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急に始まる学園編 ~完結まで猛ダッシュ☆~

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  「こんの…駄犬が…!」




 静かな中庭のベンチ、静かな怒号が飛びました。

 ええ、私です。もちろん、矛先は駄犬です。

 あんな公衆の面前で牢獄だのと抜かしてしまえば、冷徹だの残酷だのと悪いイメージに繋がるのが分からないのかな!?

 加えて婚約者である私に対しての贔屓と心配が凄まじい。

 ということはいずれ「婚約者にうつつを抜かし、民を疎かにする愚かな王子である」なんて噂が流れても否定のしようが無くなるってことなんだから!!


「もっと自重とか、遠慮とか、配慮とか!!あったでしょう!?」

「だって、姫ちゃんのせいじゃないのに、濡れ衣なんてゆるせねーし。」

「言葉遣い!!誰が聞いてるか分かんないんだから!そもそも私ファーストみたいな言動やめたらどうなの!?」

「それは無理だよ。俺は姫ちゃんだーいすきだから、姫ちゃんが悪く言われるとムカついて仕方ない。そいつのこと殺したくなっちゃう。」

「悪く言われなくても怒るくせに。」

「それは相手が俺から姫ちゃんを取ろうとするから。俺の姫ちゃん。俺だけ見てて?大好き。ずっと。この世界に産まれる前からずーっと、好きなんだよ?」

「それ何度も聞いてる。私の何がいいのよ…」

「全部だよ?髪も声も瞳も鼻も口も腕も脚も腰も全部全部だーいすき。たとえ一生姫ちゃんが俺の事好きにならなくてもいいんだ。子供も絶対欲しいとは思わない。子孫を残すのが義務だって言うなら、俺は…」

「ストップ!それ以上は言っちゃダメ。観念して言うけど、一生好きにならなくても?もう遅い。好きになったから。そもそもあんたに怒ってたのは八つ当たりみたいなもんだし、あんたを恨んでるわけじゃないのよ。子供はまあ、追々で…」


 そこまで言うと急に持ち上げられ、身長の伸びた駄犬の顔がすぐ下に見える。

 座っていた状態から立ち上がっただけではあるが、高低差が…

 私高所恐怖症なのに…


「降ろしてよっ!高所恐怖症なのっ!教えたでしょっ!?ルー!降ろしてっ!」

「好き、好きだよノア!愛してる!絶対結婚しよう?浮気もしないし側室も作らない。ノアだけだよ。だからノアも私だけにしようね?君に這い寄る虫は私が全て消してあげる。だから心配しないで?
 ああ、高いところに抱き上げたままでごめんね?さあ、私の胸においで。」


 くればらの王太子ってこんな人だったっけ?


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