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九、
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弟たちが紅時雨からご祝儀をもらい、かわいらしい声を上げ口々に挨拶をしている頃、御衣黄は静かに、しかししっかりした声で「では、頼むよ」と次の間に声をかけた。
するすると次の間に続く襖《ふすま》が左右に音もなく開いた。
そこには禍々しい緋色の褥が、赤く染められた紙を貼られた行灯の明かりに照らされていた。
それを見た白妙は体をこわばらせた。
御衣黄様と私の、その、あの様子を……
源蔵さんに知られてしまう……
いくら恋い焦がれても、叶わないのは幼心にわかったつもりであった。
しかし、初めて交わす契りの様子を源蔵に知られたくない。
白妙は逃げ出したくなった。
自分がどんなふうに乱れてしまうのかわからない。
それだけでも恥ずかしいのに、一番知られたくない源蔵に知れてしまう。
が、頭の鼈甲づくしの重みが今の自分の立場を思い出させた。
今宵は私の水揚げの時……
でも……
いや……
白妙は泣きそうな顔を俯かせるしかなかった。
次の間にはいつのまにいたのか、二人の少年がいて中の緋色の褥をこちらに運び出し、白妙と源蔵の前に敷いた。
わけがわからず、源蔵と白妙は言葉を失い、御衣黄を見た。
御衣黄は脇息にもたれかかって二人を見ていた。
「楽しみにしていたよ、白妙の水揚げを」
紅時雨が弟たちと次の間から出てきた少年を部屋から送り出し、御衣黄の横に戻ってきた。
足を崩し、すがるように御衣黄に身体を預け、紅時雨もまた、褥の向こうに座る二人を見た。
「さあ、源蔵。
白妙の仕上がり具合を私に見せておくれ。
おまえさんが白波の着物を選ぶなんて、相当入れ込んでいるんだろう」
御衣黄は先ほどの続きの、踊りや歌が見たい、と同じように言った。
源蔵は手をつき、頭を下げた。
「それは旦那様自らがご覧になってくださいませ」
源蔵は額がつくほど頭を下げて言った。
返事はしばらくなかった。
「取りたくないものだが、私も歳を重ねてね。
その気力もないのだよ」
そう面白そうに言いながら、御衣黄はぎらぎらした目で二人を見る。
「だからね、見せておくれ。
白妙の声も聞きたいね。
おまえさんなら上手に鳴かせてくれるだろう」
「しかし」
「このまま帰ってもいいんだよ」
ずしりと重く御衣黄が言った。
もしこれで御衣黄が帰ってしまえば、白妙は重大な粗相をしでかし水揚げされなかったと噂されるだろう。
そうなれば、白妙は二度と座敷に上がることはできない。
それだけではない。
花街にいられなくなるかもしれない。
人知れず、消えてしまうかもしれない。
消されるかもしれない。
源蔵は腹に力を込め、唸るように言った。
「わかりました」
御衣黄と紅時雨は舞や歌を見るように、少し離れたところに敷かれた緋色の褥の上に白妙を立たせ、後ろに膝立ちになった源蔵を見た。
「旦那様?」
不安になり、小さく叫ぶ白妙に御衣黄は優しい声を出した。
「心配しなくてもいいよ。
ちゃんと水揚げをしてあげるからね」
「でも」
「大丈夫、源蔵に任せておきなさい」
「しかし……、え」
源蔵の手が帯にかかり、しゅるしゅると正絹が擦れる音がした。
白妙は源蔵によって帯が解かれるのを感じた。
驚き固まった白妙は呆けたように御衣黄の目を見ていた。
目は笑っているようだった。
しかし、笑っていないようだった。
雨宿《あまやどり》と二人がかりで結ばれた帯はどんどんほどかれ、白妙の足元にとぐろを巻いていく。
「いい柄だろう。
春の嵐は趣深いね。
こんな春風のような白妙に嵐が潜んでいるなんて。
白妙、おまえの嵐を見せなさい」
白妙は御衣黄が何を言っているのか全くわからなかった。
帯がすべてほどかれるとその下の腰紐にも手がかかり、しゅるりしゅるりをそれも奪われると、白波と桜の着物も足元に落とされた。
あ、と思う暇もなく、蘇芳《すおう》の長襦袢《ながじゅばん》も同じように落とされ、とうとう緋色の肌襦袢だけになってしまった。
「いや」
「白妙、私が教えたことを忘れたのか」
下着姿になり恥ずかしくなった白妙が及び腰になり、上げた声に源蔵が叱咤した。
しかし白妙は耐えることができずによろめいたのを源蔵の腕がとらえ、そのまま源蔵の膝の上に座らせられた。
「……くぅっ」
源蔵は後ろから白妙に合わせに手を入れ、片方だけ肩を露わにするとそこをなで始めた。
番頭の部屋での稽古は、艶葉木の出し入れのみであった。
初めて白妙の肌の上を人の手が走った。
小さく淡い色の乳首をきゅっとつまむと、白妙は仔猫のような声を上げた。
愛撫に慣れていない白妙は、どうしていいかわからず背中を源蔵の胸に預けるしかなかった。
今度は源蔵の唇がうなじをかすめた。
また仔猫のように鳴いた。
そうされながら上を見ていたが、ふと正面を見ると、にやにやと御衣黄が鳴いている白妙を見ていた。
いや……
しかし、白妙には逃げる術はなかった。
源蔵の手は巧みで、もう片方の肩も露わにし、後ろから両方の桜の乳首の先を摘まみころころと転がした。
「んんんっ」
白妙の薄く細いまだ未成熟な体を源蔵の少し節くれだった長い指が這い回る。
胸の間から臍をなぞり、脇腹から脇の下へ指は動き、そして手のひらで胸を撫で、背中に源蔵の熱い息がかかる。
しゅるっと腰紐を抜く音がした。
最後の紐が奪われ、緋色の肌襦袢の合わせは左右に開かれ、腰布もあっという間に取り去られた。
緋い布の中に白妙の白く細い体が揺らめいていた。
御衣黄の目がきつく光った。
源蔵はそれを見て悟ったが、苦しみが増すばかりだった。
しかし逆らうことは許されず、そのまま白妙の太腿のなぞり、両方の膝頭を掴むと左右に広げた。
「やああ」
未熟な、木というより小枝と呼んだほうがしっくりくる白妙のものと、その奥に潜む淵が御衣黄の目に晒された。
「源蔵としっかりお稽古をしただろう?
稽古のままを見せればいいんだよ。
大丈夫、ちゃんと渦桜の液も使わせるからね」
なんの慰めにもならない声を御衣黄は白妙にかけた。
源蔵は褥のそばにあった文箱からぎやまんの小瓶を取り出し、ふたを開けた。
いつもの、あの春の香りが漂った。
「くふっ」
それだけだったのに、白妙が呻いた。
いつもは艶葉木に塗られる渦桜の液が、今宵は源蔵の指に塗られた。
そして白妙の小枝にも垂らされ、それを伝い後ろの淵にもとろとろと垂れていった。
「白妙、力を抜きなさい」
源蔵が抑揚なく言った。
白妙が何もできずにいると、源蔵の中指が淵の中に差し込まれた。
「ふあああああっ」
白妙の全身が一気に紅色に染まった。
ただ白いのは足先の足袋のみ。
異変に気づいた源蔵が指を止める。
白妙の体中から渦桜の香りが立ち上がった。
源蔵は白妙の後ろで目を閉じた。
渦桜の粉か……
白妙の動きが変わった。
御衣黄がにやりと笑いながら白妙と源蔵を見ている。
源蔵が指を止めると、「もっと」というふうに白妙が体をくねらす。
「へん……へんです」
おそらく御衣黄が自らの手で食べさせた料理か酒かに、渦桜の粉が仕込まれていたに違いない。
液よりももっと効果の高いそれを飲むと、全身から渦桜の匂いがし、内側の春が暴走する。
そしてそばで匂いをかいでいるほうもまた、自らの春を刺激される。
白妙の淵は稽古の時よりももっと渦桜の液を飲み込み、次を欲していた。
淵を傷つけるわけにもいかず、源蔵は新たな液を小枝づたいに垂らすと、慎重に中指を根元まで淵に埋めてやった。
「はあああっ」
白妙がのけぞり、まだ喉仏の出ていない滑らかな白い首を露わにした。
するすると次の間に続く襖《ふすま》が左右に音もなく開いた。
そこには禍々しい緋色の褥が、赤く染められた紙を貼られた行灯の明かりに照らされていた。
それを見た白妙は体をこわばらせた。
御衣黄様と私の、その、あの様子を……
源蔵さんに知られてしまう……
いくら恋い焦がれても、叶わないのは幼心にわかったつもりであった。
しかし、初めて交わす契りの様子を源蔵に知られたくない。
白妙は逃げ出したくなった。
自分がどんなふうに乱れてしまうのかわからない。
それだけでも恥ずかしいのに、一番知られたくない源蔵に知れてしまう。
が、頭の鼈甲づくしの重みが今の自分の立場を思い出させた。
今宵は私の水揚げの時……
でも……
いや……
白妙は泣きそうな顔を俯かせるしかなかった。
次の間にはいつのまにいたのか、二人の少年がいて中の緋色の褥をこちらに運び出し、白妙と源蔵の前に敷いた。
わけがわからず、源蔵と白妙は言葉を失い、御衣黄を見た。
御衣黄は脇息にもたれかかって二人を見ていた。
「楽しみにしていたよ、白妙の水揚げを」
紅時雨が弟たちと次の間から出てきた少年を部屋から送り出し、御衣黄の横に戻ってきた。
足を崩し、すがるように御衣黄に身体を預け、紅時雨もまた、褥の向こうに座る二人を見た。
「さあ、源蔵。
白妙の仕上がり具合を私に見せておくれ。
おまえさんが白波の着物を選ぶなんて、相当入れ込んでいるんだろう」
御衣黄は先ほどの続きの、踊りや歌が見たい、と同じように言った。
源蔵は手をつき、頭を下げた。
「それは旦那様自らがご覧になってくださいませ」
源蔵は額がつくほど頭を下げて言った。
返事はしばらくなかった。
「取りたくないものだが、私も歳を重ねてね。
その気力もないのだよ」
そう面白そうに言いながら、御衣黄はぎらぎらした目で二人を見る。
「だからね、見せておくれ。
白妙の声も聞きたいね。
おまえさんなら上手に鳴かせてくれるだろう」
「しかし」
「このまま帰ってもいいんだよ」
ずしりと重く御衣黄が言った。
もしこれで御衣黄が帰ってしまえば、白妙は重大な粗相をしでかし水揚げされなかったと噂されるだろう。
そうなれば、白妙は二度と座敷に上がることはできない。
それだけではない。
花街にいられなくなるかもしれない。
人知れず、消えてしまうかもしれない。
消されるかもしれない。
源蔵は腹に力を込め、唸るように言った。
「わかりました」
御衣黄と紅時雨は舞や歌を見るように、少し離れたところに敷かれた緋色の褥の上に白妙を立たせ、後ろに膝立ちになった源蔵を見た。
「旦那様?」
不安になり、小さく叫ぶ白妙に御衣黄は優しい声を出した。
「心配しなくてもいいよ。
ちゃんと水揚げをしてあげるからね」
「でも」
「大丈夫、源蔵に任せておきなさい」
「しかし……、え」
源蔵の手が帯にかかり、しゅるしゅると正絹が擦れる音がした。
白妙は源蔵によって帯が解かれるのを感じた。
驚き固まった白妙は呆けたように御衣黄の目を見ていた。
目は笑っているようだった。
しかし、笑っていないようだった。
雨宿《あまやどり》と二人がかりで結ばれた帯はどんどんほどかれ、白妙の足元にとぐろを巻いていく。
「いい柄だろう。
春の嵐は趣深いね。
こんな春風のような白妙に嵐が潜んでいるなんて。
白妙、おまえの嵐を見せなさい」
白妙は御衣黄が何を言っているのか全くわからなかった。
帯がすべてほどかれるとその下の腰紐にも手がかかり、しゅるりしゅるりをそれも奪われると、白波と桜の着物も足元に落とされた。
あ、と思う暇もなく、蘇芳《すおう》の長襦袢《ながじゅばん》も同じように落とされ、とうとう緋色の肌襦袢だけになってしまった。
「いや」
「白妙、私が教えたことを忘れたのか」
下着姿になり恥ずかしくなった白妙が及び腰になり、上げた声に源蔵が叱咤した。
しかし白妙は耐えることができずによろめいたのを源蔵の腕がとらえ、そのまま源蔵の膝の上に座らせられた。
「……くぅっ」
源蔵は後ろから白妙に合わせに手を入れ、片方だけ肩を露わにするとそこをなで始めた。
番頭の部屋での稽古は、艶葉木の出し入れのみであった。
初めて白妙の肌の上を人の手が走った。
小さく淡い色の乳首をきゅっとつまむと、白妙は仔猫のような声を上げた。
愛撫に慣れていない白妙は、どうしていいかわからず背中を源蔵の胸に預けるしかなかった。
今度は源蔵の唇がうなじをかすめた。
また仔猫のように鳴いた。
そうされながら上を見ていたが、ふと正面を見ると、にやにやと御衣黄が鳴いている白妙を見ていた。
いや……
しかし、白妙には逃げる術はなかった。
源蔵の手は巧みで、もう片方の肩も露わにし、後ろから両方の桜の乳首の先を摘まみころころと転がした。
「んんんっ」
白妙の薄く細いまだ未成熟な体を源蔵の少し節くれだった長い指が這い回る。
胸の間から臍をなぞり、脇腹から脇の下へ指は動き、そして手のひらで胸を撫で、背中に源蔵の熱い息がかかる。
しゅるっと腰紐を抜く音がした。
最後の紐が奪われ、緋色の肌襦袢の合わせは左右に開かれ、腰布もあっという間に取り去られた。
緋い布の中に白妙の白く細い体が揺らめいていた。
御衣黄の目がきつく光った。
源蔵はそれを見て悟ったが、苦しみが増すばかりだった。
しかし逆らうことは許されず、そのまま白妙の太腿のなぞり、両方の膝頭を掴むと左右に広げた。
「やああ」
未熟な、木というより小枝と呼んだほうがしっくりくる白妙のものと、その奥に潜む淵が御衣黄の目に晒された。
「源蔵としっかりお稽古をしただろう?
稽古のままを見せればいいんだよ。
大丈夫、ちゃんと渦桜の液も使わせるからね」
なんの慰めにもならない声を御衣黄は白妙にかけた。
源蔵は褥のそばにあった文箱からぎやまんの小瓶を取り出し、ふたを開けた。
いつもの、あの春の香りが漂った。
「くふっ」
それだけだったのに、白妙が呻いた。
いつもは艶葉木に塗られる渦桜の液が、今宵は源蔵の指に塗られた。
そして白妙の小枝にも垂らされ、それを伝い後ろの淵にもとろとろと垂れていった。
「白妙、力を抜きなさい」
源蔵が抑揚なく言った。
白妙が何もできずにいると、源蔵の中指が淵の中に差し込まれた。
「ふあああああっ」
白妙の全身が一気に紅色に染まった。
ただ白いのは足先の足袋のみ。
異変に気づいた源蔵が指を止める。
白妙の体中から渦桜の香りが立ち上がった。
源蔵は白妙の後ろで目を閉じた。
渦桜の粉か……
白妙の動きが変わった。
御衣黄がにやりと笑いながら白妙と源蔵を見ている。
源蔵が指を止めると、「もっと」というふうに白妙が体をくねらす。
「へん……へんです」
おそらく御衣黄が自らの手で食べさせた料理か酒かに、渦桜の粉が仕込まれていたに違いない。
液よりももっと効果の高いそれを飲むと、全身から渦桜の匂いがし、内側の春が暴走する。
そしてそばで匂いをかいでいるほうもまた、自らの春を刺激される。
白妙の淵は稽古の時よりももっと渦桜の液を飲み込み、次を欲していた。
淵を傷つけるわけにもいかず、源蔵は新たな液を小枝づたいに垂らすと、慎重に中指を根元まで淵に埋めてやった。
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