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第3話
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パラレルワールドでの生活は順調だった。
次の日、律のマンションから学校に行き、授業が終わると部活をやっていない俺はそのまま家に帰った。大学進学で兄貴が家を出たので、今は両親と3人暮らし。特に違和感ないし、親から「本物の瑞生じゃない!」と疑われることもなかった。
ほっとしちゃった。
俺の部屋もほぼそのまま。ちょっとものの位置が違うこともあるけど、困るほどじゃない。
学校ではもう1人の親友、フカちゃんに「律と喧嘩したの?」と言われるくらいだった。そりゃらぶらぶらしかった俺たちが、「フツーの親友」になったら、距離感違うよな。
律は、紳士ですよ、紳士!
あれはモテる!世界変わってもモテる!ってか、あんなに世話好きなの、俺、知らなかった。それもさりげなく。
やっぱり記憶にないこともあるので、そういうとき律がさらっと助けてくれる。友達として。
あとは学年末テスト。元の世界では授業でやっていないところがあって、青ざめたけど、律がみっちりとサポートしてくれたので、いつもよりどの教科も点数が上がった。
毎日のように律のマンションに行って、勉強教えてもらって、甘いラテが出てきて。たまにロイヤルミルクティーやココアが出てきて。
律の両親は忙しくて、兄弟もいないから、いつも俺たちは2人きりだったけど、迫られたりちゅーされたり、そういうことはなかった。
バレンタインのときはびっくりしたな。
一緒に校門出たら、百合学のコがいっぱい待っているんだけど律は俺に「ごめん」と言って手を握り、「恋人がいるからチョコレートは受け取れない」と律儀に迫ってくる女子に断りを入れていた。
俺は百合学のコからにらまれることになったけど、中には「幸せになってください」と泣いちゃうコもいて大変だった。
**
春です。春休みです。
こっちに来て2か月。律とフカちゃんのお陰で、順調に2年生に進学できそうです。
学年末の成績がちょっとよかったので、学校でもほめられた。
宿題もないし、今日は午後から律とフカちゃんと会う約束してます。
そしたら、律が午前から来ないか、と誘ってくれたので、律の部屋でごろごろしています。ぽかぽかで気持ちいい。昼は俺のリクエストでオムライスを作ってくれるそうです。ふふふ、楽しみ。律のチキンライスはケチャップじゃなくてトマトピューレを入れるので、すっきりした大人っぽい味だから、好き。
胃袋掴まれています。ぽっちゃり男子が加速しないようにいろいろ工夫もしてくれています。ありがとうございます。
「瑞生」
「ん?」
律が紅茶を淹れてきてくれました。
「さんきゅー」
お昼前なので甘くないそうです、はい。
「なぁ」
「ん?」
ふうふうして飲んでいると律が話しかけてきました。
「こっち、慣れた?」
「うん。律とフカちゃんのお陰で。特に律はこのこと知ってるから、心強かったよ。ありがとな」
今なら言えそうな気がする。
「律、あのさ」
「なに」
「俺で、ごめんな」
そう、ごめんな。
「律が好きな俺じゃないから、さ。心配だろ、こ、恋人がどっかに行っちゃったら、さ」
ずっとずっと気になっていたんだ。いつか謝ろうと思っていた。
もし律の恋人の俺となら、もっといちゃいちゃしていたんだと思うし、デートとか恋人同士のイベントとかもっと楽しいこともできてたんだと思うし。
やっぱ、俺、そうじゃないから、さ。
マグカップを見つめながら、ぼそぼそと言ってたから気づかなかったんだ。律がそばに来てたこと。
「そりゃ、心配だ。でも瑞生がどうなっているか知ることはできない」
「うん」
「いろいろ考えた。ほんとに考えた」
「うん」
「もしかしたら、こっちの瑞生が瑞生の世界に行っているかもしれないじゃん」
「う、うん」
「それに、瑞生は弱いヤツか?」
「うー?」
「結構タフで、楽天的に楽しんで生きていくヤツだろ、瑞生って」
はぁ、そうですか。なんだかけなされている気がしないこともないけど、まぁ、そうだな。実際に俺はこっちにそれなりに馴染んでいるし、今だって楽しく生きてるし。
元の世界への帰り方を本気で探し始めたら、頭バクハツするかもしれない。でもどうしようもないじゃん。ここ、居心地いいし、このままでいいや、と早々に決めたんだ。
「あのな。もし、こっちの瑞生があっちに行ってたとしたら」
「うん」
「あっちの俺が瑞生を守ってるよ」
「ふぁ?」
なんだそれ。
びっくりして顔を上げたら、律の顔がめちゃくちゃ近くて驚いた。律は「危ないな」と俺の手からマグカップを取ると、勉強机の上に置いた。
「だから、心配しすぎるのやめた」
は、はぁ……
「それより、目の前の瑞生のことちゃんとしたくて」
お、俺のことですか。
「もう一度」
「……」
「俺のこと、好きにならないか」
「ふぁぁぁ?!」
「おまえにとっては初めてかもしれないけど、俺にとってはもう一度なんだ。やっぱり瑞生のことが好きだ」
「え…と」
「俺、頑張ってまたおまえのこと口説くから」
「くど…???!!!」
驚いて目の前がぐるぐるしそうだ。
「おまえ、大変だっただろ」
「ふぇ?なに」
「こっち来て、大体一緒でも全部同じじゃないだろ。記憶も曖昧なところがあったし」
「……」
「楽しそうにしていたけど、不安なんじゃないかなと心配していた」
あ。
「……うん」
いつ、俺がこっちの瑞生じゃないとバレないか、家ではびくびくしていた。律がいないときの学校でも、緊張していた。
じわっと涙が出てきたとき、律に抱き寄せられてぎゅっとされた。
「友達としてサポートしていきたいとも考えた。でも、それじゃだめなんだ。もっと瑞生を守りたいし、幸せにしたいし、楽しいことしたい」
うぇぇぇえ?!
ど、どうしよう。俺、女の子が好きだったはずなんだけど。
今、律にぎゅっとされて、妙に安心してぼろぼろと泣いています。どうしたんでしょう、俺。
やばい。胸、きゅんきゅんする。
「だから、また口説かせて。絶対、好きになってもらうから」
やだやだ、律さん、そんなのズルいです。
俺はただただ泣いてるだけだった。
律の腕の中はあったかくてほっとできた。律が近くにいるとわかって嬉しかった。
もしかして、俺、律のこと、好きなの?
「ね、だから拒まないで、瑞生」
「……う、うん」
「……よかった」
なんかよくわかりませんけど、いいのかな。
「すぐに好きにならなくてもいいから。じっくり俺のこと好きになってもらうから」
ばかばか、なんだよそれ。いつもの律らしくない弱気発言。
「おまえ、飄々としているけど、どこか細いところがあって、心配なんだよ。本人無自覚だし。こんなに泣くほど溜めてんじゃないよ」
だってぇ。
律は俺の背中をなで、髪をなでた。
「よーし」
俺が泣き止んで落ち着いた頃、律はぎゅーを止めた。
「じゃ、まずは胃袋からだな。オムライス作ろ」
律はにっと笑うと俺を見た。
いや、胃袋はもう掴まれてますけど。
「安心しろ。おまえはすぐに俺のこと好きになるよ」
ぎゃあ!
俺が顔を真っ赤にしたのを見て満足したように、律はキッチンへ行った。
律さん、それ惚れちゃうでしょ。
自信満々の律の言葉に、「いつもの律だ」と安心している俺がいた。
「律ー、卵割るの手伝うー」
おしまい
** ** **
放課後の教室で、俺は律に馬乗りになっていた。
「瑞生、今、なにしようとした?」
えー、律さん、そのおっかない声、なんだよー。
「え。なにって、ちゅー」
「なんでっ!」
「いつもしてるじゃん」
「い⁈」
俺はいつもみたいに放課後の教室で2人きりのイイ感じになったので、律とちゅーしようとしたんですよ。そしたら、律が拒否してきたからオアソビだと思って、ぐいぐい押していったらバランス崩しちゃってさ。律は俺を守るように抱きしめてくれたんでケガはなかった。律ってこういうことさらっとしちゃうんだよな。すげぇなぁ。ふふふ。
「ちょっと待て。とりあえずどけ」
「あ、重たかった?ごめん」
やだなぁ。俺、太ったかな。朝、鏡見たらほっぺのあたりがふくっとしててさ。ちゃんと律のおやつ計画守ってて、ぽっちゃり男子が加速しないようにしてるのに。
俺が律の上から下りると、律は盛大にため息をついた。
「で、だれとだれがどうで、キスになるわけ?」
ひー!!!俺、なにかした?これ、完璧に怒ってる律じゃん。
「律と俺が恋人で、ちゅー」
「は⁈」
やだやだやだ、それ、いくら俺でも傷つきますよ。
「こんなにらぶらぶじゃない」
俺は上着のポケットに入れていたスマホを取り出す。写真のお宝フォルダには「RITSU」。へへへ。
そこに並ぶ、律と俺のらぶらぶ写真を律に見せつける。
「いつの間に⁈」
「えー、忘れたのー?あのさー、今日、律んち行っていいか」
なんでこの写真見ながら青ざめているのかなぁ、律は。
「だめか?」
「……」
おーい、律さーん。戻ってきてー。返事してー。
「……あ、ああ。そうだ、そうしよう。ゆっくり話がしたい」
ヘンなの、律。
でも律んち行ける!
俺は嬉しくなって立ち上がり、帰り支度を始めた。
おしまい
次の日、律のマンションから学校に行き、授業が終わると部活をやっていない俺はそのまま家に帰った。大学進学で兄貴が家を出たので、今は両親と3人暮らし。特に違和感ないし、親から「本物の瑞生じゃない!」と疑われることもなかった。
ほっとしちゃった。
俺の部屋もほぼそのまま。ちょっとものの位置が違うこともあるけど、困るほどじゃない。
学校ではもう1人の親友、フカちゃんに「律と喧嘩したの?」と言われるくらいだった。そりゃらぶらぶらしかった俺たちが、「フツーの親友」になったら、距離感違うよな。
律は、紳士ですよ、紳士!
あれはモテる!世界変わってもモテる!ってか、あんなに世話好きなの、俺、知らなかった。それもさりげなく。
やっぱり記憶にないこともあるので、そういうとき律がさらっと助けてくれる。友達として。
あとは学年末テスト。元の世界では授業でやっていないところがあって、青ざめたけど、律がみっちりとサポートしてくれたので、いつもよりどの教科も点数が上がった。
毎日のように律のマンションに行って、勉強教えてもらって、甘いラテが出てきて。たまにロイヤルミルクティーやココアが出てきて。
律の両親は忙しくて、兄弟もいないから、いつも俺たちは2人きりだったけど、迫られたりちゅーされたり、そういうことはなかった。
バレンタインのときはびっくりしたな。
一緒に校門出たら、百合学のコがいっぱい待っているんだけど律は俺に「ごめん」と言って手を握り、「恋人がいるからチョコレートは受け取れない」と律儀に迫ってくる女子に断りを入れていた。
俺は百合学のコからにらまれることになったけど、中には「幸せになってください」と泣いちゃうコもいて大変だった。
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春です。春休みです。
こっちに来て2か月。律とフカちゃんのお陰で、順調に2年生に進学できそうです。
学年末の成績がちょっとよかったので、学校でもほめられた。
宿題もないし、今日は午後から律とフカちゃんと会う約束してます。
そしたら、律が午前から来ないか、と誘ってくれたので、律の部屋でごろごろしています。ぽかぽかで気持ちいい。昼は俺のリクエストでオムライスを作ってくれるそうです。ふふふ、楽しみ。律のチキンライスはケチャップじゃなくてトマトピューレを入れるので、すっきりした大人っぽい味だから、好き。
胃袋掴まれています。ぽっちゃり男子が加速しないようにいろいろ工夫もしてくれています。ありがとうございます。
「瑞生」
「ん?」
律が紅茶を淹れてきてくれました。
「さんきゅー」
お昼前なので甘くないそうです、はい。
「なぁ」
「ん?」
ふうふうして飲んでいると律が話しかけてきました。
「こっち、慣れた?」
「うん。律とフカちゃんのお陰で。特に律はこのこと知ってるから、心強かったよ。ありがとな」
今なら言えそうな気がする。
「律、あのさ」
「なに」
「俺で、ごめんな」
そう、ごめんな。
「律が好きな俺じゃないから、さ。心配だろ、こ、恋人がどっかに行っちゃったら、さ」
ずっとずっと気になっていたんだ。いつか謝ろうと思っていた。
もし律の恋人の俺となら、もっといちゃいちゃしていたんだと思うし、デートとか恋人同士のイベントとかもっと楽しいこともできてたんだと思うし。
やっぱ、俺、そうじゃないから、さ。
マグカップを見つめながら、ぼそぼそと言ってたから気づかなかったんだ。律がそばに来てたこと。
「そりゃ、心配だ。でも瑞生がどうなっているか知ることはできない」
「うん」
「いろいろ考えた。ほんとに考えた」
「うん」
「もしかしたら、こっちの瑞生が瑞生の世界に行っているかもしれないじゃん」
「う、うん」
「それに、瑞生は弱いヤツか?」
「うー?」
「結構タフで、楽天的に楽しんで生きていくヤツだろ、瑞生って」
はぁ、そうですか。なんだかけなされている気がしないこともないけど、まぁ、そうだな。実際に俺はこっちにそれなりに馴染んでいるし、今だって楽しく生きてるし。
元の世界への帰り方を本気で探し始めたら、頭バクハツするかもしれない。でもどうしようもないじゃん。ここ、居心地いいし、このままでいいや、と早々に決めたんだ。
「あのな。もし、こっちの瑞生があっちに行ってたとしたら」
「うん」
「あっちの俺が瑞生を守ってるよ」
「ふぁ?」
なんだそれ。
びっくりして顔を上げたら、律の顔がめちゃくちゃ近くて驚いた。律は「危ないな」と俺の手からマグカップを取ると、勉強机の上に置いた。
「だから、心配しすぎるのやめた」
は、はぁ……
「それより、目の前の瑞生のことちゃんとしたくて」
お、俺のことですか。
「もう一度」
「……」
「俺のこと、好きにならないか」
「ふぁぁぁ?!」
「おまえにとっては初めてかもしれないけど、俺にとってはもう一度なんだ。やっぱり瑞生のことが好きだ」
「え…と」
「俺、頑張ってまたおまえのこと口説くから」
「くど…???!!!」
驚いて目の前がぐるぐるしそうだ。
「おまえ、大変だっただろ」
「ふぇ?なに」
「こっち来て、大体一緒でも全部同じじゃないだろ。記憶も曖昧なところがあったし」
「……」
「楽しそうにしていたけど、不安なんじゃないかなと心配していた」
あ。
「……うん」
いつ、俺がこっちの瑞生じゃないとバレないか、家ではびくびくしていた。律がいないときの学校でも、緊張していた。
じわっと涙が出てきたとき、律に抱き寄せられてぎゅっとされた。
「友達としてサポートしていきたいとも考えた。でも、それじゃだめなんだ。もっと瑞生を守りたいし、幸せにしたいし、楽しいことしたい」
うぇぇぇえ?!
ど、どうしよう。俺、女の子が好きだったはずなんだけど。
今、律にぎゅっとされて、妙に安心してぼろぼろと泣いています。どうしたんでしょう、俺。
やばい。胸、きゅんきゅんする。
「だから、また口説かせて。絶対、好きになってもらうから」
やだやだ、律さん、そんなのズルいです。
俺はただただ泣いてるだけだった。
律の腕の中はあったかくてほっとできた。律が近くにいるとわかって嬉しかった。
もしかして、俺、律のこと、好きなの?
「ね、だから拒まないで、瑞生」
「……う、うん」
「……よかった」
なんかよくわかりませんけど、いいのかな。
「すぐに好きにならなくてもいいから。じっくり俺のこと好きになってもらうから」
ばかばか、なんだよそれ。いつもの律らしくない弱気発言。
「おまえ、飄々としているけど、どこか細いところがあって、心配なんだよ。本人無自覚だし。こんなに泣くほど溜めてんじゃないよ」
だってぇ。
律は俺の背中をなで、髪をなでた。
「よーし」
俺が泣き止んで落ち着いた頃、律はぎゅーを止めた。
「じゃ、まずは胃袋からだな。オムライス作ろ」
律はにっと笑うと俺を見た。
いや、胃袋はもう掴まれてますけど。
「安心しろ。おまえはすぐに俺のこと好きになるよ」
ぎゃあ!
俺が顔を真っ赤にしたのを見て満足したように、律はキッチンへ行った。
律さん、それ惚れちゃうでしょ。
自信満々の律の言葉に、「いつもの律だ」と安心している俺がいた。
「律ー、卵割るの手伝うー」
おしまい
** ** **
放課後の教室で、俺は律に馬乗りになっていた。
「瑞生、今、なにしようとした?」
えー、律さん、そのおっかない声、なんだよー。
「え。なにって、ちゅー」
「なんでっ!」
「いつもしてるじゃん」
「い⁈」
俺はいつもみたいに放課後の教室で2人きりのイイ感じになったので、律とちゅーしようとしたんですよ。そしたら、律が拒否してきたからオアソビだと思って、ぐいぐい押していったらバランス崩しちゃってさ。律は俺を守るように抱きしめてくれたんでケガはなかった。律ってこういうことさらっとしちゃうんだよな。すげぇなぁ。ふふふ。
「ちょっと待て。とりあえずどけ」
「あ、重たかった?ごめん」
やだなぁ。俺、太ったかな。朝、鏡見たらほっぺのあたりがふくっとしててさ。ちゃんと律のおやつ計画守ってて、ぽっちゃり男子が加速しないようにしてるのに。
俺が律の上から下りると、律は盛大にため息をついた。
「で、だれとだれがどうで、キスになるわけ?」
ひー!!!俺、なにかした?これ、完璧に怒ってる律じゃん。
「律と俺が恋人で、ちゅー」
「は⁈」
やだやだやだ、それ、いくら俺でも傷つきますよ。
「こんなにらぶらぶじゃない」
俺は上着のポケットに入れていたスマホを取り出す。写真のお宝フォルダには「RITSU」。へへへ。
そこに並ぶ、律と俺のらぶらぶ写真を律に見せつける。
「いつの間に⁈」
「えー、忘れたのー?あのさー、今日、律んち行っていいか」
なんでこの写真見ながら青ざめているのかなぁ、律は。
「だめか?」
「……」
おーい、律さーん。戻ってきてー。返事してー。
「……あ、ああ。そうだ、そうしよう。ゆっくり話がしたい」
ヘンなの、律。
でも律んち行ける!
俺は嬉しくなって立ち上がり、帰り支度を始めた。
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