教室から始まるおもゆり話

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7-5.おしっこを止める蓋

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 こうなったら自分で取ってこの苦しみから解放されるしかない。鍵があろうが無かろうがなんとかして取るしかない。
 そう思って体を動かすと、抱きついていた瑞希の体に力が加わる。

「ほら、動かないでよ」

 そのまま瑞希の手は私の下腹部へと向かった。着ていた服を捲られて自分の素肌を見せつけられる。

「ここ、今までに無いくらい張っているね」
「触らないでっ」

 優しく触られる。そこはまだ成長していない子を授かった妊婦のように膨らんでいた。言わずもがな全て利尿剤で作られたおしっこである。

「暴れる桃香には罰がいるよね」

 下腹部を擦りながら瑞希が言う。



 え、やめて……


「ああああああああ!!!」

 もはや獰猛な獣のような叫び。自分でもこんな声が出せるのかと驚くような声。

 押された膀胱は周りにある臓器を押し付けて強引に動かし下腹部全体を痛めつける。
 おしっこの出口の一歩前まで来ていたおしっこは、膀胱が押されたことによって強引に出口に殺到するも、そこには蓋がされていて出口がない。それでも出口を探すおしっこは無理矢理尿道プラグを押し出していく。

 かえしで周りを傷つけながら。




「あっ………ごめん…」

 瑞希が青褪めた表情でこちらを見つめてくる。

 私達は虐めているのではない…これも遊びの範疇の筈。筈なのにそんな悲しい顔をされたらこっちまで悲しくなってくる。

「そんっ、なっっ、顔しないでよっ」
「で、でも」
「たっ、楽しっ、楽しもう! 最初にっ、言ったっっ、じゃんっ。漏らさせてよって」

「良いの?」

「いっ、いいよ」

 良くても、良くなくても、瑞希には悲しい顔をして欲しくはなかった。




「でっ、、これいつまでっ、」
「んーじゃあ遅めのお昼ご飯にしよっか」

 お昼ご飯!? こんなにお腹が膨れた状態で何か食べれるわけがない!

「私用意してくるから待っててね」


 瑞希の体が離れる。体の拘束が外れて自由になる。

「はあっ、はぁっ」

 深呼吸しながら楽な体勢を探した。結果的には普段我慢する姿勢とは真逆の、抱え込まずに腰を前に突き出して、ソファーを手で掴む体勢が楽だと気付く。
 あれ、この体勢って…

「なに、桃香出産するの?」

 確かにそんな体勢だ。お腹の痛みに耐えるために歯を食いしばってるし、ソファーを掴む手は相当な力がかかっているのか白くなっている。

「どっ、どうでも良いからっ、早くしてっ!」





 出産するようなポーズで痛みに耐えていると当然時計を見る余裕もなくて、時間は即座に過ぎ去っていく。コンロで火を起こす音がしていたキッチンもいつの間にか音がしなくなっていた。

「ひふっーひふっー」

 口から漏れているのはもはや声ではない。半開きになった唇が勝手に笛の役割を果たしているのだ。

「ほら、チャーハン」

 目の前には湯気立つチャーハンが置かれていた。一応配慮しているのか、かなり量が少ない。

「あれ、出てきたおしっこ、跡になっちゃったね」

 一回出してしまったおもらし跡はまだ掃除されていないので、私が着ているものとソファーにはおしっこの跡がまだ残っており、乾いて染みになり始めていた。
 見れば視界におもらしの跡の情報は入ってくる。入ってくるのだけども頭の処理はどんどん重たくなっていく膀胱と、強引に破られようとしている尿道プラグの方に大部分割かれていた。


「ほら、あーんして」

 口元にスプーンが押し付けられる。いつもなら甘い雰囲気になっている筈なのに今日は無味乾燥だ。

「溢しちゃうと無駄になっちゃうよ」

 私は拒否することなく口の中にスプーンを入れてチャーハンを咀嚼する。味は美味しい筈なのに何も感情が湧いてこない。

「うぐっ、うぐっ」

 食べながら何故か私は泣いていた。本当になんで泣いているのかわからない。分からないけどまた口元にチャーハンが押し付けられる。


 ここでお腹が膀胱で膨らんでいる弊害が出てくる。

「みっ、瑞希っ」
「なに?」
「大きい方したいっ」

「え、本当? 立てる?」
「む、無理ぃぃ」

 チャーハンを食べて胃が圧迫されたのか、便意が増して来た。しかも下腹部が膀胱で膨れて痛くて、尿道も痛いこの状態だと自力で立ち上がることすら厳しい。

「じゃあ一緒に行こうか」

 もはや介護される老人だった。立たされると同時に重たい膀胱が下に向かい、尿道を圧迫していく。
 あまりにも辛くてパンツの中に手をいれて直接尿道プラグらしきものを押さえる。おしっこでも愛液でもない物が指に付いた気がした。

 トイレに着くとおしっこで濡れている下の衣服とパンツを下ろされる。パンツのクロッチ部分にはおしっことはまた別の赤い液体が付着していた。

 私と瑞希は見て見ぬふりをして、便器に座る。

「あっあっあああ」

 私はそのまま勝手に出ていく大便を止められなかった。膨らんだ膀胱は勝手に腸を刺激して大便を出していく。

「桃香、まだ私居るよ?」
「あっ!、あっ!、あっ!、あっっ!」

 しかも普通にトイレする時、勝手におしっこも出ていくものだが、どれだけ踏ん張ってもおしっこだけがでてこない。
 物理的にでてこない物なのに、踏ん張ろうとする。また強引にかえしが引っかかり、痛みを倍増させた。

「終わったら拭くね」
「うっ、うっ」

 返事をしようとしているのに声がでてこない。また瑞希が優しくお尻を拭いてくれ、水を流してくれる。

「ほら立ってね」
「はっ、はっ、はっ、はっ、」


 今度は何も履かせてくれなかった。まあおしっこで濡れた物をまた履くのもなんだし、それはいいのだが、再び下に膀胱が向いて開放されない尿意が暴れる。

 リビングの端の方に私は立たされて放置された。瑞希の補助がなければお腹が痛くて一歩も動けないし、座ることもできない。
 いつもならこの尿意が解放されるゴールがあるはずなのに無い。それでも痛みが少しだけマシになるから私は尿道プラグを押さえていた。

「じゃ、私掃除するから待っててね」
「ど、どれくらっ、い」
「どれくらいだろ?」

 そう言いながら雑巾と消臭剤を手に取る瑞希。


……数十分

「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ」

……数十分

「あぅ、あぅ、あぅっっ」

……数十分

「…………」
「終わったよ……て、大丈夫?」

 大丈夫ではない。玉のような汗が体中から噴き出して、お腹は本当に妊婦のように膨らんで他の内臓を圧迫している。辛いからしていた息継ぎすら体力の無駄になるのでやめてしまった。
 もはや爆発しそうな水風船を押さえるためだけに今の私は存在していた。

「外してあげようか?」
「………あっ…… 」

 頷く。たったそれだけで膀胱に響いて頭に鈍い痛みが走る。もう……限界…………

 瑞希が鍵を取り出して私の手をどける。重たくなった水が全て尿道プラグに行き、尿道に負担をかけていく。

「あっ、む、無理っ」
「抑えてっ!」


そしてその時は来た。




ジョババババ


 とてつもない水音。同時にお腹の圧迫感が全てなくなっていく感覚と足元がおしっこの飛沫で濡れる感覚。
 立ちながらおしっこをしているなんてもはやどうでも良い。今はただこの開放感に身を任せていたい。



ダバババババ


 まだおしっこは止まらない。利尿剤も相まったおしっこは透明であるものの、少しだけ血が混ざっていた。


シュウウウぅ


 どれだけおしっこを出していたのだろうか。私の周りにはいつもとは比べ物にならないほど広い湖が広がっている。利尿剤の副作用か、まだ出そうなのに出ない。取り敢えずは全て開放されたとして良いのだろう。




「はあっ………」

 やっと、やっと………息をつけた。



━━◇



 ピリっ

「っ……!」

 学校のトイレで用を足していた時、おしっこの出口に痛みが走った。何も出来ずに耐えると、水流が収まるとともに痛みも収まっていく。

 生理周期でもないのにつけているナプキンには血がついている。私は気にしないようにして個室を出た。

 一緒に来ていた瑞希も見計らったかのように同時に個室を出る。

「桃香、ちょっとやりすぎたかな」
「うん……しばらくおやすみもらうね…」

 傷はまだ痛かった。
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