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初恋 × 初恋【オメガバース】
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しおりを挟むあれから1ヶ月、泰治からの連絡を無視し続けた。
その間に気づいたのは、俺の気持ちと傷付いた理由。
でもそれも今となっては関係ないと、俺は今日も仕事に励む。
俺はΩの中でも珍しい編集社に務めている。この業界は激務なので、3ヶ月に一度発情期の訪れるΩにとって、やりづらい職だ。
しかし、俺は抑制剤がよく効く体質だし、発情自体の症状も軽いため、これまで発情期に休みを取ったのは入社して初めての時に、2日だけ。
泰治と出会ってからは少しきついけど、今となっては泰治以外にはわからないフェロモンだからなんら問題ない。
すごく短い間だった。それでも好きだった。好きになってしまった。
つっけんどんな俺に対して優しく微笑みかけてくれるし、嘘でも遊びなんかじゃないって、言ってくれたし。
あー、やべ。そろそろ発情期入っちまうし、全然泰治のこと忘れられてねえや。
気分転換に昼飯食いに行こ。
会社近くの定食屋にいこうとビルを出た時、誰かに後ろから抱きしめられる感覚がした。
「…やっと、みつけた…!」
「…っ!?たい、し…?」
αのくせに肩で息をして、なんだか焦った声音の泰治が、俺を抱きしめている。
俺、泰治に職場を教えたことなかったはずなのに…
「何で、何で連絡返してくれないの?俺、何かした?」
「…してないって思うんならそーなんじゃねえの?つか離せよ。おれ今から飯。食わねえと午後の業務死ぬから、じゃあな。」
「ちょ、待って!俺も行くから!」
泰治、泰治、好き。すげえ好き。
あ、やべえ、これ無理だ。
発情期ってこんな辛いもんだっけ?薬、打たなきゃ。
何で今来るんだよ、泰治…
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