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本編
3. 皇太子殿下
しおりを挟むやっとの思いで朝食を食べた後、殿下とのお茶会に向かう前に散歩をしますの。
お茶会はお昼を過ぎたあたりに指定されていたし、朝食を食べてすぐですから、お菓子だって入りませんわ。
庭園を少し散歩した後、語学の家庭教師が参りましたので、小一時間レッスンを受け、その後はピアノの自主練ですわ。
前世ではこんなに習い事をしておりませんでしたので、中々大変です。
「レイチェル、殿下が来られているよ?もうお茶会なのかい?」
「…へっ?いいえ、まだ時間ではないはずですわ。どうされたのかしら…?フィン兄様、お知らせいただきありがとうございます!」
一体どうされたのでしょう…?習い事は全て終わったので良いのですが、皇太子殿下がホイホイと宮殿から出るのは如何なものでしょう…?
これはまた、私と皇妃殿下のお小言が増えますわよ、皇太子殿下?
「…!レイチェル!すまない、3日と11時間47分59秒ぶりに会えると思うと居ても立っても居られなくて、1時間29分10秒も早く、私から会いに来てしまった!」
「そうですわね、シューベック皇太子殿下… 私、以前申し上げませんでした…?
宮殿を、そう易々と、抜け出さないで頂きたい、と。お忘れですか?」
「い、いや、そんなことはないさ!ただ婚約者であるレイチェルに会いたくて!」
「そのようなこと、以前も、仰ってましたわ…。あら、私の記憶違いかしら、今後、宮殿で、しっかり、執務に取り組む、とお伺いしたはずですわ。
シューベック皇太子殿下?」
「うぅ… 執務は全て終わらせたんだ!良いではないか!」
「あら、それは素晴らしいですわ。しかしながら殿下。普段殿下が嫌がる執務の量は、殿下が溜めに溜めたものですわ。
殿下が溜めずに日々コツコツとやり続ければ、執務の量は然程多くならないはずですの。
殿下、後程皇妃殿下も交えてお話、致しましょう?」
「…………はい。」
物分かりが良い推しキャラは好きですわ!
今日のお茶会は殿下にお小言を言う会に変更しましたわ!
皆さま、お付き合いくださいませね。
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