った。


「関東暴走連合紅夜叉特攻隊長・・サキ。」


頭にドッと記憶が流れ込んで来る。生きていた記憶。死んだ時の記憶。様々の私の前世。

「コウジ、それが俺の名前。」


そう言われて雪がチラつく冬の日本の光景が脳裏に広がった。

…………

今と同じ様な冬の1985年のこと。

夜叉と紅夜叉内では恋愛禁止。
それをしっかり守っていた私達。

その頃、関東では暴走族同士の抗争が激化中だった。


「抗争が収まったら俺とチーム抜けてくれ。」

私を助けたコウジの傷の手当をしている時に彼はそう言った。

「うん。抗争が収まったらね。」

多くを語らなくても彼の言いたい事が良く解った。

告白は1度もされてないし。好きだとも言ってない私達。


でもその後、抗争が終わらないうちに私は死んでしまった。

…………


そこで記憶はふっと途切れて目の前にはルイスの顔が見えた。
あぁ。そうだったんだな。

「私達って昔も付き合う約束してたんだな。」

「ああ。俺もそれ思い出したよ。」


抗争が収まったら族を抜けて付き合う。
その前に私は死ぬ。

あれ?何か似てる状況じゃないか?

 
コンクールで金賞を取れたら婚約する。

待て待て。考え過ぎか?


破滅フラグ・・。否、死亡フラグってやつが頭を過ぎる。
何だろうこの悪寒は。風邪じゃないぞ。
野生の勘だろうか?

キャサリンがフラグが立つって言ってたよな。


「ルイス!やっぱ指輪くれ!」

「は?いいけど。良いのか?」

私は頷く。自分の死んだ時を思い出してちょっとビビってるだけかもしれない。
本当に死ぬ時の事は思い出さなきゃ良かった。

だから、、。今、婚約しときたい。


「何かなあ。死亡フラグってやつが立った感じがして。婚約しないとヤバい気がしてさあ。」

ゲームの主役が死ぬとかあるのかね?

今は意味が解らないルイスが私に指輪を嵌めてくれた。

「いつも我儘でごめんよ。」

ルイスを優しく抱きしめた。ちゃんとこの世界の話をしなければならないな。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ある王国の王室の物語

朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。 顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。 それから 「承知しました」とだけ言った。 ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。 それからバウンドケーキに手を伸ばした。 カクヨムで公開したものに手を入れたものです。

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

親切なミザリー

みるみる
恋愛
第一王子アポロの婚約者ミザリーは、「親切なミザリー」としてまわりから慕われていました。 ところが、子爵家令嬢のアリスと偶然出会ってしまったアポロはアリスを好きになってしまい、ミザリーを蔑ろにするようになりました。アポロだけでなく、アポロのまわりの友人達もアリスを慕うようになりました。 ミザリーはアリスに嫉妬し、様々な嫌がらせをアリスにする様になりました。 こうしてミザリーは、いつしか親切なミザリーから悪女ミザリーへと変貌したのでした。 ‥ですが、ミザリーの突然の死後、何故か再びミザリーの評価は上がり、「親切なミザリー」として人々に慕われるようになり、ミザリーが死後海に投げ落とされたという崖の上には沢山の花が、毎日絶やされる事なく人々により捧げられ続けるのでした。 ※不定期更新です。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

処理中です...