上 下
12 / 23
本編

7. ヒロインはおバカ?

しおりを挟む



 さて、所謂ヒロインと対峙している私ですけれども、大層醜い顔で睨まれておりますわ。

 表情も醜いですが、溢れ出る小言も醜いですわねぇ…


「聞いてるの!?私はトロワ王国の第六王女、貴女よりも遙かに高い身分なのよ!?」

「左様でございますか。お言葉ですがサラ・トロワ第六王女殿下、私は貴女のお父上であるトロワ国王から書状をいただきました。」

「…?」

「読み上げますわね。"此度は我が娘の留学を受け入れて頂いたこと、感謝する。留学にあたり、娘の待遇はレイチェル・ルーボレラ公爵令嬢に一任致す。
 身分を嵩にたて、威張りちらす我が妾の子をどうか叩きのめしてやってほしい。言葉は悪いが、あれはクズだ。この手紙を読み上げることもルーボレラ嬢に任せよう。"
 とのことですわ。と言うわけで、私は貴女に何をしようが、トロワ国王は不問に処すそうですわ。」

「な、何よそれ!!横暴だわ!!そんな手紙偽物よ!!!」

「いいえ、この通りサインまで頂いておりますわ。」

「…も、もういいわ!!私気分が悪いので寮に戻ります!!シャシャ!!」


 あら、早速校則違反ですわ。王女付きのメイドはもちろん私が派遣いたしました。

 私がいない間に上手いこと王女の信用を得たようですわね。

 まあ、それももう終わりになると思いますけれど。

 シャシャに目配せすると、王女が校則を違反しようとされた時に突きつけるリストを取り出しました。

 あれを書いたのはグストです。彼の字はとても読みやすいのですよ。

 さて、王女の顔が真っ赤になっておりますが、引きずってでも教室に向かいましょう。

 だって、無駄に長話をさせられたせいで、殿下の御言葉を聞く暇がございませんでしたし。

 私、王女を好きになることはなさそうですわ。


しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢は婚約破棄したいのに王子から溺愛されています。

白雪みなと
恋愛
この世界は乙女ゲームであると気づいた悪役令嬢ポジションのクリスタル・フェアリィ。 筋書き通りにやらないとどうなるか分かったもんじゃない。それに、貴族社会で生きていける気もしない。 ということで、悪役令嬢として候補に嫌われ、国外追放されるよう頑張るのだったが……。 王子さま、なぜ私を溺愛してらっしゃるのですか?

【完結】悪役令嬢のトゥルーロマンスは断罪から☆

白雨 音
恋愛
『生まれ変る順番を待つか、断罪直前の悪役令嬢の人生を代わって生きるか』 女神に選択を迫られた時、迷わずに悪役令嬢の人生を選んだ。 それは、その世界が、前世のお気に入り乙女ゲームの世界観にあり、 愛すべき推し…ヒロインの義兄、イレールが居たからだ! 彼に会いたい一心で、途中転生させて貰った人生、あなたへの愛に生きます! 異世界に途中転生した悪役令嬢ヴィオレットがハッピーエンドを目指します☆  《完結しました》

平和的に婚約破棄したい悪役令嬢 vs 絶対に婚約破棄したくない攻略対象王子

深見アキ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢・シェリルに転生した主人公は平和的に婚約破棄しようと目論むものの、何故かお相手の王子はすんなり婚約破棄してくれそうになくて……? タイトルそのままのお話。 (4/1おまけSS追加しました) ※小説家になろうにも掲載してます。 ※表紙素材お借りしてます。

悪役令嬢ってこれでよかったかしら?

砂山一座
恋愛
第二王子の婚約者、テレジアは、悪役令嬢役を任されたようだ。 場に合わせるのが得意な令嬢は、婚約者の王子に、場の流れに、ヒロインの要求に、流されまくっていく。 全11部 完結しました。 サクッと読める悪役令嬢(役)。

婚約破棄された悪役令嬢は王子様に溺愛される

白雪みなと
恋愛
「彼女ができたから婚約破棄させてくれ」正式な結婚まであと二年というある日、婚約破棄から告げられたのは婚約破棄だった。だけど、なぜか数時間後に王子から溺愛されて!?

この異世界転生の結末は

冬野月子
恋愛
五歳の時に乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生したと気付いたアンジェリーヌ。 一体、自分に待ち受けているのはどんな結末なのだろう? ※「小説家になろう」にも投稿しています。

悪役令嬢に転生したようですが、前世の記憶が戻り意識がはっきりしたのでセオリー通りに行こうと思います

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢に転生したのでとりあえずセオリー通り悪役ルートは回避する方向で。あとはなるようになれ、なお話。 ご都合主義の書きたいところだけ書き殴ったやつ。 小説家になろう様にも投稿しています。

完 さぁ、悪役令嬢のお役目の時間よ。

水鳥楓椛
恋愛
 わたくし、エリザベート・ラ・ツェリーナは今日愛しの婚約者である王太子レオンハルト・フォン・アイゼンハーツに婚約破棄をされる。  なんでそんなことが分かるかって?  それはわたくしに前世の記憶があるから。  婚約破棄されるって分かっているならば逃げればいいって思うでしょう?  でも、わたくしは愛しの婚約者さまの役に立ちたい。  だから、どんなに惨めなめに遭うとしても、わたくしは彼の前に立つ。  さぁ、悪役令嬢のお役目の時間よ。

処理中です...