ヤンキー乙女ゲームの主人公になる!虐め?上等!夜露死苦!

美浪

文字の大きさ
上 下
45 / 369

閑話 草食系男子と女子の幸せの瞬間

しおりを挟む
今日はどうしても2人っきりになりたくてキャサリンの迎えを断って貰い送る事にした。


「本当に良かった。」

心からほっとした。正直、犯人が見つからなければどうなる事かと思った。でも謹慎処分されても退学処分されても婚約破棄はしない。それは心に決めていた。

「ありがとうございます。嬉しかったです。」

キャサリンが顔を赤らめてそう言った。

ああ。勢いで皆の前で好きだと言ったのだった。

思い出すと赤面する。でもキャサリンが嬉しいと言ってくれた。

「良かった。」

幸せを噛み締める。


「まさかライズさんが犯人とは。」

僕は呟く。昔のキャサリンも裏でライズが煽っていたと聞いた時は腸が煮えくり返る思いがした。ルナリーやルイスなら殴ってたんだろう。彼等が羨ましく思う。あぁ。キャサリンやっぱりショックなんだよなあ。俯いて話してくれない。

「ごめんね。辛いよね」

「はい。」

キャサリンはコクリと頷いた。

こういう時どうしたら良いのだろう。

優しく手を握るとか?

普段、エスコートやダンスで密着する事があるのに改めて!となると凄く恥ずかしい。

「キャサリン。」

そっと手を握るとキャサリンがビクッとして顔が真っ赤になった。僕の顔も赤い。顔が見れない。外の景色を見ながらキャサリンの手の温もりを感じた。



・・・・・・・・・・・・・・・・



ジェファーソン様が車で送ると行ってくれた。こんな誘い初めてだ。嬉しい緊張する。

「本当に良かった。」

ジェファーソン様が仰る。
そうだ。婚約破棄はするつもりはないってハッキリ言ってくれたんだ。
もう感動と驚きと安堵で血圧が下がった様だ。壁に持たれ立ったまま気絶。白目向いてたぞとルナリーに言われた。ジェファーソン様に見られなくて良かった!!


改めて婚約破棄はしないと言う言葉が思い出される。

「ありがとうございます。嬉しかったです。」

顔が赤くなるのを感じる。

「良かった。」

ジェファーソン様も嬉しそうで事件が無事解決して本当に良かったと思う。


「まさかライズさんが主犯とは。」

そう言われて長年友達と思っていた事が本当に表面的な付き合いだったんだと思った。

ヴィオレッタは特に私の味方の様にしてあの女がジェファーソン様に近づいていたと教えてくれていた。私、確かにそう言われた通りに睨んだりしてたわ。

もしかしてゲームのキャサリンも?!
そう考えたら悪役令嬢としての彼女がルナリーを目の敵にして虐めていたのも解る気がする。

「ごめん。辛いよね。」

そう言われて

「はい。」

とだけ答えた。辛いと言うより前世の記憶が戻って良かったと思う気持ちが強い。あのまま過ごしていたらと思うとゾッとする。


「キャサリン。」

ジェファーソン様がそう言ったかと思うとそっと手を握ってきた。落ち込んでいる私を慰めてくれているのよ!そう思うんだけど顔も心臓も言うことを聞いてくれない。顔が真っ赤になるのを感じる。ジェファーソン様の顔をまともに見れない。



・・・・・・・・・・・・・・・・・


無言のまま自宅に着いてしまった。

王子が改めて手を取り車から降ろしてくれる。

こう言うのは普通に恥ずかしくないのに。


「本当にありがとうございました。」

「ううん。僕が送りたかったんだ。」

そう言われると本当に嬉しくなる。


自分の人生の主役は自分だ!ルナリーの言ったていた事がふっと思い出された。嫌われたらその時よね?今、貴方に触れたい。


車に戻ろうとするジェファーソンの背中にぎゅっと抱きついた。

「本当に私のためにありがとうございました。嬉しかった」

背中が温かい。ジェファーソン様いい匂いする。ドキドキするけど幸せ。

「きゃ、キャサリン?!」

ジェファーソンは驚いた様な声を上げた。あっ。やってしまったかしら。。。

抱き着いた手を離す。

ジェファーソン様は振り向かれ顔を赤くしたまま

そっと、私を抱き締めた。


そこに言葉はなかったけれど優しくてドキドキして数秒?数十秒?

それは永遠に感じた。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

親切なミザリー

みるみる
恋愛
第一王子アポロの婚約者ミザリーは、「親切なミザリー」としてまわりから慕われていました。 ところが、子爵家令嬢のアリスと偶然出会ってしまったアポロはアリスを好きになってしまい、ミザリーを蔑ろにするようになりました。アポロだけでなく、アポロのまわりの友人達もアリスを慕うようになりました。 ミザリーはアリスに嫉妬し、様々な嫌がらせをアリスにする様になりました。 こうしてミザリーは、いつしか親切なミザリーから悪女ミザリーへと変貌したのでした。 ‥ですが、ミザリーの突然の死後、何故か再びミザリーの評価は上がり、「親切なミザリー」として人々に慕われるようになり、ミザリーが死後海に投げ落とされたという崖の上には沢山の花が、毎日絶やされる事なく人々により捧げられ続けるのでした。 ※不定期更新です。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

処理中です...