ヤンキー乙女ゲームの主人公になる!虐め?上等!夜露死苦!

美浪

文字の大きさ
上 下
27 / 369

閑話 草食×草食と草食×肉食(鈍感)

しおりを挟む

王子に祝いの歌を。ザワザワとそんな空気になっていく会場。

参ったな。呼ぶんじゃなかったあの令嬢達。止めようか、絶対皆困っている筈だ。

そう思った時だった。ルナリーか会場の中央へ出て来た。


大丈夫だろうか。曲も迷っているようだし。僕の大事な友達に恥をかかせようとする令嬢や大人達。怒鳴ってやりたい。でも、王子と言う立場はこんな時キツい。


「作詞、フラーム様。作曲、マッケンジー様とウェールズ、、」

突然ルナリーが言い出した。

作詞?!キャサリンが??

作曲?ルイスにルナリー?編曲まで?

オリジナルソング。凄くびっくりした。


「ワンツースリーフォー!」


手拍子と足踏みが会場に響く

ルナリーの高らかな美しい声を皮切りに皆がどんどんハモって行く。

美しいけど楽しい楽しいバースデーソング。

振り付けまで。いつの間に?!


そしてもう一曲。友情を歌った曲だった。

キャサリンが主旋律を歌う。優しくて大人っぽくて。

皆のハモりが更に声を引き立たせてくれている。


うん。ずっと皆と友達で居たいよ。年を取っても友達で居て欲しい。

曲が終わって拍手も忘れて皆に駆け寄る自分が居た。

大事な友達。誕生日プレゼントをありがとう。

皆を抱き締めて回る。そしてキャサリン。

皆にしたよりもぎゅっと抱き締める。

「ありがとう。僕の為に。」

耳元で囁くと顔を赤らめていた。この反応は少し進展したのかな?と不純な事を考えながらパーティは終了した。


最高に幸せな誕生日だった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


誕生日ソングの計画を立てる。ワクワク。ジェファーソン様、喜んでくれるかしら?

ルナリーの言う通り、誕生日ソングってクラシックで?沢山、曲を知らないからだけかも知れないけれどこれと言うのが思いつかない。そして思い切って前世の曲を翻訳して見た。

メロディーに会うように少し歌詞を変えてっと。

私が歌って聞かせると皆、凄く良い!!と賛成してくれて本当に嬉しい。編曲、ハモり直ぐ行動に移せるハイスペックな友達達。凄い。もう出来てしまった。

改めてプロだと思う。


本番は会場で披露する事になってしまったけれど上手く歌えた!

ジェファーソン様が泣いて喜んでくれて本当に心から嬉しい。

皆が助けてくれたからだ。

ぎゅっと抱き締められて耳元で囁かれてもうもうもう!顔から火が出そうだ。

幸せ過ぎる。

ジェファーソン様、お誕生日おめでとう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ルイス!約束だろ!?」

私はパーティが終わって車で家まで送って貰った時に言った。


「あ!そうだった!」

「1発殴らせてくれるんだよな?!」


ルイスは今日は色々有りすぎて忘れているようだった。


正直、言いたい事がいっぱいある。挨拶三昧も疲れたし何よりも腐れ社長令嬢にムカついたし。そいつのお陰で歌の披露も会場で行う事になったし。ムカつく事がいっぱいあったのだが王子とキャサリンの笑顔で多少チャラにはなった。


否、何かそんなんじゃねー。少しずつ何か思い出せそうで思い出せなくて。イライラを我慢する度に少しずつモヤモヤが。。


ルイスをまじまじと見る。

この顔見ても思い出せる訳ではないんだが。


「どうした?殴らないのか?」

ルイスがそう言った。

「何か思い出せそうなんだよ!ちょっと黙ってろ!」

モヤモヤする。イライラする。



脳裏に私を護る様に立ちはだかる男


「狂犬ちゃん。。。」

カーキ色の親衛隊の特攻服の男が脳裏をよぎる

名前が出てこないけど呼んでたアダ名だ。


ルイスは目を大きく見開いた。

「やっぱそうだ狂犬ちゃん!」

私を抗争中にずっと護ってくれた夜叉親衛隊の狂犬ってアダ名の喧嘩の強い男だ。


私はルイスに抱き着く。まだ思い出したのはアダ名くらいだけど。

今日のイライラと触れ合ったドキドキが抗争中の気持ちと似ていたんだろうか。

本当に狂犬ちゃんには世話になりっぱなしだった記憶がある。


「狂犬。。そうだ夜叉親衛隊狂犬の、、、」

ルイスは言葉に詰まる。

「ごめん。私もまだアダ名しか思い出せない」

「俺も自分のアダ名ってのは解った。でも嬉しいぜ」


うん。きっと前世では護ってもらったり援護したりと良い相棒関係だったんだろう!!


スッキリしたあー!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ルナリーを送った帰り道の車の中で思い出す。

「狂犬ちゃん」

そう呼ばれてドキリとした。

鼓動が速くなった。


「やっぱり狂犬ちゃんだ」

抱きつかれて更にドキドキが止まらねえ。


アダ名だってのは解る。夜叉親衛隊狂犬の、、、。そこからまだ解らない。

喧嘩が強くて他の暴走族との抗争が激化した時に紅夜叉の特攻隊長が闇討ちされまくっていたので護衛に付けと言われた。


アダ名の通り仲間内からも1目置かれてたし紅夜叉の奴らも俺の事は怖がっていた。

でも、コイツだけは俺を「狂犬ちゃん」と呼んで懐いた。


そうだー。そこからずっとコイツに惚れ込んで惚れ込んで。

そしてもう一つ大事な事を思い出した。

そのまま告白もしてねえ。付き合っても居なかった。


ショック。。。

俺、今世は本当、頑張ろ。。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

【完結】100日後に処刑されるイグワーナ(悪役令嬢)は抜け毛スキルで無双する

みねバイヤーン
恋愛
せっかく悪役令嬢に転生したのに、もう断罪イベント終わって、牢屋にぶち込まれてるんですけどー。これは100日後に処刑されるイグワーナが、抜け毛操りスキルを使って無双し、自分を陥れた第一王子と聖女の妹をざまぁする、そんな物語。

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

お飾り公爵夫人の憂鬱

初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。 私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。 やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。 そう自由……自由になるはずだったのに…… ※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です ※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません ※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな
恋愛
市川みのり 31歳。 成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。 彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。 貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。 ※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

悪役令嬢カテリーナでございます。

くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ…… 気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。 どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。 40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。 ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。 40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

処理中です...