白妙薄紅

Kyrie

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十、

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源蔵げんぞうの膝の上で、はだけた緋色の肌襦袢はだじゅばんを体に絡ませた白妙しろたえは、両足を大きく開かれ、御衣黄ぎょいこう紅時雨べにしぐれに未熟な小枝と源蔵の指を飲み込む淵をさらされていた。
知らぬ間に仕込まれた渦桜うずざくらのせいで、白妙は体が熱く疼いて仕方なかった。
恥ずかしいのに、自分を暴いているのが源蔵だと思うと、奥のほうがきゅっとなった。
このまま、わけがわからなくなってしまえばいいと思った。
意識のあるまま、御衣黄に抱かれる姿を源蔵に見られたくなかった。
今なら源蔵に抱かれている、と錯覚したまま終わりそうだから。
そう白妙はぼんやりと考えていたが、すぐに思考力も奪われてしまった。
すでに、淵は源蔵の長く白い指を三本、飲み込み、泡立っていた。



「旦那様、もうそろそろ」

源蔵が低く御衣黄に言った。

「いやいや、それくらいでは白妙を傷つけてしまう。
もっと拡げておくれ」

御衣黄の言葉に源蔵は奥歯を噛みしめながら、もう一本指を増やそうとした。

「ああ、そんなひどいことをしないでやってくれ。
四本も入れたら壊れてしまうだろう」

「ですが」

「もっといいものがあるだろう」

二人のやり取りに、紅時雨は扇子を広げ口元を隠しながら笑い、源蔵と白妙を見た。
そんな紅時雨の肩を御衣黄をいやらしくなでながら、言った。

「源蔵も立派なぼくを持っているじゃないか」

「な」

「久しぶりに見せてごらん。
あれからどんなに育ったのか、確かめてあげよう。
それで白妙を拡げなさい」

源蔵がきつく御衣黄を睨む。
しかし、御衣黄と紅時雨は素知らぬ顔をして源蔵を見ていた。

「おまえさんももう、たまらないだろう。
白妙から香る渦桜に」

渦桜の粉を仕込まれた白妙からはずっと妖しい淫靡な春の香りがむせかえるように立ち上っていた。
それは飲んだ者だけではなく、そばでその香りを嗅いだ者の内側の春を蠢かせる効能があった。

源蔵はなんとかこの場を切り抜ける他の手立てを考えてみたが、どうやっても御衣黄に逆らうことはできなかった。
指を引き抜くと甘い声を立てた白妙をうつ伏せに緋色のしとねに寝かせ、自分は立ち上がり、はかまの紐を解き脱いだ。
そして紋付きの着物の前を割り、座るとふんどしをずらして自分の木を取り出した。
源蔵の木は白妙の香りに当てられ、真っすぐに天を仰ぐ杉のように起立していた。
御衣黄はにやりと口の端を上げた。

源蔵は荒い息で横になっている白妙を抱え上げた。
腕にはまだ肌襦袢の袖が通っていたが、そのままにした。
全てを剥ぎ取ってしまうのは痛々しく、源蔵にはできなかった。


白妙は何が起こっているのかよくわからなかった。
御衣黄と源蔵の会話もぼんやりと聞こえていたが、二人が何を意図しているのか理解できなかった。
源蔵の指が抜かれたが、荒い息が治まることはなく、肩で呼吸をしていた。
遠くで衣擦れの音がした。

再び、源蔵に後ろから抱えられた。
また両足を開かれたとき、双丘の谷間になにか熱いものが当たるのに気がついた。
ぴくりと顔を上げると、御衣黄と視線が合った。
御衣黄は食い入るように白妙を見ている。
何が起こるのだろう。
それを考える暇もなく、源蔵の、自分の足を支える腕の力が抜かれた。

「ふああっ、ああっ」

自分の淵が何か熱いものを飲み込むのを感じた。
耳元で源蔵が小さく呟いた。

「一番太いところが入ってしまえば、あとは楽になる」

源蔵との稽古で何度か言われたことだった。
あのときは冷たくすべらかな象牙の艶葉木つやばきであった。
しかし、今はどくどくと血が通い熱を持つもの。

源蔵さんの……っ

ふっと力が抜けたとき、白妙の淵は源蔵の「一番太いところ」をすんなりと飲み込んだ。

「あああああ」

源蔵さんっ

源蔵さんっ

「旦那様ぁぁ」

白妙の声が細く高く響いた。

それ以上は、白妙の自重が軽く飲み込めなかった。
源蔵がまた、白妙にかける力を増やした。
ぐちゅっぐちゅっと音を立て、淵に源蔵の木が沈んでいく。
そして終いまで沈むと、源蔵は白妙の太腿を抱え、体を上下に揺さぶっていった。

「はああっ、ふっ、うぅぅんっ」

上下されるたび、白妙は声を上げた。

身体中を桜に染め、御衣黄と紅時雨にその痴態を見せつけながら白妙は目に涙を浮かべた。

初めてを源蔵さんに……

それすらも諦めていたのに、こんな形であったが源蔵に未踏の淵の奥を穿ってもらえたのに白妙は喜びを感じた。
稽古の中でずっとずっと幼い芝居を打っていたが、それが現実となった。

源蔵さん……
旦那様ぁ……

白妙はよがり、身をくねらせ、いやらしい声を上げ、そして初めて未熟な小枝を立ち上げた。
それを御衣黄と紅時雨は面白そうに見ていた。
白妙にはそんなこと、気に留めるものではなかった。
後ろでどんな顔で木を打ち付けているのか、源蔵のことさえもどうでもよかった。


紅時雨が扇子を閉じ、流し目でずっと白妙を見ながら御衣黄の着物の合わせを開いた。
そして奥から赤黒く、どとどどと音がしそうな立派な木を取り出した。
白妙は源蔵に揺さぶられながら、それを見ていた。
紅時雨が体を屈め、紅を引いた赤い唇から桃色の舌を出すと、その木をぺろりと舐めた。
白妙がどきりとしたとき、淵の端をきゅっと締めた。
今度は口を開き、先をこっぽりと咥えた。
白妙がまた、淵の端を締めた。
後ろから源蔵の唸り声が聞こえた。
紅時雨が何度かそれを繰り返すと、御衣黄の前に回ったので、白妙からは何も見えなくなってしまった。
しかし、紅時雨の頭の動きから察することができた。
御衣黄は紅時雨のうなじや頬を優しくなで、そして白妙を見た。
白妙は御衣黄にかわいがられている紅時雨をうらやましく思った。
また、淵の端が締まり、そして源蔵の木が白妙が悶えるところをえぐっていった。



しばらくそうしていたが、御衣黄が不意に立ち上がり、褥に近づいてきた。
源蔵は白妙の太腿を抱え、自分の木をそこから引き抜くと御衣黄のほうに淵が向くように白妙を四つん這いにさせた。
あ、と声を上げる間もなく、白妙の淵に御衣黄の木が差し込まれた。

「ふっふっ、あああっ、ん、んんぅ」

白妙は驚いた。
源蔵のときはもどかしいことばかりだったのに、御衣黄は白妙の気持ちよくこすってほしいところばかり穿ってきた。

「いやっ、いやっ」

よすぎてどうにかなりそうだった。

『いや、じゃないだろう』

稽古の時の源蔵の声が響いた。

『どう言うんだい、糸括いとくくり


「気持ち……いいっ。
旦那様、気持ち、い…い…っ」

「私もだよ」

御衣黄が優しい声で言った。
白妙が嬉しくて顔を上げると、そこには無表情の源蔵がだらしなく木を仕舞わないままそこにいた。
体がこわばりそうになったところに、紅時雨の顔が白妙の真横に来た。

「源蔵はまだ足りないみたいだよ、白妙」

後ろから突き上げられながらも、白妙は紅時雨の顔を見た。

「気持ちよくさせておやりよ、さっき私がしたみたいに」

紅時雨が桃色の舌で自分の唇を舐めた。
白妙はその動きに目が離せなかった。

「ほら、舌を出してごらん」

紅時雨に言われるまま、白妙は仔猫のような舌を出した。
ぐんっと御衣黄が後ろから突き上げたので、白妙の体は前にのめった。
その拍子に仔猫の舌は源蔵の木をかすった。

「木を舐めて」

「止めろ、白妙」

源蔵が声をかけたが、白妙は紅時雨の言葉しか耳に入らなかった。
舌を伸ばして、先を舐めた。
潮水の味がした。

「今度はこうやって咥えるんだよ」

紅時雨がぱっくりと源蔵の木を咥え、首を前後させて見せた。
紅時雨が口を離すと、次は白妙が同じようにした。

「むぅぅ…んんっ」

白妙は後ろから御衣黄に抉られ、前から源蔵を咥えた。
内側の春は大嵐となり、荒れに荒れた。

旦那様ぁ
旦那様ぁっ
もっと
もっと突いて
奥、もっと
お口もいっぱいにしてぇ





低い唸り声を上げて御衣黄が体を震わせた。
どくりどくりと自分の淵に熱いものが放たれるのを白妙は朦朧としながら感じ、そして最後によいところを抉られ、白妙もまた、初めて透明に近い液を小枝から発した。
そのときにぎゅっと口に力が入った。
源蔵が慌てて木を抜いたので、源蔵の木液は白妙の顔中にぶちまかれた。

白妙は褥の上に崩れ落ちた。
細い肩は大きく息をし、白い足袋はしわだらけとなり、双丘の合間からは御衣黄の木液が漏れ流れ出た。

御衣黄は静かに着物の合わせを整えると、まだ息が整わない白妙の耳に口をつけなにかを囁いた。
聞いた途端、弾かれたように身を起こし何かを言おうとしたが、御衣黄は白妙のうなじを掴むと、顔に散った源蔵の木液にも構わず発する言葉ごと口を吸った。
御衣黄は目を開けたまま、瞬きもせずに白妙を見ていた。
白妙もまた、驚き、目を閉じることもせず舌を吸われていた。

「白妙、口吸いのときには目を閉じるものだよ」

紅時雨に言われ、白妙は夢中で目を閉じた。
より一層、強く激しく舌を吸われ、穿たれた。
白妙の淵の奥がずくりと疼き、注がれた木液がちゃぷりと音を立てた。




御衣黄が唇を離すと、白妙は糸が切れたように気を失った。
そばで一部始終を見ていた源蔵も我に返った。

「では、私は帰るよ」

御衣黄は立ち上がり、紅時雨を呼んだ。

「最近退屈していたけど、面白い水揚げだった」

紅時雨がそばにくると、御衣黄はその肩を抱いた。

「朝告鳥が鳴くまで、ここにいなさい。
白妙が朝までここにいなかったら、あることないこと言われるからね。
あとのことは惣吉に任せてある」

御衣黄は歩き出し、襖を開けると肩越しに源蔵に言った。

「目を覚ましたら、白妙を褒めておあげ。
立派な陰間で、私は気に入った、と」

源蔵は正座し言葉を聞き、御衣黄が立ち去るまで頭を下げるしかなかった。








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