空と傷

Kyrie

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第34話

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ルーポがエトコリアの街にやってきて4回目の満月の日を迎えた。


来た頃は初めてのことばかりでそれについていくことだけで精一杯だったが、次第に生活にも慣れてきた。
が、魔力を掴むことは未だにできていなかった。
それはルーポを大いに焦らせた。

ダイロスは多忙を極め、以前より魔法宮に呼ばれる回数が減った。
また、赴いても5分も一緒にいることがないこともしばしばあった。

これまでルーポは、薬師としての才能があると言われ、自分でも手応えを持ちながらその技を磨いてきた。
上皿天秤を素早く巧みに操り、自分が必要な量だけをきっちりと計り取る。
あるいは、どの薬草のどのくらい砕き、すり潰し、どれくらいの量を混ぜ込むか。
失敗もあればうまくいくこともあった。
そういったことを粘り強く繰り返し、薬草の特性をよく知り、どうやったらその薬草の効能を最大限に生かすことができるかを体得していった。

しかし、魔力については変化がなかった。
それを失敗ととらえれば、ずっと失敗をしていた。
「変わりがない」ことがこんなにも退屈で、挫折させ、気持ちを萎えさせるものだと初めて身を持って知った。

次第にマーガスが勧める温泉に入っても、関心をひく食べ物を食べても、好きなハーブに関わっていても、塞ぎこむようになっていった。
また、焦るばかりで日常生活でもなんでもないところで皿をひっくり返したり、よく眠れなくなったりなど、失敗を繰り返した。


ダイロスに会えないのなら、とマーガスに魔力を流してもらってもみた。
しかしすぐに背骨を悪寒がぞくぞくぞくと這い上がってきて、どうしようもない気持ち悪さに襲われた。
吐き気を堪えていたがどうにもならなくなり、ふらついた。
額には冷や汗が浮かび、身体は冷え切り、顔は青を通り越して、青黒くなった。

本当に一瞬のことだった。
マーガスも驚いて、重ねていた手を慌てて離したがそこまで状態が悪くなっていった。

「おまえ、黒がダメなヤツなのか?」

すぐにマーガスに抱えられ、ベッドに寝かされた。

落ち着いてから、マーガスがぼつぼつと話した。

「魔術師は一人一人、基本の魔法を持っている。
白魔法か黒魔法かだ。
エトコリアの魔術師は基本が白魔法のヤツが多い。
両方の魔法を扱うヤツは珍しくないが、中にどうやっても基本の魔法しか受け付けないヤツもいる」

話をするマーガスの声が翳る。

「ルーポ、オレの背中の跡、知っているだろ」

マーガスの背中は酷い火傷の跡のようなひきつった皮膚が広がっていた。

「オレは黒魔術師だ。
小さい頃、制御できなくてエトコリアの街を壊滅させるほどのことをしでかした。
オレを止めるために、ダイロスの前の大魔術師が雷をオレに落とした。
それでようやくオレの暴走は止まった。
それからは白魔法を魔法宮で習得したり、制御の方法も学んだ」

温泉で一緒に湯につかるたびにルーポは気になっていたが、口にはしなかった。
傷はふれられたくないことが多いのを知っていたから。

「それにここに制御の魔石が入っている」

マーガスは自分の眉間の上のあたりを指で押さえた。
そこはこりこりとなにか異物が入っている感触があった。

「モンテイロ様がはめ込んだ。
これで暴走しにくくなっているから、安心してくれ」

一旦、マーガスは口を閉じた。
しばらくして、また口を開いた。

「オレも魔法宮に行く。
純粋な白魔法の力だけを扱えるようになる。
そうすれば、ルーポにも魔力が流せるようになる」

ルーポは「そんなことまでしなくていい」と言いたかった。
しかし身体は鉛のように重く、怠く、どうしようもなく、やがて力尽きたように眠ってしまった。


マーガスも魔法宮に通い出したが、甚大な黒魔法を持っているマーガスが白魔法だけを扱うことは容易ではなかった。
こちらも時間がかかっていった。





出口のない袋に閉じ込められたようなルーポは、時々、なんのためにここに来たのかをも見失いそうになることもあった。
メリニャの王宮の隠し小部屋で別れるとき、ダイロスに「もしかしたら帰れないこともあります。よくよく考えてください」と念押しされた。

もしこのまま帰れなくなったら、僕はどうするんだろう。

それからこうも思った。

帰っても、カヤ様は僕のことをすっかり忘れてしまっていたらどうしよう。
何も言わずにいなくなった僕に腹を立てて、嫌われていたらどうしよう。
もし、素敵な人が現れてカヤ様はその人と生きていくことになっていたら、僕はその先どうすればいいんだろう。

元気なときにはそれらを全て否定できた。
あるいは見ないようにできた。

が、一旦弱ると後は崖を転がり落ちる勢いであった。

あのままメリニャにいたらよかった?
いや、受勲式までのことだ。
そのあとは何もない。

カヤの温かい手のぬくもりを思い出した。
すぐにそれも否定する。

そのときだけかもしれないじゃないか。
だって僕は……








ルーポが塞ぎ混むようになって、久しい。
こうして迎えた4回目の満月の日であった。
この日もこれまでと同じように手早くマーガスの作った夕飯を食べ、マーガスとルーポは早い時間からそれぞれのベッドに潜り込んでいた。
今まではくたびれてすぐに寝入っていたのだが、今回は違っていた。

目がらんらんと冴え、気がぴりぴりと立っていた。
ルーポは横になっていられなくなり、ベッドから下りた。
そしてそっと小屋のドアを開いた。
冷たい闇が小屋に滑り込んだ。

そのままなにかに誘われるようにルーポは外に出た。

肌寒い風が強く吹き、草や木々は波打つように揺れ、ざわざわと不気味な音を立てていた。

クゥゥゥゥゥーーーーーーーーン

遠くで狐の声がした。

クゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーン

それは切ない切ない声だった。
ルーポはその声に芯を揺さぶられた。


大きく丸く輝く満月のそばを銀狐が駆け回っている。
どうしようもない衝動に突き動かされ、叫び、走り、吠える。

その衝動に自分も覚えがあった。

ウォォォォォォォォーーーーーーーン

気がつくと、ルーポは喉から血が出そうな勢いで遠吠えをしていた。

ウォォォォォォォォォォォーーーーーーン

どこにそんな大きな声を隠していたのか。
驚いていたが、遠吠えは止まることはなかった。

「ルーポっっっ!!!!」

小屋からマーガスが出てきた名前を叫んだ。
ルーポが振り返ろうとしたときだった。

ぐっと力強く腰を抱かれた気がした。
腕の主を見ると、そこには長い黒髪をたなびかせ艶然と微笑む人の姿をしたアキトがいた。
目はぎらつき、紅と金を含みらんらんと光っている。

「戻ってこいっ、ルーポっ。
アキト、ルーポを離せっ!!!」

マーガスの叫びを気にするふうもなくアキトは軽々とルーポの腰を抱え、宙を走り出していた。
手を引かれルーポも引きずられるように宙を走る。
アキトは真っ赤な唇の端を少し上げ、ルーポを魅了すると速度を上げる。
ルーポも必死になってついていく。

クゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーン

アキトが吠える。

ウォォォォォォォォォーーーーーン

ルーポも吠える。

アキトの手がルーポから離れる。

「落ちるっ」と思ったが、目の前で見た、アキトが滑らかに人の姿から白銀の狐の姿に変化していく驚きのほうが衝撃が強かった。
不意にぐっと、足の蹴り上げる感触が強くなった。
脚力が強くなり速度を増したのを感じた。
するとルーポもするすると人の姿から真っ白な毛皮に覆われた小さな狼に変化していった。

そのときには、もう考えることはできなくなっていた。

不安と苦しみと焦りと、そして

だって僕は………
だって
だって
僕はカヤ様に好きって言われていないんだーーーーーーーーーっ


好意を向けらえているのはわかった。
乱暴なこともあったが、カヤは優しく丁寧に自分に接してくれた。
ただ、そこに言葉はなかった。
ルーポは諦めたつもりだった。
「最後かもしれない」と身体を任せた。

けれどもそれらは全てごまかしで、ルーポの奥の奥ではカヤに対する燃えるような好意と自分を見てほしいという切ない願いと、できるのなら2人でより多くの時間を過ごしたい、という欲望でいっぱいだった。





銀の狐と白い子狼は一晩中、自分の中の抑えられない衝動に任せて遠吠えをし、宙を駆け続けた。













ひどい吐き気で目が覚めた。
身体は指一本も動かせないほど重く、呼吸もつらかった。

「目が覚めたか、馬鹿野郎がっ」

ひどい怒鳴り声が聞こえた。
わんわんと声の余韻が耳鳴りのように響いた。
それも堪えた。

そこはマーガスの小屋の自分のベッドだった。
マーガスが激怒しているのがちらりと見えた。

「あれだけ満月の夜は気をつけろと言っておいたのに」

返事がしたかったが、何一つできなかった。
マーガスは恐ろしい臭いのするものが入った木の器をルーポの鼻先に突き出した。

「飲め」

それだけで吐き気がこみ上げてきた。
「いやだ」と強く思ったが、マーガスは激怒したままその黒く青臭いどろりとしたものをさじですくい、ルーポの口の中に突っ込んだ。

「げ」

吐くのがいやで口の中に溜めていた。
とにかく苦く気持ち悪い味で充満した。

「飲み込め。
ほら早く」

なかなか飲み込まないルーポにマーガスは無理矢理口を開かせると、容赦なく器の得体の知れない液体をすべて流し込んでしまった。
呼吸ができなくなり、ルーポはそれを飲み込むしかなかった。
あまりのまずさにルーポは短い時間気を失っていた。




次に目が覚めたときには、吐き気は随分緩和されていて、我慢できないほどではなかった。
今度はマーガスが水を持ってきた。
それはごくごくと喉を鳴らしてルーポは飲み干した。

「もう一杯いるか」

ルーポがうなずくと、マーガスがまた水を持ってきてくれた。
ルーポはそれも飲み干した。
ひどい頭痛がした。

「しばらくは起き上がれないぞ。
薬湯が効いても、あれだけの妖狐のりょくを浴びたんだ。
元に戻るまでは時間がかかる」



マーガスの言葉通り、ルーポが日常生活に戻れるようになるまでに4日を要した。
マーガスはかいがいしくルーポの世話をした。
あのひどい臭いの薬湯を飲むのが苦痛だったが、飲めば身体が楽になることがわかると、意を決して飲んだ。

回復したあと、ルーポはマーガスとダイロスにこっぴどく叱られた。
今回はマーガスの薬湯を早くに飲めたので多少は症状が軽減されたが、命を落とすこともあるのだときつく言われた。

「あの薬湯は、今ではマーガスしか作れなくなっています。
あそこにいたのが幸いでした。
しかし、次はわかりません。
狐には十分に気をつけなさい」

ダイロスは厳しい口調で言った。



とぼとぼと魔法宮から帰ってくると、小屋ではマーガスがにやにやしながらルーポを見た。

「ダイロスにも怒られたか」

「はい」

「だろうな。
そうじゃないと、こっちが持たない。
俺も言い足りないが、ま、ルーポばかりが悪いんじゃないからな。
アキトにも言っておかねぇと」

ルーポはしょぼんと食事をするときの椅子に座った。

「なにか飲むか?
ハーブティーを淹れてやろう。
こっちへ来い」

マーガスがルーポを強引に温室に連れてきて、ハーブティーを淹れてやった。

「とっておきを飲ませてやるからな」

にやりと笑って取り出したのは、黄金に輝くはちみつの瓶だった。
ふたを開けただけで、ふわりと何百何千の花の香りが甘い蜜の香りとともに辺りに漂った。

「甘めにしておこうな」

マーガスがたっぷりと木製のハニートングではちみつを絡め取るとルーポのカップにそのまま入れる。
かき混ぜるたびに爽やかな酸味とどこまでも高く香る甘味を含んだはちみつの匂いがした。

「どうぞ」

ルーポが熱いカップを両手で持ち、ふうふうと息を吹きかけ冷まし、熱いのに気をつけながらすすった。

「!」

ルーポが大きな空色の目を真ん丸にした。

「うまいだろ」

「はい」

「よかったな」

マーガスも自分のカップに黄金のはちみつを垂らし飲み始めた。

「ありがとうございます」

「これは特別だからな。
なんたって妖精王御用達のはちみつだ」

「妖精?!」

ルーポのいる世界では魔法もそうであったが、妖精も子ども向けの夢物語の中だけでしか存在しなかった。

「おまえももう会ってるけど、気がつかなったのか?」

月に1度の割合で、マーガスの小屋を掃除に来る女性たちがそれだと教えられた。

「ちょっと妖精国とつながりがあってな。
その代わり、上等のハーブティーと石けんを預けているから」

マーガスは遠くを見ながら言った。
それを見ながら、ルーポは久しぶりに穏やかな気持ちでハーブティーを飲んだ。



ゆっくりと時間をかけて飲み終わると、マーガスが言った。

「おまえ、薬師なんだろ」

「はい。
と言っても、まだ見習い、ですが」

「勲章をもらうほどだったんだろ。
もう見習いは返上だ」

くすぐったくてルーポはちょっとはにかんだ。
マーガスがぐっと真剣なまなざしでルーポを正面から見た。

「ルーポ、薬を作れよ。
俺がハーブティーや石けんを人に分けているように、おまえは薬を調合しろ」

「え」

「魔術師がいるとはいっても、すべての怪我や病気を魔法で治すわけじゃない。
ちょっとした切り傷や発熱、軽い腰痛などは薬を使うんだ。
明日、詳しいヤツのところに連れて行ってやるから、話を聞いてこよう」

急に手が上皿天秤の感触を思い出した。
乳鉢と乳棒で薬草を潰したり、薬草を摘み取ったときのにおいを思い出した。

ルーポの空色の瞳が久しぶりに深く濃く色づいた。




翌日、2人は薬草を取り扱う店に行った。
そこは街の中心部から外れており、ルーポが行ったことがない場所だった。
薬草を調合するときの強烈なにおいが出ることもあり、こんなところに店はあるが、街なかにも薬を売る店が別にあるのだと教えてもらった。

店主から話を聞き、まずは傷薬を作ってみることにした。
必要な薬草を分けてもらい、調合のしかたを教わった。
質が見たいからできたらまたここに持ってくるように言われ、ルーポは大きくうなずいた。

小屋に帰るとすぐに、ルーポは調合を始めた。
久しぶりに自分の上皿天秤を取り出す。
マーガスが温室の隣の作業部屋を使うように言ってくれたので、光がよく入るそこで作業をした。

しばらくは夢中になっていたが、さすがに疲れてきて、一旦手を休めた。
こんなに集中したのはどれくらいぶりだっただろう。
ルーポは苦笑しながらも、満たされた気持ちでいっぱいだった。

今回習ってきたのは軟膏のつくり方だった。
メリニャには軟膏という薬がなかったので、ルーポは興奮していた。
ミツロウを使うもので、熱の入れ加減や練り具合によっては硬くなってしまったりゆるすぎたりと調整が難しかった。

ふぅーっと大きな息をつき、身体の力を抜いて椅子にぐったりと座り込んだ。
疲れてはいたが、気持ちがよかった。
大きな二枚貝の片方に詰めた軟膏を手に取る。
作業をしているときに、メリニャでもしていたように「この薬を使う人が早く痛みから解放されますように」と願っていたのを改めて思い出した。
先ほどの作業でも、もちろん、その祈りを込めていた。

そして、右肩に美しいタトゥーを持つあの人の痛みも。

頬が自然に緩んだときだった。

ルーポは指先がほのかに温かいことに気がついた。

「え!」

小さな声を上げてしまうと、それは瞬時に消え失せてしまった。

ルーポははらはらと涙をこぼし始めた。

確かに、あの温もりはダイロスが流してくれた魔力と同じものであり、ルーポが自分の魔力を始めて感じ取った瞬間であった。






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