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エミリア
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放課後、管楽器科の教室へ向かう。
また集まろうって言ったのに文化祭後からパッたり来なくなるんだもんなあ。忙しいのかもしれないがクリスマスミサの話はしておかなければ。
教室の戸を開けると数人の生徒。そして窓際に1人エミリアが居た。
良かった、まだ帰ってなくて。
此方に気付かずエミリアは暗い顔で窓の外をぼーっと見ていた。
「エミリアちゃん!」
私は肩をポンっと叩く。
ビクッ!!っとエミリアは肩を竦めた。そんなぼーっとしてたんか?ってくらいの反応だった。
「ルナリー。。」
エミリアは暗い顔のままで1度此方を見たが目を逸らす。此奴、何かあったな。
「あっ。私、忙しくて帰らなきゃ!」
慌ててエミリアは立ち上がる。やはり目を合わせようとしない。
「待て」
私はエミリアの手を掴む。
「ごめんなさい。本当に帰らないと!」
他の生徒の手前、余り騒ぎ立てられないな。しかし、本当に何かあったなあ。
私は唇を噛み締める。
コイツは思ったより深刻だ。
参ったなー。今度は何処のどいつだよ。
皆に言うか言うまいか。
下手に騒がれたらエミリアが危なくなる。
悶々と考えながらレッスンルームに向かう足取りが重い。
レッスンルームのドアを開けると編曲を皆で頑張っていた。
「ごめん。遅れた。そしてエミリアに逃げられた」
私は取り敢えずそう告げる。
「エミリアに何かあったの?」
キャサリンが心配そうに聞いてくる。
「解らんが深刻そう。」
「令嬢の苛めか?」
ルイスが機嫌悪そうに聞いてくる。
「大体、解るんだ。周りの目をやたら気にしていた。何処かに見張りがいるかもしれねー。人前では口は割らねえ感じ」
溜息が出る。
皆も此方の話を聞き心配そうな顔をしている。
ふと思い出す。こう言う態度って。
「あー!あれだ!人質取られてたり仲間がヤバい時の行動だ!」
と叫ぶと前世にやはり似たような経験のあるルイスは頷いていた。
「下手にこっちも動けねーやつだな」
「人質って、そんな物騒な事なの?」
キャサリンの顔は強ばっている。まだ何も確証がないんだよあ。
「ただの苛めなら頼ってくれば良い。それが頼れない状況なのは確か。それ以上は解らない。」
レッスンルームには沈黙が流れる。
「姐さん、探り入れましょうか」
カインがニコっと笑う。ああ、彼の得意分野だったな。
「僕も役に立ちますよ?」
婚約者なしのクライスも令嬢と話をするのはピッタリかも知れない。
「目立たず!焦らず!御願いします」
私は2人に頭を下げた。
「姐さん、そうじゃないでしょ?!」
2人は不満そうに此方を見詰める。はい。そーっすね。
「さっさと調べて来い!バレたら承知しねーから!」
睨みつけると満足そうに嬉しそうに微笑んでいた。
また沈黙が流れた。
今日は練習所ではない。詳しい捜査は明日から2人に御願いするとして。大丈夫だと良いが。
「ルナリー、大丈夫ですよ。困った時は僕も意見をすれば苛めも収まりますよ」
王子が微笑まれる。こっちに王子が付いてるのは心強いが何か不安が拭えねえ。
「ルナリーちょ、来い」
ルイスが隣に来いと呼び寄せる。
「お前、昼飯、登校、帰宅は1人でするな」
ルイスは真剣な顔で見詰める。
「全部、俺とだ。昔からお前は狙われやすいからな。事件の解明出来るまで1人になるなよ。」
溜息を付きながら。
でも顔を赤らめながら。
私がまた狙われてんのかな?うーん?違う様な気もするんだけど。でも心配してくれているし。
「解った」
そう言うとルイスは微笑んだ。
しかし、全てが後手後手に回っていてルイスも見当違いの事をしていた事に気づくのにそう時間は掛からなかった。
また集まろうって言ったのに文化祭後からパッたり来なくなるんだもんなあ。忙しいのかもしれないがクリスマスミサの話はしておかなければ。
教室の戸を開けると数人の生徒。そして窓際に1人エミリアが居た。
良かった、まだ帰ってなくて。
此方に気付かずエミリアは暗い顔で窓の外をぼーっと見ていた。
「エミリアちゃん!」
私は肩をポンっと叩く。
ビクッ!!っとエミリアは肩を竦めた。そんなぼーっとしてたんか?ってくらいの反応だった。
「ルナリー。。」
エミリアは暗い顔のままで1度此方を見たが目を逸らす。此奴、何かあったな。
「あっ。私、忙しくて帰らなきゃ!」
慌ててエミリアは立ち上がる。やはり目を合わせようとしない。
「待て」
私はエミリアの手を掴む。
「ごめんなさい。本当に帰らないと!」
他の生徒の手前、余り騒ぎ立てられないな。しかし、本当に何かあったなあ。
私は唇を噛み締める。
コイツは思ったより深刻だ。
参ったなー。今度は何処のどいつだよ。
皆に言うか言うまいか。
下手に騒がれたらエミリアが危なくなる。
悶々と考えながらレッスンルームに向かう足取りが重い。
レッスンルームのドアを開けると編曲を皆で頑張っていた。
「ごめん。遅れた。そしてエミリアに逃げられた」
私は取り敢えずそう告げる。
「エミリアに何かあったの?」
キャサリンが心配そうに聞いてくる。
「解らんが深刻そう。」
「令嬢の苛めか?」
ルイスが機嫌悪そうに聞いてくる。
「大体、解るんだ。周りの目をやたら気にしていた。何処かに見張りがいるかもしれねー。人前では口は割らねえ感じ」
溜息が出る。
皆も此方の話を聞き心配そうな顔をしている。
ふと思い出す。こう言う態度って。
「あー!あれだ!人質取られてたり仲間がヤバい時の行動だ!」
と叫ぶと前世にやはり似たような経験のあるルイスは頷いていた。
「下手にこっちも動けねーやつだな」
「人質って、そんな物騒な事なの?」
キャサリンの顔は強ばっている。まだ何も確証がないんだよあ。
「ただの苛めなら頼ってくれば良い。それが頼れない状況なのは確か。それ以上は解らない。」
レッスンルームには沈黙が流れる。
「姐さん、探り入れましょうか」
カインがニコっと笑う。ああ、彼の得意分野だったな。
「僕も役に立ちますよ?」
婚約者なしのクライスも令嬢と話をするのはピッタリかも知れない。
「目立たず!焦らず!御願いします」
私は2人に頭を下げた。
「姐さん、そうじゃないでしょ?!」
2人は不満そうに此方を見詰める。はい。そーっすね。
「さっさと調べて来い!バレたら承知しねーから!」
睨みつけると満足そうに嬉しそうに微笑んでいた。
また沈黙が流れた。
今日は練習所ではない。詳しい捜査は明日から2人に御願いするとして。大丈夫だと良いが。
「ルナリー、大丈夫ですよ。困った時は僕も意見をすれば苛めも収まりますよ」
王子が微笑まれる。こっちに王子が付いてるのは心強いが何か不安が拭えねえ。
「ルナリーちょ、来い」
ルイスが隣に来いと呼び寄せる。
「お前、昼飯、登校、帰宅は1人でするな」
ルイスは真剣な顔で見詰める。
「全部、俺とだ。昔からお前は狙われやすいからな。事件の解明出来るまで1人になるなよ。」
溜息を付きながら。
でも顔を赤らめながら。
私がまた狙われてんのかな?うーん?違う様な気もするんだけど。でも心配してくれているし。
「解った」
そう言うとルイスは微笑んだ。
しかし、全てが後手後手に回っていてルイスも見当違いの事をしていた事に気づくのにそう時間は掛からなかった。
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