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初恋 × 初恋【オメガバース】

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 ーーーいい、夏希?Ωはαのオモチャになってはいけないの。この首輪をつけて、自己防衛するのよ。

 ーーーじこぼうえい?ママは、付けてないよ?

 ーーーママには、パパがいるもの。Ωはαのオモチャじゃなくて、αに愛されるべき存在なのよ。貴方も、世界で一番愛してくれるαを見つけなさい。

 ーーー分かった!



 ブワッ…!!


 甘イ、ニオイ、ナンダ、スゲェ、興奮スル…


「やっと見つけた。俺の、ーーー」



 気づいたら、噛まれていた。たまたま、首輪のサイズがきつくなって、新しいものを試着しようと、店の中で外してた。

 そしたら、突然、甘い匂いがして、スゲェ興奮して、そこからは覚えてなくて…

 気づいたらふかふかなベッドの上で寝ていた。

 隣には知らねぇ男。ニオイからしてαだと思う。

 洗面所に行ってスマホのインカメと鏡で頸を確認すれば、くっきりと歯型がついていた。


 ああ、俺詰んだ。


 ドタっ!バタバタ!ガチャ!

「…っ!居たっ!!」


 男は俺を見るなり抱きついてきた。


「はなせっ!いいか?!これは事故だ!運命だかなんだか知らねぇが、俺はαのオモチャじゃねぇ!勘違いすんなよ!?」

「オモチャ?そんなこと思ってない!やっと見つけたんだ、俺の運命!昨日は名前も聞けなかった、半ばなし崩しだったし、順番が色々違うけど、どうか俺に君のことを教えてくれないか?
 そしてあわよくば、君のそばで君を愛することを許してほしい…」

「…っ!?/// てめ、羞恥心ってもんはねぇのか?!と、とりあえず、今日は帰るから、連絡先!よこせ!」

「わ、分かった!戻ろっか!」


 一つ、心に暖かい気持ちが生まれた。


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