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後輩 × 先輩

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 先輩の家は結構広くて、オシャレだった。インテリアから小物まで気を使っているようで、先輩らしさが滲み出ていると言っても嘘にならないだろう。

 そう言えば先輩はいい所の坊ちゃんだったなと思い出す。
 なぜ、あんな公立高校で野球なんかしていたんだろう。

 先輩は頭も良くて、進学先だって何件ものスカウトが来ていたらしいし、推薦だって軽くGETできる人だ。


「先輩って、何になるんですか?」

「俺?俺はー、経営者、かな。」

「へー、何やるんすか?」

「カフェやりてぇんだ。じいちゃんが小っせぇ喫茶店やっててさ、そこ継ごうと思ってる。経営学学んで、潰さないようにしねぇとって考えてるよ。」

「あんたがカフェって、なんか意外っすね。もっと脳筋かと思ってました。」

「お前それすげー失礼。」


 事実っす。とぶっきらぼうに答える俺に、子供みたいな笑顔で悪態をつく先輩。

 俺は、この笑顔を甲子園で見たかった。

 俺がもっと打てていれば、俺があのフライを取れていれば、俺がもっと走れていれば…

 俺が、俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が……!!


「俺があなたを、甲子園に連れていきたかった…!!!」

「爽真…」

「何で、何でアンタはそんな平気そうに笑うんすか!何夢語ってんすか!俺、俺だって夢語りたかったっすよ!アンタを甲子園に、連れて行くのが俺の夢だったのに…!!俺が、もっと、、、!!!」

「爽真、ごめんな。俺も行きたかったよ、甲子園。
 でもさ、終わったもんはしょうがねえだろ?だから、俺はこれからを見ようと思ってるんだ。」

「これ、から…?」

「そう、これから。俺はこれから、お前を手に入れるために頑張ろうと思うよ。」

「………は?」



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