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助けて
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「それで、パパは学校をサボって何してたんですか?」
「……何でまたお前がいんだよ」
高橋順平の件が済んで、ずっと街をぶらぶらとしていると、いつの間にか隣に一彼方がいた。
スマートフォンを開いて時間帯を確認すると、五時を回っており、学校も終了している時間帯のため一彼方がいるのは何ら不思議ないのだが、なぜ俺の近くにいるのかそれが不明だった。
「パパいるところに私あり、私いるところにパパがありですよ」
「さっきまでお前いなかっただろうが。さりげなく嘘吐くんじゃねえよ」
「ずっと、見ていましたよ」
「じゃあ俺何してたと思う?」
「…………ゲーセンでカツアゲ?」
「お前の中で俺どんだけ評価が低いんだよ……。そんなことしねえよ」
似たようなことはしたがまぁ言わない方がいいだろう。
「思ったんですが……」
一彼方は俺の顔をじろじろと見ながら、言う。
「パパって不良なんですか?」
「世間一般的に見れば確かに不良と称される存在じゃねえの? 自覚はねえけどな」
「ふーむ、ママからは学年トップの秀才と聞かされていましたが……嘘だったんでしょうかね」
「あ? 何ぶつぶつ言ってんだ」
「いえいえ、何でもないですよ」
経験談だが、何でもないという奴に限って必ず何かある。だが赤の他人のこいつを追及する意味もない。
「で、お前どこまでついてくる気だ」
「もちろん、パパの家まで」
「は?」
「は? じゃありません、は? じゃ。私は家がありません。絶賛ホームレス状態です。ならば、パパの元に行くのが道理でしょう」
「知らねえよ。つーかそろそろふざけるのも大概にしろ。俺はお前なんて知らない。知ろうとも思わない。話しかけるな、近づくな。二度と俺のことを認識するな。視界に入っても俺のことはいつだって無視をしろ。いないと考えろ。これは懇願じゃない、命令だ。わかったなら、振り返ってどこにでも行け」
言葉をまくし立てた。しかしそれでも一彼方は振り向かなかった。
それが苛立ちを増幅させた。
「ふざけるな!」
道行く人たちが急に怒声を放った俺に視線を注いだ。だが、俺の怒りはそんなことを気にしないほど高まっていた。
「何がパパだ! わけがわからねえ! 何でお前はこんなどうしようもない不良についてくるんだ! お前みたいな普通の女子高校生は普通な高校で普通な高校生活を送ってればいいんだよ! 勝手に俺の領域に踏み込むな! 俺に、お前という存在を覚えさせるな!」
覚えてしまったら、間違いなく愛着が湧いてしまうだろうから、俺は遠ざけたかった。
でも。
それでも一彼方は振り返らなかった。
ただただ、寂然とした微笑みを浮かべるだけだった。
「……ッッ!?」
負けたのは、俺だった。唇を噛み締めて、俺はその場から立ち去った。いや、正しく言えば違う。俺は立ち去ったのではなく、逃げた。一彼方という少女から逃げたのだ。
数分、数十分と走り続けた。
やがて立ち止まり振り返れば、そこに一彼方の姿はもちろんなく、見覚えのない薄暗い通りが視認出来た。
立ち止まっても仕方がなかったため、俺は歩いた。歩きながら考えた。
あの少女、一彼方を。
あれは一体何なのか、己に問いかけるがもちろん答えは返ってこない。
だが、最後に見せたあの微笑み。あのイメージが脳裏から離れられずにいた。
俺は人を愛することが出来ない。
愛してはいけない。
だって、あいつはもう幸せも、愛も、何も感じられない。
だというのに、俺だけ幸せを求めるだなんて、そんなの傲慢だ。おこがましいにもほどがある。
だからこそ、俺は愛さない。
愛したくないからこそ、一彼方から逃げたのだ。
芽吹くより前に、早く遠ざかった。ただ、それだけのことなのだ。
「……けて」
瞬間、どこからかか細い声が聞こえた。
思案をやめて顔を上げ、声がした方向に目を向けた。
三人の男が壁を囲んでいた。いや、壁じゃない。男たちが囲んでいたのは女の子だった。確かにこの通りは薄暗く人通りも全然ないからそういったことをするのは絶好のポイントだろう。
いつものパターンなら、俺は無視をして帰宅していただろう。俺は人を助けることが出来ない、だから助けて意味などない。
でも、女の子の口から一言言葉が漏れた。
先ほど聞き逃してしまった一言。
「助けて……!」
と、女の子は言った。
「……助、けて」
俺は無意識に復唱していた。
助けて、それは遠い昔聞いた言葉。俺が理想を掴むために利用していた都合のいい言葉だ。
こんな言葉如きで助けに向かう奴は相当な馬鹿だ。自分に酔ってしまっているとんでもない馬鹿野郎だ。
だから、多分。
……俺は大馬鹿野郎なのだろう。
ゴガンッ!
一番近くにいた男の後頭部を掴んで壁に思い切り叩きつけた。鈍い音が生じると同時に男の口から苦悶が漏れた。
「ぐおっ!?」
崩れ落ちる男。残りの二人は突然の乱入者に戸惑っているのか、口元を引き攣らせて後退っていた。
迷わず俺は追撃を仕掛けた。おそらくこの男たちは喧嘩慣れはしていないのだろう。
一人は鳩尾への膝蹴りで、もう一人はアッパーカットで地に沈んだ。
同時に少女はへなへなと座り込んだ。助け出された安堵からか、もしくは不良である俺に出会ってしまったことからの絶望からか、俺は判別出来なかった。
「…………」
一度、俺は女の子を一瞥した。なるほど、確かに男たちが囲もうとするのも頷けるほどの可愛らしい女の子だ。
腰まであるその長い髪は、まさしく永久の木の紅葉そっくりの色で、幻想的な印象を抱いた。
顔は童顔で、くりくりとした藍色の瞳が愛らしさを誘う。座り込みながらこちらを見てくるその姿はまさに餌を求める子リスのようで、俺でも可愛らしいと思わずにはいられなかった。
だから、俺は一言付け加えた。
「襲われたくなかったら、ここにはこないことだな」
踵を返すため、俺は体を反転させた。
その時だった。
ポケットに仕舞い込んでいたタッチパネル式の携帯電話が震えた。
帰路を歩きながら俺は携帯を何気なく取り出して何の通知がきたのか確認する。
きていたのは、一件のメールだった。
差出人不明、題名不明のいかにも怪しいメールだった。
どこかの迷惑メールなのかと思ったが、一応俺は中身を確認することにした。そして、そのメールに記載されていたのは一つの文だった。
「……何でまたお前がいんだよ」
高橋順平の件が済んで、ずっと街をぶらぶらとしていると、いつの間にか隣に一彼方がいた。
スマートフォンを開いて時間帯を確認すると、五時を回っており、学校も終了している時間帯のため一彼方がいるのは何ら不思議ないのだが、なぜ俺の近くにいるのかそれが不明だった。
「パパいるところに私あり、私いるところにパパがありですよ」
「さっきまでお前いなかっただろうが。さりげなく嘘吐くんじゃねえよ」
「ずっと、見ていましたよ」
「じゃあ俺何してたと思う?」
「…………ゲーセンでカツアゲ?」
「お前の中で俺どんだけ評価が低いんだよ……。そんなことしねえよ」
似たようなことはしたがまぁ言わない方がいいだろう。
「思ったんですが……」
一彼方は俺の顔をじろじろと見ながら、言う。
「パパって不良なんですか?」
「世間一般的に見れば確かに不良と称される存在じゃねえの? 自覚はねえけどな」
「ふーむ、ママからは学年トップの秀才と聞かされていましたが……嘘だったんでしょうかね」
「あ? 何ぶつぶつ言ってんだ」
「いえいえ、何でもないですよ」
経験談だが、何でもないという奴に限って必ず何かある。だが赤の他人のこいつを追及する意味もない。
「で、お前どこまでついてくる気だ」
「もちろん、パパの家まで」
「は?」
「は? じゃありません、は? じゃ。私は家がありません。絶賛ホームレス状態です。ならば、パパの元に行くのが道理でしょう」
「知らねえよ。つーかそろそろふざけるのも大概にしろ。俺はお前なんて知らない。知ろうとも思わない。話しかけるな、近づくな。二度と俺のことを認識するな。視界に入っても俺のことはいつだって無視をしろ。いないと考えろ。これは懇願じゃない、命令だ。わかったなら、振り返ってどこにでも行け」
言葉をまくし立てた。しかしそれでも一彼方は振り向かなかった。
それが苛立ちを増幅させた。
「ふざけるな!」
道行く人たちが急に怒声を放った俺に視線を注いだ。だが、俺の怒りはそんなことを気にしないほど高まっていた。
「何がパパだ! わけがわからねえ! 何でお前はこんなどうしようもない不良についてくるんだ! お前みたいな普通の女子高校生は普通な高校で普通な高校生活を送ってればいいんだよ! 勝手に俺の領域に踏み込むな! 俺に、お前という存在を覚えさせるな!」
覚えてしまったら、間違いなく愛着が湧いてしまうだろうから、俺は遠ざけたかった。
でも。
それでも一彼方は振り返らなかった。
ただただ、寂然とした微笑みを浮かべるだけだった。
「……ッッ!?」
負けたのは、俺だった。唇を噛み締めて、俺はその場から立ち去った。いや、正しく言えば違う。俺は立ち去ったのではなく、逃げた。一彼方という少女から逃げたのだ。
数分、数十分と走り続けた。
やがて立ち止まり振り返れば、そこに一彼方の姿はもちろんなく、見覚えのない薄暗い通りが視認出来た。
立ち止まっても仕方がなかったため、俺は歩いた。歩きながら考えた。
あの少女、一彼方を。
あれは一体何なのか、己に問いかけるがもちろん答えは返ってこない。
だが、最後に見せたあの微笑み。あのイメージが脳裏から離れられずにいた。
俺は人を愛することが出来ない。
愛してはいけない。
だって、あいつはもう幸せも、愛も、何も感じられない。
だというのに、俺だけ幸せを求めるだなんて、そんなの傲慢だ。おこがましいにもほどがある。
だからこそ、俺は愛さない。
愛したくないからこそ、一彼方から逃げたのだ。
芽吹くより前に、早く遠ざかった。ただ、それだけのことなのだ。
「……けて」
瞬間、どこからかか細い声が聞こえた。
思案をやめて顔を上げ、声がした方向に目を向けた。
三人の男が壁を囲んでいた。いや、壁じゃない。男たちが囲んでいたのは女の子だった。確かにこの通りは薄暗く人通りも全然ないからそういったことをするのは絶好のポイントだろう。
いつものパターンなら、俺は無視をして帰宅していただろう。俺は人を助けることが出来ない、だから助けて意味などない。
でも、女の子の口から一言言葉が漏れた。
先ほど聞き逃してしまった一言。
「助けて……!」
と、女の子は言った。
「……助、けて」
俺は無意識に復唱していた。
助けて、それは遠い昔聞いた言葉。俺が理想を掴むために利用していた都合のいい言葉だ。
こんな言葉如きで助けに向かう奴は相当な馬鹿だ。自分に酔ってしまっているとんでもない馬鹿野郎だ。
だから、多分。
……俺は大馬鹿野郎なのだろう。
ゴガンッ!
一番近くにいた男の後頭部を掴んで壁に思い切り叩きつけた。鈍い音が生じると同時に男の口から苦悶が漏れた。
「ぐおっ!?」
崩れ落ちる男。残りの二人は突然の乱入者に戸惑っているのか、口元を引き攣らせて後退っていた。
迷わず俺は追撃を仕掛けた。おそらくこの男たちは喧嘩慣れはしていないのだろう。
一人は鳩尾への膝蹴りで、もう一人はアッパーカットで地に沈んだ。
同時に少女はへなへなと座り込んだ。助け出された安堵からか、もしくは不良である俺に出会ってしまったことからの絶望からか、俺は判別出来なかった。
「…………」
一度、俺は女の子を一瞥した。なるほど、確かに男たちが囲もうとするのも頷けるほどの可愛らしい女の子だ。
腰まであるその長い髪は、まさしく永久の木の紅葉そっくりの色で、幻想的な印象を抱いた。
顔は童顔で、くりくりとした藍色の瞳が愛らしさを誘う。座り込みながらこちらを見てくるその姿はまさに餌を求める子リスのようで、俺でも可愛らしいと思わずにはいられなかった。
だから、俺は一言付け加えた。
「襲われたくなかったら、ここにはこないことだな」
踵を返すため、俺は体を反転させた。
その時だった。
ポケットに仕舞い込んでいたタッチパネル式の携帯電話が震えた。
帰路を歩きながら俺は携帯を何気なく取り出して何の通知がきたのか確認する。
きていたのは、一件のメールだった。
差出人不明、題名不明のいかにも怪しいメールだった。
どこかの迷惑メールなのかと思ったが、一応俺は中身を確認することにした。そして、そのメールに記載されていたのは一つの文だった。
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