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5. 既に両手に花ですがなにか
しおりを挟むお鍋を待っている間にまた隣の部屋の扉が開いた。
風間さん帰ってたんだ。まあ、そりゃ俺たちがご飯食べてる間ずっと外ってことは無いよな。
でもなんかさっきより不機嫌じゃないか…?えー、なんで?
「そんなところにしゃがんで、寒くないのか?」
「んー、ちょっと寒いですけど、良美さんすぐ戻ってくると思うんで。」
「む、犬飼さんだけずるい。俺も名前で呼んで欲しい。」
「幸人さん?はなんか言いづらいから、ゆきさんでどうですか?」
「ふふ、嬉しいよ。真空くんはさ、どんな人が好みなの?」
急に好みの話!?どうしたんだろ?
でも俺の好みってあげたらキリがないしなぁ…
え、ちょちょ、何?急に擦り寄ってくるのは反則では!?猫か!あなたは猫か!顎こちょこちょしちゃうぞ!
「あふ、ん、こら。大人をからかわないの。ぁ、質問に、答えて?」
「俺の好みはあげたらキリがないんですよ。好きな人もいっぱいいるし。」
「へぇ、それは皆女の人?」
「はは、俺ゲイなんで。今みたいな可愛い声出してると、襲っちゃいますよ。」
「俺は君の好み?」
「はい、バッチリ。顎くすぐるの、気持ちいいですか?」
ああ、とても心地よくて気持ちいいよ、だって。そんな可愛いこと言ってるとキスマークつけちゃうぞ~。
って顔近づけたら、良美さん戻ってきてた。
「こ、こらぁ!風間さんも真空くんも何してるのっ!」
「あ、戻ってきた。ゆきさん、またね。次のお休み楽しみにしてる。」
「あと少しだったのに。犬飼さんってば…。またね、真空くん。」
少し、いやかなり残念そうなゆきさんは去り際に俺の頬にキスを落として、自分の部屋に戻って行った。
うわ、大人の余裕ってやつだ。今度の休みはグズグズにしてやるから覚悟しといてね、ゆきさん。
「さてと、良美さんおかえりなさい。中入りましょうか。」
「…ん。」
「あぁ~、やだった?」
「…ん。」
「じゃあお詫びさせてください。ね?」
「…、ん。」
拗ね方まで可愛いんですけどこの未亡人!いやまあ未亡人は俺がつけたあだ名だけど。
良美さん未婚の独身って言ってたからね。
中に入って靴を脱ごうとする良美さんから鍋を取り上げて、二口あるコンロの片方に置いとく。
素早く良美さんの方にかけ寄って、手を引いてご飯の時と同じ位置へ。
俯く良美さんの顔を下から覗き見ると、ちょっと目がうるうるしてる。
「わわ、ごめんね?良美さん、そんなに嫌だった?」
「ち、違うの。真空くんが他の人とも仲良くするのは別に嫌とかじゃないの…。でも、今朝は僕が独り占めできると思ってたから…、ちょっとやだった…。」
「そうだったんだ。それは俺が悪いね。今日は土曜日だし、もうこっから出る用事もないんだけど、もう少し俺と一緒にいてくれる?」
「今日はずっとここにいるの?」
いや、本当は買い物とか行こうと思ってたけど、良美さんのうるうる攻撃受けたら良美さん以外の用事無くなるでしょうよ。
うるうるな良美さんの手を握って、ずっと居ますよって言ったら、ふにゃふにゃ笑顔頂きました。
「じゃあ、今日は僕もずっとここにいるね。お泊まりしてもいい?」
「ふぁっ!?おと、おと、お泊まり!?俺の理性の脆さナメてます!?」
「ふふ、僕も夜這いしちゃうかもしれないし、お互い様だよ。」
お互い様だよ、じゃねえ!いいのか!?これはもうOKなのか!?
お泊まりってことは、あれか?湯上りの良美さん?パジャマの良美さん?寝起きの良美さん!?
最高かよ!!!!!!
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