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第八話

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「よし、これでいいか」
俺は今、学園生活に必要なものを揃えている。
文房具はこの世界にもあるが、どれも魔法の付与された魔法具だ。字が書けるようになるとか、消せるようになるとか。ちなみにこの世界はのお金はこの通り。

鉄貨=10円
銅貨=100円
銀貨=1000円
金貨10000円
白金貨=100000円
黒金貨=1000000円
虹金貨=10000000円
となっている。なかなか分かりやすくていいな。

俺は両親に金貨5枚と銀貨10枚を渡されている。そのお金で文房具を買い揃えた。これで準備万端だ。後は受験票を取りに行ったら今日の目的は終わる。後は自由に散策してもいいということになっている。

「後は受験票か。学園に行かなければダメだな」
学園は今いる場所から3分、家からは10分、時空間魔法を使えば1秒で着く。行ったことがないから歩いていかないとな。

少し歩いたところで二人のおっさんにあってしまった。
「おい、金持ってるんだろう?今金を出せば痛い目にあわなくてすむぞ!!」
斧を持った豚のような顔をした大柄のおっさんが睨み付けてくる。なんとも情けないやつらだ。こんな俺みたいな子供を狙うなんて。ただの子供じゃないけど。

「残念だけど、お前らにやる金は持ってないよ」
その一言で完全にキレてしまったようだ。こっちの世界に来たときから決めているんだ。うざいやつにはとことん挑発してやろうと。ラノベを読んでいるときにちょっとやってみたかったからすごい嬉しい。
「な、なんだとごら!!どうやら痛い目見ないとわかんないようだな!!泣いて謝っても許さねぇからな!」
あーあ、救い用のないやつらだ。それをわかって挑発したんだけど。正当防衛があるかどうかは知らないが、襲われるんだしボコれるよね。

「やばいなあいつ」
「本当に災難なやつだよ」
周りの人達は見るだけで助けようとはしない。子供が襲われていたら救ってあげるべきだと思うけどな。それに名前も知られてないようなやつだな、このおっさんどもは。なんランクの冒険者だ、みたいなのがあったら分かるのに

「死ねぇ!!」
おっさんの一人が斧を振り回して襲いかかってくる。こいつはめんどくさいからおっさんAにするか。
「オラァ!」
遅いし、粗末な動きだな。俺はおっさんAの攻撃を避けて、腹パンする。
「グハァ!おえっ!」
うわ、きったねぇ!しかし、気絶したようだ。

「くそっ!!よくもをフレデリックこんな目に遭わしてくれたな!」
いや、そっちから絡んできたでしょ。ていうか、名前がフレデリックって。無駄にかっこいいしこんなやつに着ける名前じゃないだろ。

「だが、残念だったな!我の契約したモンスターよ、今ここに召喚されよ!」
グハァ!厨二病かよ!思わぬとこで精神的なダメージが。黒歴史が甦りそうだ。

「そんなことさせねぇよ!!」
召喚されたら面倒だし、厨二病発言を聞くなんてもってのほか。腹パンで一瞬で終わりだぜ。

「す、すごい」
「速すぎて見えなかったぞ」
「見た目は弱そうなのに」
称賛してくれる人と、そうでない人がいるな。てゆうか容姿のことはちょっとやめてほしい。

俺の容姿は肩の高さで切り揃えた母親譲りの赤い髪。
女の子にも見える整った顔。まるで美少年と言っても過言ではないのだが、弱そうに見えてしまう。それに体は女の子のように細い。これじゃあなめられちゃうよな。

まぁいいや、とりあえず学園に向かおう。

「やっぱりでかいな」
遠くから見てもでかいのに、近くで見たら余計に大きく見えてしまう。確か受付の列は校舎の入り口だったよな。そこにいかなくちゃな。

受験票を取りに来る受験生は、今日が締切なのに大勢並んでいる。貴族の坊っちゃんもいれば平民の人もいる。この学園は実力制のため、貴族の権力など何にもならない。もちろん王族が入学しても同じだ。むやみに権力を振りかざすことはできない。

「こちらに名前と性別を記入してください」
特に誰にも巻き込まれることもなく順番がきた。名前はアルト・エルドラント、性別は男っと。
「ではこちらの水晶に触れてください」
どうやらこの水晶は年齢を偽装されないようにするらしい。同じクラスに40のおっさんなんて嫌だからな。
俺が手を触れると水晶は白く輝く。どうやら問題ないようだ。

「どうぞ、こちらが受験票になります。この受験票には登録番号、受験の際の座席等が記入されています。では、受験頑張ってください」
受付の女性は何人もの生徒に話したように、てきぱきと説明してくれた。

よし、後は自由だな。武器屋に行こう!武器屋=剣=かっこいい、だからな。

「どの店にしようかな?」
俺は武器屋が多い商店街、武器屋街に来ている。
豪華な店もあれば質素な店もあり、掘り出し物がありそうな店もある。どの店に行っても異世界の剣が売っているのは間違いないが、かっこいい剣がいい。そう、かっこいい剣がいい!かっこ悪い剣なんて剣じゃないと思う!

高そうな店は装飾品ばっかりついた剣かもしれなし、第一金がないから却下だな。質素な店は安いかもしれないが売ってる剣がかっこ悪いかもしれない。見た目で判断するのは悪いけど。

だけどどの店にするか悩むなぁ。とりあえず適当に、本能の赴くままに店に入ろう。

そう思い俺が入った店は質素でもないし、豪華でもない。だけど何やら鉄を打つ音が聞こえる。おそらく、鍛冶だろうな。それに一人だけじゃない。複数の人が鍜治をしているのが聞こえる。

「いらっしゃいませ!」
俺を出迎えてくれたのは筋骨隆々のおっさんだ。茶色の髪を野球部のように短く切り揃えたとにかくでかいおっさんだ。

だか俺は目に入った剣を片っ端から眺めていく。どれもこれもが憧れていた異世界の剣。洋風のようでありながら少し違う。未知の鉱石やモンスターの素材が使われているのだろうな。うひょーーーとしか言いようがないな。

どれもいい剣だなー・・・・・・!?

俺の目に入ったのは一振りの刀身が真っ黒い剣。それ以外は美しい装飾が施されているが、派手ではない。ものすごい心踊る剣だ。

「あんちゃんそれがいいのかい?やめときな。呪いがかかってるんだ!」
うーん、呪いぐらい解呪出来るから大丈夫だと思うんだけどな。それにかっこいい剣を呪いだろうがなんだろうが買わないわけがない!

「大丈夫です。いくらですか?」
「ほ、本当に買うのか……。まぁいい、値段は金貨3枚だな」
けっこう高いな。でも日本円にすると3万円だし、安いのかな。相場なんてわかんないけど。

「分かりました。はい、どうぞ」
アイテムボックスから金貨を取り出しおっさんに手渡した。これでこの剣は俺のものだぜキャッホー!!

「アイテムボックスのスキルを持ってんのか?それとも魔道具か?まさか時空間魔法を無詠唱じゃ無いだろ」
どうやら困惑してしまったようだ。でも魔道具を持ってないから嘘をつくのは難しいな。それに時空間魔法を無詠唱で発動できた人間なんて全くいないんだよね。昔の最強の賢者でも。

「秘密なので無理ですね。教えることはできません」
「そうか。わかった。それとこれがお前の剣だ。実はそれ正直処分しようとしてたんだ。お前さんが買ってくれて良かったよ」
「そうなんですか。でも、ありがとうございます!!」
「おう。またこいよ!!」
おっさんは手を振って別れの挨拶をしてくれる。俺はそれに応えて手を振り返す。ていうか処分しようとしてたのに高すぎじゃない。まぁいいか。

「多分これ、光魔法で解呪できるよな……。物は試しだ」
手のひらに魔力を込めて剣を解呪しようとする。鞘に収まっているとはいえ、呪いの恐ろしさを刀身から感じてしまう。

多分、呪いはとけただろう。後は鑑定するだけだ。
(鑑定!!)

黒龍刀    ランク   伝説級レジェンダリーランク
スキル
黒炎纏 不壊 斬撃強化

伝説級だと!?かなりランクが高いな。ついでにこの世界のランクについてちょっと確認しておこう。ランクは、
創世級ジェネシスランク
神話級ゴッズランク
幻想級ファンタズマランク
伝説級レジェンダリーランク
秘宝級アーティファクトランク
希少級レアランク
一般級コモンランク
ということになっている。創世級なんかは見た人がいないと言われている。神話級も同じようなものだ。伝説級は国宝になるぐらいの価値はある。全く、何であんなところにあったのか、不思議だな。

これで準備も整ったし、後は明日の試験に合格するだけだ!!
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