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第四話「クエスチョンアワー~都市伝説選択譚~」
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「天子さん!」
神社についた栞は、天子たちの家の玄関を開け、大声で叫んだ。
「お、なんじゃ?シオリ?何か用か。」
出てきたのは天子。来るなと念を押した栞がこんなに早く再び訪れるとは思ってもみなかったので、すこし難しい表情をしている。
「あの……。七生クンが……。都市伝説に……。」
ここまで走ってきて息もあがったままに天子に状況を説明する。
「むむ。そういうことか。ならそこまで案内してもらおうかのう。」
「はい!」
全力疾走でここまで来たが、危険な目にあっている駆人のことを思えば、疲労が溜まっているからといって弱音など吐いていられない。天子を伴って、今度は神社から公園へ向かって走り出した。
栞が出た時よりもずいぶんと暗くなった公園に、二人はたどり着いた。街灯の明かりの下で、駆人と男はいまだににらみ合いを続けていた。これで助けられる、と近づいていくと、何やら駆人達は言い争いをしているようにも聞こえる……。
「なのなのな。かきのたね、かきのたね……。」
「おい、さっさと決めろ。赤か、青か。」
「ああ!邪魔しないでくれ!どっちだったか忘れたじゃないか。」
「……。すまん。」
「まったく。僕は優柔不断なんだ……。どちらにしようかな天の神様の言う通り……。」
栞たちはさらに近づいて駆人に声をかける。
「七生クン……。大丈夫なの?」
駆人は二人が来たことに気付くと、二人に向かって笑顔を向ける。
「あ、綾香さんありがとう。うん無事だよ。」
「こやつがその都市伝説とやらか。」
「はい。名前は『赤い紙、青い紙』ってところですかね。」
駆人は都市伝説の解説を続ける。
「トイレの紙がないときに、そのトイレの利用者のもとに出現するんです。その時に赤い紙か青い紙かを選ばせるんですね。」
「選ぶとどうなるんじゃ。」
「赤い紙を選ぶと、血だらけになって死ぬ。出血でもするんでしょうか。青い紙を選ぶと、顔が青ざめて死ぬ。血を抜かれるイメージですかね。」
「え、じゃあ出会ったらどうすればいいの。」
「それはこうだ。」
駆人は都市伝説の男の方に向き直り。
「どちらもいらない。」
待ちくたびれた男は、その答えに落胆し、げっそりとした顔でその場を離れようとする……。
「天子様、今です。」
「おお、そうか。狐火ーム!」
去ろうとする男の背中に、天子の手のひらから放たれた光線が命中する。
光線に焼かれる男は、恨めしそうに三人を見つめながら、消えていった。
都市伝説を退治した三人は、今度こそ栞を家に送り届けるために、また住宅街を歩いていた。
「ところで、シオリよ。お主、都市伝説を倒すところに立ち会ってしまったのう。」
「あ、それってやっぱりまずいんですか。」
「うーむ。結局弱点をついたのはカルトで、とどめを刺したのはわしじゃから、そこまで気にすることはないと思うんじゃが。まあ、何か危険を感じたら、わしらのところにいつでも来て良いぞ。それに、人手が足りんくなったらお主に協力してもらうこともあるかもしれん。」
「いいんですか。」
「関わらん方がいいと言ったのは、あくまで無関係の時じゃったからな。関わってしまった以上、わしらの目が届いた方がよい。」
「ちょ、ちょっと天子様。綾香さんを危険なことに巻き込むわけには……。」
駆人が慌てた様子で口をはさむ。それを天子は駆人の肩を抱きよせながら笑い飛ばす。
「安心せい。この子は見た目よりずっとタフじゃよ。」
「私は大丈夫だから。七生クン。」
そう二人に言われては、駆人としては返す言葉がない。
「それに、私が危なくなったら守ってくれるでしょ?」
そう言って微笑む栞の顔を見て、駆人は少しドキッとする。
「青春じゃなあ。」
「て、天子様……。」
天子はもう一方の腕でまた栞の肩を抱きよせる。二人は顔を見合わせ、少し気まずそうに、笑いあった。
神社についた栞は、天子たちの家の玄関を開け、大声で叫んだ。
「お、なんじゃ?シオリ?何か用か。」
出てきたのは天子。来るなと念を押した栞がこんなに早く再び訪れるとは思ってもみなかったので、すこし難しい表情をしている。
「あの……。七生クンが……。都市伝説に……。」
ここまで走ってきて息もあがったままに天子に状況を説明する。
「むむ。そういうことか。ならそこまで案内してもらおうかのう。」
「はい!」
全力疾走でここまで来たが、危険な目にあっている駆人のことを思えば、疲労が溜まっているからといって弱音など吐いていられない。天子を伴って、今度は神社から公園へ向かって走り出した。
栞が出た時よりもずいぶんと暗くなった公園に、二人はたどり着いた。街灯の明かりの下で、駆人と男はいまだににらみ合いを続けていた。これで助けられる、と近づいていくと、何やら駆人達は言い争いをしているようにも聞こえる……。
「なのなのな。かきのたね、かきのたね……。」
「おい、さっさと決めろ。赤か、青か。」
「ああ!邪魔しないでくれ!どっちだったか忘れたじゃないか。」
「……。すまん。」
「まったく。僕は優柔不断なんだ……。どちらにしようかな天の神様の言う通り……。」
栞たちはさらに近づいて駆人に声をかける。
「七生クン……。大丈夫なの?」
駆人は二人が来たことに気付くと、二人に向かって笑顔を向ける。
「あ、綾香さんありがとう。うん無事だよ。」
「こやつがその都市伝説とやらか。」
「はい。名前は『赤い紙、青い紙』ってところですかね。」
駆人は都市伝説の解説を続ける。
「トイレの紙がないときに、そのトイレの利用者のもとに出現するんです。その時に赤い紙か青い紙かを選ばせるんですね。」
「選ぶとどうなるんじゃ。」
「赤い紙を選ぶと、血だらけになって死ぬ。出血でもするんでしょうか。青い紙を選ぶと、顔が青ざめて死ぬ。血を抜かれるイメージですかね。」
「え、じゃあ出会ったらどうすればいいの。」
「それはこうだ。」
駆人は都市伝説の男の方に向き直り。
「どちらもいらない。」
待ちくたびれた男は、その答えに落胆し、げっそりとした顔でその場を離れようとする……。
「天子様、今です。」
「おお、そうか。狐火ーム!」
去ろうとする男の背中に、天子の手のひらから放たれた光線が命中する。
光線に焼かれる男は、恨めしそうに三人を見つめながら、消えていった。
都市伝説を退治した三人は、今度こそ栞を家に送り届けるために、また住宅街を歩いていた。
「ところで、シオリよ。お主、都市伝説を倒すところに立ち会ってしまったのう。」
「あ、それってやっぱりまずいんですか。」
「うーむ。結局弱点をついたのはカルトで、とどめを刺したのはわしじゃから、そこまで気にすることはないと思うんじゃが。まあ、何か危険を感じたら、わしらのところにいつでも来て良いぞ。それに、人手が足りんくなったらお主に協力してもらうこともあるかもしれん。」
「いいんですか。」
「関わらん方がいいと言ったのは、あくまで無関係の時じゃったからな。関わってしまった以上、わしらの目が届いた方がよい。」
「ちょ、ちょっと天子様。綾香さんを危険なことに巻き込むわけには……。」
駆人が慌てた様子で口をはさむ。それを天子は駆人の肩を抱きよせながら笑い飛ばす。
「安心せい。この子は見た目よりずっとタフじゃよ。」
「私は大丈夫だから。七生クン。」
そう二人に言われては、駆人としては返す言葉がない。
「それに、私が危なくなったら守ってくれるでしょ?」
そう言って微笑む栞の顔を見て、駆人は少しドキッとする。
「青春じゃなあ。」
「て、天子様……。」
天子はもう一方の腕でまた栞の肩を抱きよせる。二人は顔を見合わせ、少し気まずそうに、笑いあった。
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