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第六話

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昨日で15歳になりました。4日後にはビーニアス王立学園の入学試験がある。もう少しで待ちわびた学園生活が始まるんだ。それに全部の魔法を発動することができた。

「皆、ビーニアス国に向かうから準備して」
今日は試験のためにビーニアスに向かう。ビーニアスはここから馬車で2日間ほどかかる。街道は整備されているため、滅多なことではモンスターはでないのだが、出現されると余計に時間がかかるけど。

「はーい、分かりました」
俺の持ち物はアイテムボックスにいれることができるので、荷物には困らない。アイテムボックスのスキルは1000万人に一人ぐらいが持っているらしい。

俺の持ち物は勉強用の本や着替えなどだ。正直試験はナビゲーターを使えば余裕でクリアできるんだけどね。出来るだけ実力で頑張って、分からないところを聞くことにしている。

「皆、準備できたな。あれ?何でアルトは何も持ってないんだ?」
そう言えばお父さんとお母さんにはスキルのことを話してないのだった。

「アイテムボックスのスキルを持ってるので持つ必要はありません」
そう言った瞬間に両親が驚愕の表情を浮かべる。まぁ、1000万人に一人だからね。

「お前は何でも規格外だな。出来れば俺の荷物も入れてくれ」
「そうね。私の荷物も持って欲しいな」
そうなるだろうな。手ぶらの方が動きやすいし。

「分かりました」
お父さんの荷物は少ないのに、お母さんの荷物は以上に多かった。どんだけ必要な物があるんだよ。

「よろしくお願いします」
今回乗る馬車はそれなりに大きく豪華だ。それに馬にいくつも道具がつけられている。あれが付与魔法の付けられた魔法具というやつなのだろう。

付与魔法で速度が上がるのとか、疲れないとかそんなのをつけているのだろう。本当に魔法具は便利だな。俺は付与魔法を使っても魔法具を作ったことは無いからな。

「よ、酔うなこれは」
馬車の乗り心地は最悪だ。この馬車は物凄いスピードで走っている。大体時速100キロは出ているだろう。そしてメチャメチャ揺れる。揺れて揺れまくっている。椅子は木製で固いし。

「大丈夫?アルトちゃん」
「ダメ、かもしれ、ない」
どうしよう?あ、魔法を使えばいいのか。付与魔法で酔わないようにすれば・・・よし、治った!!魔法様様だな。

「さすがアルトちゃんね。こんなときでも魔法を使うなんて」
どんなときでも誉められたら親バカにしか思えない。
嬉しいけど恥ずかしいし。

ちなみに、俺達の目指しているビーニアスは巨大王国と呼ばれる、圧倒的な領土を持つ国だ。人間の大陸、マーナ大陸の北と西の一帯がビーニアスの領土になっている。他には聖神国ホーリストと呼ばれる女神を崇める宗教国家、農業大国ニーニアル、最強魔法師軍ガーベルン魔法師軍を所持するガーベルンがある。中央にホーリスト、東にニーニアル、南をガーベルンが治めている。どの国同士も仲が良いように見せているが、常に領土を狙い会う状態だ。だがこの事を知るのは国のお偉いさんがたと、ナビゲータに聞いた俺ぐらいのものだ。

そして、この世界の大陸は三つ。人間の暮らすマーナ大陸。エルフとドワーフと獣人の大陸ドールフ大陸、魔族の暮らすダード大陸にわけられる。魔族と人間とドワーフは同盟国だが、エルフと獣人は人間に見つからないようにしている。なぜならば、美しい見た目のせいで奴隷にされてしまうからだ。そのため、ドワーフと同じ大陸にすんでいても、殆ど交流は行われないらしい。これがこの世界、アノースだ。
                                                                                     
「そろそろご飯にしましょう」
いつの間にか、もうそんな時間か。外を見ればもう暗くなっている。

「「「いただきます」」」
ご飯はアイテムボックスから出しているので準備をしなくていい。だけどパンだから少し飽きるな。もう少し別のものが欲しかった。

「そろそろ寝ましょう」
アイテムボックスから布団を取り出し眠ることにした。馬も御者さんも眠らなくて良いらしいしな。

正直、時空間魔法を使えば一瞬でつく気がするな。でも、イメージができないからたぶんできないんだろうな。きっと一度行った場所じゃないと。まぁいいか。とりあえずもう寝るか。
                     
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